大腸がんが日本人に急増している原因は食事の欧米化にあった!
近年、日本人に増え続けている大腸がん、部位別がんの中でも、女性の死亡率は2003年から1位、男性では胃がんと肺がんに次ぐ3位ですが、2020年には1位か2位になることが予想されています。
もともと大腸がんの少なかった日本にこれだけ増えた背景には、食生活の欧米化が深く関わっていると考えられます。
大腸がんを予防するために、日常の中でできることを実践していきましょう。
動物性脂肪のとりすぎが、大腸がんを招く!
日本は塩分を多く摂取することもあり、胃がんは昔から多かったのですが、大腸がんは少ない国でした。
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しかし戦後からじわじわと増え続け、今では女性の死亡原因となるがんの第1位、また男性でも胃がんを追い抜く勢いで伸びてきています。
もちろんそこには、社会の高齢化も影響しているでしょう。つまり長生きする人が増えた分だけ、がんにかかりやすくなったということです。
しかし消化器官の場合、やはり毎日とる食べ物も大きく関わると考えられます。
特に大腸がんのリスク要因として指摘されているのが、欧米型の食事です。
中でも肉類は腸内にとどまって腐敗しやすいことから、過剰摂取によって腸内環境が悪化することが分かっています。
まず肉類をとりすぎると、腸内に「ウェルシュ菌」などの悪玉菌が増えます。
そしてウェルシュ菌は、肉に含まれるタンパク質をもとに「ニトロソアミン」という発がん性物質を作り出すのですが、これがまさに大腸がんの主犯格と呼ばれるものです。
さらに私たちの体では、肉を消化するために「胆汁」という消化液が分泌されますが、これが過剰になると悪玉菌によって「二次胆汁酸」となり、腸の粘膜を弱めてしまうことも明らかになっています。
つまり肉類を食べすぎると、腸の粘膜が傷つきやすい状態になる上、ニトロソアミンという強力な発がん性物質が増えるために、大腸がんにかかりやすくなると推測されるのです。
大腸がんの予防法1-肉を控えめに、食物繊維をたっぷりと
ですから大腸がんを予防するためには、まず肉類の食べ過ぎを控える必要があります。
もちろん肉の中には、鉄分やビタミンB類などの栄養分も含まれてはいますが、偏りすぎると腸内を荒らすリスクがあるということです。
まったくゼロにすることは難しくても、まずは週に2~3度にするなど、できるところから始めてみましょう。
さらに肉を食べるなら、同時に食物繊維も摂取したいところです。
豆類や根菜類などに多く含まれる食物繊維は、腸内を刺激して便通を良くしてくれますので、肉を食べる際にはぜひセットにしたい食材です。
大腸がんの予防法2-乳酸菌たっぷりの発酵食品をとる
腸内の善玉菌を増やす発酵食品も、大腸がん予防のためにぜひ摂取しましょう。
ヨーグルトやキムチ、漬物、納豆、チーズなどの発酵させた食品には、善玉菌の代表格である「乳酸菌」がたくさん含まれています。
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常に悪玉菌よりも善玉菌の比率を高くすることが、大腸がん予防のポイントです。
ちなみに乳酸菌は胃酸によって死滅しやすいため、できれば「腸まで生きて届く」とうたわれているものを選んだほうが効果的です。
ただし死滅した乳酸菌でも、腸で善玉菌のエサになってくれますので、まったく意味がないわけではありません。
大腸がんの予防法3-カルシウムとビタミンDを摂取する
食物繊維や発酵食品のほか、大腸がんの予防に意外な効果を持つのが「カルシウム」です。
近年の研究で、カルシウムと大腸がんに関連性があることが分かってきました。
中でも牛乳を1日200ミリリットル以上飲むグループでは、もっとも飲まないグループに比べて大腸がんのリスクが40パーセントも低下していたのです。
もちろんヨーグルトとなれば乳酸菌も含まれていますので、一石二鳥だといえるでしょう。
乳製品は、乳がんや前立腺がんなどのリスクをやや上げることでも知られていますが、大腸がんに限っては逆に予防効果があるようです。
おそらくカルシウムが、腸粘膜を弱くする「二次胆汁酸」と結合して、便として排出するのに役立つからではないかと推測されています。
さらにカルシウムの吸収をうながす「ビタミンD」も同時に摂取すると、なお大腸がんのリスクが下がることも分かっています。
ビタミンDは魚に多く含まれるほか、日光浴することで体内でも自然に合成される栄養素です。
午前10時から午後3時までの日光を、週に2回、それぞれ最低5分間、顔や手足などに浴びれば十分なビタミンDを合成することができます。
その際、日焼け止めクリームを塗っては意味がないため気をつけましょう。
大腸がんの予防法4-適度な運動をとり入れる
他に、現在のところ「大腸がんのリスクを確実に下げる」とされているのは、運動です。
特に日本人に多い結腸がんのリスクを、およそ40~50パーセントも下げるといわれています。
なぜ運動が大腸がんを抑制するのかというと、1つは腸が刺激されることで便通が良くなるからです。
また運動には、がんの発生に関わるさまざまなホルモンの過剰分泌を抑える効果や、活性酸素の害から身を守る効果などもあります。
また肥満は「大腸がんのリスクを確実に上げる」とされていますので、運動によって適正な体重を維持することは非常に大切です。
大腸がんの予防法5-定期的に大腸がん検診を受ける
増え続けている大腸がんですが、がんの中では予後がいいほうでもあります。
ごく早期の段階で発見できれば、5年生存率はほぼ100パーセントですので、定期的に検診を受けて進行する前に発見することが大切です。
大腸がんの検査として広くおこなわれているのは「便潜血検査」といって、便に混じった血を見つけるものになります。
大腸がんでは血便が代表的な症状ですが、発生部位によっては確認しづらい場合も少なくありません。
できれば2日分の便で調べる「2日法」のほうが精度は上がります。
またポリープを見つけるためには、内視鏡検査を受けることがもっとも確実です。
最初は良性のポリープでも、やがて悪性化して大腸がんになるケースもあるため、できれば40歳を過ぎたら1度は受けておくと安心でしょう。
ちなみに大腸がんは遺伝しやすいがんの1つですので、家族に既往歴がある人はなるべく若いころから検査を受けておくことをおすすめします。
By 叶恵美
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