コンタクトを使っているとまぶたが下がる!?~眼瞼下垂にご用心
上まぶたが垂れ下がり、視野が狭まってしまう症状を「眼瞼下垂(がんけんかすい)」といいます。
先天的な要因のほか、加齢やコンタクトの使用によっても起こりやすいため、日ごろから予防の意識を高めることが大切です。
眼瞼下垂の原因
何らかの理由で上まぶたが下がり、視界が制限された状態が眼瞼下垂です。
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誰にでも分かるイメージとしては「ガチャピン」のような目でしょうか。
そもそも上まぶたは、「上眼瞼挙筋」の動きによって開きます。
上眼瞼挙筋の中でも薄い「腱膜」という部分が、板状の「瞼板」という組織にぴったりとくっついており、筋肉を動かすと腱膜の部分から瞼板が持ち上げられて、まぶたが開くのです。
しかし何らかの原因で、腱膜と瞼板の結合がはずれてしまうことがあります。
最初は2つをつなぎ合わせていた「ミュラー筋」のおかげで、まぶたは何とか開けられるのですが、やがてそれも伸びきってしまうと、常にまぶたが下がった状態になってしまうのです。
また症状が進行するにつれ視野が狭くなりますので、意識的にまぶたを上げて目を見開いてしまうことが増えてきます。
そのため目の筋肉に負担がかかり、眼精疲労や肩こりをともなう場合も少なくありません。
ハードコンタクト使用者は、眼瞼下垂になりやすい!
長期間コンタクトレンズを使用している人は、眼瞼下垂になりやすいことが分かっています。
理由はいくつか考えられますが、1つは「レンズとまぶた裏の摩擦」です。
特にハードコンタクトを長く使っている人は摩擦が大きいため、上眼瞼挙筋腱膜と瞼板の結合がはずれやすいといわれています。
もう1つは「レンズを装用する時、もしくは取り外す時に上まぶたを引っ張りすぎること」です。
その繰り返しによってまぶたの皮膚に刺激を与えることになりますので、ハードのみならずソフトコンタクトの使用者も高リスクといえます。
その他、加齢によってまぶたが垂れ下がってしまう「加齢性眼瞼下垂」もあります。
これは加齢にともなう筋力の低下や、皮膚のたるみが原因です。
また目の疲れによる一時的な眼瞼下垂もあり、この場合は目を休めると改善します。
治療は、基本的に手術しかない
眼瞼下垂が進行すると、やがて上まぶたが黒目にまで覆いかぶさってしまい、視界が狭くなります。
しかしゆっくりと進行するため、患者さんの多くは視界の問題というより「まぶたがたるんできた」「目の大きさが左右違いすぎる」「目が疲れる」という症状を強く感じるようです。
眼瞼下垂は、一度進行すると自然に治ることはないため、治療には手術が必要になります。
特にコンタクトが原因になっている場合、そのまま使い続けるとどんどん症状が悪化してしまいますので、早めの受診が肝心です。
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手術は眼科や形成外科、もしくは美容外科でもおこなっています。
いくつかの方法がありますが、上まぶたの皮膚のたるみが原因の場合は、余分な皮膚を切除する手術が考えられます。
一方、腱膜が瞼板から外れている場合は、上まぶたの皮膚を切除した上でこれらを縫い合わせる「挙筋前転法」がおこなわれます。
また腱膜と瞼板をつなぐミュラー筋が伸びきっている場合は、それを短くするための手術もあります。
これらの手術は、意外なことに「二重まぶた」を作る手術と内容がほぼ一緒です。
そのため女性など見た目の仕上がりを気にする人は、美容外科で手術を受けたほうがいいかもしれません。
特に一重まぶたの人は、眼瞼下垂の手術を受けることで同時に二重まぶたを手に入れることが可能です。
手術と健康保険について
重度の眼瞼下垂の場合、手術には保険が適用されます。
自力でまぶたを開けられないほど症状が進行している人はもちろん、黒目に覆いかぶさっていて視界が遮られているケースでも適用になることがあります。
基準としては「黒目の半分まで」が一応の目安ですが、頭痛や肩こりなどがひどい場合も適用される可能性が高いようです。
保険を使えると、両目の手術でも約5万円(3割負担)で済みます。
しかし保険適用の基準に満たない眼瞼下垂や、保険の使えない美容外科で手術を受ける場合には全額自己負担となり、数十万かかることもあります。
同じ自由診療になるなら、仕上がりにこだわってもらえる美容外科で受けたほうがいいかもしれません。
眼瞼下垂を予防するために~まぶたは優しく扱おう!
このように、眼瞼下垂になると基本的に手術しか治療法はありませんので、普段から予防することが大切です。
基本的にまぶたに刺激を与えるものはすべて良くありませんので、アイメイクなどもほどほどにしたほうが安全でしょう。
たとえば「つけまつ毛」や「アイプチ」などの使い過ぎは、まぶたの皮膚を傷めてしまい、眼瞼下垂のリスクが上がってしまいます。
また洗顔後にタオルでごしごしと拭いたりしないことも大切です。
花粉症やアトピー性皮膚炎の人も、ついまぶたをこすってしまうことが多いため気をつけてください。
ただでさえ薄くデリケートな皮膚ですので、日ごろから優しく扱うようにしましょう。
そしてコンタクトレンズを使用している人は、毎日のように上まぶたを引っ張り上げますので、特に注意が必要になります。
できればコンタクトの着脱は、下まぶたのほうを引き下げることでおこなったほうが、眼瞼下垂の予防になるでしょう。
その他、仕事などでパソコンを長時間見つめる人も、目の筋肉が緊張してしまい、眼精疲労による眼瞼下垂になりやすくなります。
数十分ごとにかならず休憩をとる、ホットタオルや冷タオルなどを当てる、といったこまめなケアが予防につながります。
By 叶恵美
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