好きなことを仕事にするとなぜ嫌いになるの?~遊びなら楽しいのに
ミュージシャンや画家、小説家などのクリエティブな仕事をしている人のインタビューなどで「好きなことを仕事にしてしまったがために、嫌いになってしまった。」という言葉をよく耳にします。
大好きなことを仕事にしてしまうとどうしてそれが嫌いになってしまうのでしょう?また、本当に仕事にしてしまうことによって好きなことが嫌いになってしまう、なんてことがあるのでしょうか?
仕事になるとこだわりを捨てなければならないことがある
音楽にしてもアートにしても、趣味であれば納期に追われることなんてありません。しかし、それを商売とする以上は、ほとんどの方が締切に追われてしまうことになります。
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最終的に作品を生活して行くための「お金」に変えるには、当然売らなければなりません。定期的に収入を得るためには、一定の間隔で商品を生み出し続ける必要があります。
そうなれば、完全に自分が納得することのできる「作品」にすることはできなくなってしまう可能性があります。売るための「商品」としてのレベルに達した時点で世に出してしまわなければならなくなってしまうのです。
こだわりを捨ててひたすら作っては売る…これでは大好きなことがいつの間にか単なる作業になってしまうでしょう。これでは嫌いになってしまうのも無理はありません。
世間のニーズ=自分のやりたいことが一致しなければ…
必ずしも世間のニーズと自分のやりたいことが一致するとは限りません。趣味であれば、周囲の目など無視して好きなように楽しむことができるでしょう。しかし、これを仕事としてしまった瞬間に、求められているものを無視できなくなってしまいます。
前述のように、ミュージシャンにとっては音楽が、小説家にとっては小説が「商品」として売れなければ商売は成り立ちません。いくら自分はこのような作品が作りたいんだ!と主張したとしても、それが世間的なニーズに合っていなければ売れないでしょう。
つまり、仕事として考えるのであれば、自分のやりたいことよりも流行やできるだけ多くの人の好みを優先しなければならなくなってしまいます。場合によってはやりたいことと真逆のことをやらなければならないことだってあるでしょう。
これでは嫌になってしまっても仕方ありません。
仕事になったとたんに、やることが「義務」となってしまう
ほとんどの方が生活のために仕事をしています。そうしなければ、住む場所を確保することもできませんし、食べるものを手に入れることもできません。ほとんどの人にとって、仕事は「義務」となります。
どんなに好きなことであっても、「義務」になったとたんに嫌になってしまう…性格にもよりますが十分にあり得る話です。
子供のころ、筆者は絵を描くのが大好きでした。いつもスケッチブックを持ち歩き、好き勝手にいろんなものを描いていました。
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しかし、学生になり、美術の授業などで絵を描くとなると、途端に苦痛になってしまいます。夏休みの宿題の水彩画も嫌でしょうがありませんでした。やることを強制されたり、義務となってしまった途端に嫌になっていたのです。
勉強をしろ!と言われると急にやる気を失ってしまった、という方は多いのではないでしょうか?それと同じことが仕事においても起こり得るということです。
そもそも本当はそんなに好きじゃなかった?
もう一つ考えられるケースが、好きなことと思い込んでいたことが実はそんなに好きではなかった、というものです。
子供の頃、人よりうまくできた、または褒められたから、といった理由で何かを好きになったことはありませんか?また、なんとなくかっこいいから、という理由で趣味を始めたことはありませんか?
もちろん、このようなきっかけから本当に自分の「好きなこと」になる可能性もあります。しかし、それが好きだと思い込んでしまっているだけ、というケースだってあり得るのです。
後者の場合、仕事として本格的に取り組んでしまうと、ちょっとした壁にぶつかっただけで嫌気がさしてしまうでしょう。これまで好きだと思い込んで来た反動によって逆に大嫌いになってしまうかもしれません。
好きなこと=天職ではない?自分に合った仕事とは?
ある海外ミュージシャンがこんな意味のことを言っていました。
「俺はミュージシャンになりたかったんじゃない。ミュージシャンにしかなれなかったんだ。」
一見すると、ミュージシャンという職業を卑下しているようにも聞こえます。しかし、筆者は、究極の意味で本当に自分に合った仕事に出会えた、と解釈しました。
ひとつの仕事に絞りきることができたのですから、それこそまさに天職に出会えた、と言えるのではないでしょうか。これは自分の可能性をつぶしているだけなのでは?と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、よほど器用な人でもないかぎりいくつもの仕事を同時にこなすことはできません。また、人生には限りがありますので生涯のうちにできる仕事の数なんてたかが知れています。
そう考えると一つに絞ることができた人=天職に出会うことができた人、と考えることができるのではないでしょうか。
ほぼ無限に存在するさまざまな仕事の中からたった一つだけを選ぶのですから、結局はそれが好きなことになるのかもしれません。
もちろん、好きなことを仕事にするリスクは存在しています。一概に「好きなことを仕事にすると、嫌いになってしまう。」と言い切ることはできないのではないでしょうか。
Byチリペッパー眞木
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