カンボジアでの飲食店開業は甘くない~閑古鳥が鳴く外国人向け飲食店
去年の8月、「カンボジアなら50万円で飲食店を開業できる」という記事が話題になりました。
それに対して賛否両論があったのですが、ここでは私が現地(プノンペン)の約40軒の飲食店を使ってみて、思ったことを書きます。
まず「50万円開業」の詳細を説明
これは、大石哲之さんという方が書かれた記事です。『ノマド化する時代』など多数の著書を持ち、グローバル経済にも明るい方です。
(記事はこちら。↓)
カンボジアで「50万円起業」 グローバル化がもたらす新しい自由
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そして、それに対してカンボジアのビジネスに精通している後藤良一さんという方が反論された記事がこちらです。
BLOGOS『飲食業のカンボジア進出について思う事。 : カンボジアどっぷり日記』
後藤さんの反論の要旨の一つは「確かに開業するだけでいいなら50万円でできるが、それでまともなビジネスにはならない(場所が悪い、など)」ということです。
私はカンボジアについてもビジネスについても専門家ではありませんので、どちらが正しいかはわかりません。
ただ、こちらに来てから約40軒、いろいろなタイプの飲食店を回ってわかったのは「多くの飲食店で、閑古鳥が鳴いている」ということです。
その現状を写真付きで説明します。
外国人向けの飲食店は、お客さんゼロも多い
私がこれまで使って、ディナータイム・ランチタイムに「お客さんゼロ」だった店舗の写真を紹介します。
(一応私がいたのでゼロではないですが。笑)
ここは外国人が集まるリバーサイド地区のかなりいい場所にあるレストランです。(冒頭の写真もここです)
見ての通りおしゃれで、このようにパーティーの音楽用のミキサーまであり、日本でも結婚式の2次会に使えるくらいのおしゃれさでした。
料理も写真のようにとても綺麗で、味も良かったです。値段はこれで4ドル(約400円)なので、他のお店にくらべてさほど高いというわけでもありません。
それでもディナータイムの3時間、自分以外のお客さんがいませんでした。
(なんで3時間もいたんだよ、と思われるかもしれませんが、ここで仕事をしていたのです。笑)
「これだけコストかかってそうなお店で、大丈夫なのか?」と心配になりましたが、店員さん(家族で経営していました)はみんな気楽で、ずっと後ろで家族だんらんしていました。
ここは、写真のパスタが350円程度で食べられて、店員の女の子もものすごく可愛いという、私にとっては天国のようなお店の一つでした(笑)。
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その子は英語もネイティブレベルで、ゲストハウスは割と賑わっている感じでしたが、カフェの方はさっぱりでした。
ゲストハウスのついでとしてのカフェではなく、こちらはこちらで本格的なカフェです。近くの別のゲストハウスに大きな広告も出ていました。
他にも外国人向けのお店は、個人経営でもコスタコーヒーのような外資大手チェーンでも、お客さんが入るはずの時間帯に誰もいないということがしばしばありました。
むしろ賑わっている方が珍しいくらいでした。
現地人向けはやたら賑わっている
これに対して、現地人向けは賑わっているお店が多いです。たとえばここのお店は、写真では人がやや少ないですが、普段はコンスタントに8割くらい埋まっていました。
ここはローカル店にしてはありがたいことに英語のメニューがあり、値段も良心的です。しかもかなり美味しいので、何度か足を運びました。
写真はLokLak(豚肉?)のステーキとチャーハンです。これで150円程度と格安で、ものすごく美味しいです。
中国人経営のお店はさらに強い
さらに強いのは中国人経営のお店です。
たとえば写真のところは、店内のやり取りがほとんど中国語という、「カンボジアの中の中国」のようなお店で、料理も見ての通り完全中国です。
(これは正直、あまり美味しくなかったです。。笑)
ただ、ここはかなり賑わっています。このクリーム色の服を着た中年女性がとても親切な人で、自分のつたない中国語にも丁寧に対応してくれました。
中国人はどこに行っても同胞を大切にして、チャイナコミュニティを作ってしまうとよく聞きますが、ここもそういうお店の一つなのかも知れない、と感じました。
■接客態度も味も値段もイマイチなのに、なぜか賑わうお店
写真のお店は、キャピトルゲストハウスのすぐ側にあるレストランで、ここも中華料理&中国人経営です。
ここは正直接客態度も悪いですし、味も値段もイマイチです。
どう考えても近くにあるキャピトルレストランの方がいいのですが、座る場所がないくらいしょっちゅう満席になっているのはこっちです。
たとえば8人がけのテーブルの8つの椅子すべてが、相席によって埋まっていることもあるくらいです。
カンボジアで賑わっている飲食店、賑わっていない飲食店の比較は、カンボジア全体のほんの一部にすぎないのですが、飲食店の経営がそんなに甘くないということは実感できると思います。
「50万円起業」で書かれたお店よりも、間違いなくレベルが上だろうと思われる立地、内装、料理のお店をいくつか見ましたが、上に書いたように閑古鳥でした。
上手くやれば50万円で開業した飲食店でも利益は出せるかも知れませんが「カンボジアなら簡単にお店を開業できる」というような考え方は、捨てた方がいいと感じました。
もちろん、大石さんの記事はそういう意味で書かれた訳ではないでしょうが、ごくまれにそうした意識でカンボジアでの起業を目指す方もいる、という話を聞きますので。
カンボジアの飲食店に関する、素人のお客目線のレポートの一つとして、参考にしていただけたら幸いです。
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