日本は精神病院が世界で一番多い国だった~患者の5人に1人は日本人
厚生労働省の調査によると、日本には8,605の病院があり、そのうち精神科病院は1,076と12.5%を占めています。
一般病院の精神科も加えたベッド数は34万4千で、ダントツ世界一です。
全世界にある精神病床の総数は約185万ですので、何と5分の1(18.6%)を日本が占めているのです。
今、世界で精神科に入院している患者の5人に1人は日本人、ということになります。わが国は世界No1の精神病大国なのでしょうか?
人口千人当たりの病床数は日本が突出した世界No1
人口当たりのベッド数を見ると、日本では人口千人に対し2.7床あります。
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1000人の内3人近くが精神病院にいつでも入院できる体制があるということになります。
実はこの数字は国際的には群を抜いて高いのです。
OECDの調査によると、千人当たり1床を超えているのはベルギー、オランダと日本の3国のみで、2床を超えているのは世界で日本だけです。
アメリカやドイツ、イタリア、カナダ、などは千人当たり0.5床を下回っており、日本の5分の1以下です。
日本の入院患者の5人に1人は精神科!?
日本の病院の病床数は約158万床で、そのうち約34万床が精神科です。
21.7%が精神科ということになりますので、ベッドが満床だと仮定すると、入院患者の5人に1人以上は精神科の患者ということになります。
これって、どう考えても異常な数値だと思えませんか?
日本では精神病院に入ると出られない!?
生命保険などで「入院保険」に加入する時に、1回の入院の「限度日数」について説明を聞かれたことのある人も少なくはないでしょう。保険の場合、1回の入院での支払いは30日が限度という「30日型」の他、90日型、180日型、365日型、730日型などがあります。
生保の社員からは、「平均の入院日数は30日程度だから30日型で十分です」などと説明を受けた人もいるかも知れません。
厚生労働省の調査によると平成23年の、日本人の入院の平均在院日数は32.8日でした。
ただし、傷病の種類によって差があり、新生物(ガン)の場合19.5日、呼吸器疾患で26.5日、骨折41.1日、循環器系で45.3日、神経系の疾患76.2日などとなっています。
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だいたいどんな病気やケガでも、平均すると1か月か2か月で退院できることが多いようです。ただし、神経系疾患の中でも、アルツハイマーは236.3日と約8か月です。
もちろん、平均がそうだということであって、中には1年以上入院しなければならない人もいます。入院保険に入るときには、この点も留意しなければなりません。
多くの傷病が1か月~2か月なのに対して、精神障害の場合には296.1日、約10か月となっています。その中でも、統合失調症などについては、561.1日と約1年半に及びます。
普通の傷病に比べると5倍~10倍程度長くなるのです。精神病で入院すると、なかなか退院することができません。実は、これが日本の精神病床数が多くなる大きな要因です。
精神障害は、普通の病気の8倍も長く入院しなければならない
すべての傷病の入院日数の平均値が32.8日なのに対して、精神障害は296.1日と8倍以上です。
精神科の病床では一般の病床に比べて、ひとりの人がベッドを占有する期間が8倍も長いということになります。そのため、ベッドの数を増やさなければなければならないのです。
日本の精神科の入院日数は諸外国と比べると群を抜いて長い実態にあります。それで、病床数がダントツに多くなるのです。
わが国の精神病院は入院の長さが世界一!
▲日本のグラフだけが大きく離れています
OECDによる調査によると、世界で精神病床の入院日数の平均が50日を超えているのはポーランドと日本だけで、150日を超えているのは日本だけです。
世界中のほとんどの国で、精神病患者が50日以内に退院しているのに、日本では296日もかかるというのは国際的にみると「異常」と言えるでしょう。
日本ではどうしてこんなに入院が長引くのか?
▲10年以上入院している人が6.5%もいます
社会的入院が多いことが日本の問題点
イタリア、ドイツ、フランスなどでは、精神科の平均在院日数は1週間から3週間程度です。
諸外国では精神疾患を持つ人たちも早期に退院し、社会の中で生活しながら回復を目指すのが普通だそうです。
これに対して日本では、病院に閉じ込めておこうという考え方が強いのがひとつの問題といわれています。
入院加療が必要なくても、家庭が引き取りたくない、ケアができないという理由で、長期入院をさせられている「社会的入院」患者が少なくないのです。
厚生労働省の調査によると社会的入院患者は7万人ほどと推定されていますが、精神科の専門家の中には15万人から20万人程度と主張する人もいます。
事実だとすれば、退院させればベッドの半分は空くことになります。
▲入院患者の半数以上を統合失調症が占めています
社会的支援の不備が、入院を長くする!?
社会的入院が減らせない原因としては、障害のある人を親族が面倒をみなければならないことが大きな原因といわれています。
「臭いものにはふたを」という発想から、精神障害者を病院に預けて医療者に責任を丸投げし、みないでおこうとするのです。
諸外国では社会的にケアをするシステムが浸透しているために、家族だけが苦労することは少ないとも言われています。
参考記事:いまだ存在する統合失調症に対する社会的な偏見と家族の孤立
日本のメンタルヘルス障害の患者は少ない方です
WHO(世界保健機関)の行なった世界メンタルヘルス調査によると、メンタルヘルス障害の有病率は日本は8.8%でイタリア(8.2%)に次いで低い水準でした。
フランスは18.4%とわが国の倍以上、アメリカは26.4%と3倍です。日本は決して精神障害が多い国ではないのです。
わが国では患者が多いわけでもないのに、ベッド数だけは世界でもダントツに多いという実態にあります。そこにはさまざまな要因が複雑にからんでいるのでしょう。
社会的な偏見や、精神病院の経営問題も関係しているかも知れません。
外で生活できるだけの十分な能力があるのに「監禁」されてしまっている患者も少なくないそうです。
そうだとすれば、社会的にケアできる仕組みを作って外に出してあげないと、かわいそうではないでしょうか?
by 水の
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