血液型のとっても深いお話~血液型占いや性格診断には根拠がない!?
日本では性格診断で人気の「ABO式血液型」ですが、本来は血液の「相性」に関わる分類で、輸血の際に必要とされる情報です。それがなぜ日本では占いとして広まったのか、そこに根拠はあるのかなどについて考えてみたいと思います。
海外では自分の血液型を知らない人もたくさんいる!
ABO式血液型とは、赤血球の「抗原」による分類法です。A抗原がある人はA型、B抗原がある人はB型、両方ともある人はAB型、そしてどちらもない人がO型になります。
スポンサーリンク
さらに重要なのが、「血漿」の中にある「抗体」です。通常、A型の人の血漿には抗B抗体が、B型の人の血漿には抗A抗体があります。AB型はどちらの抗体もなし、そしてO型はどちらの抗体も持っています。
輸血の際に問題となるのは、この抗体のほうです。たとえばA型の人はB型の血液に抗体を持つため、A型もしくはO型の輸血しか受けられません。B型の人はB型もしくはO型のみです。
ABの人は抗体を持たないため、基本的にどの血液型からも輸血を受けることができます。一方、O型は自分と同じO型からしか輸血を受けられません。
血液型とはこのように、輸血の際に必要な情報ですから、日本のように性格診断がさかんではない国では自分の血液型を知らないまま過ごしている人もたくさんいます。事故などに遭った際には、その場で血液型を調べますので、特に知っておく必要はないというわけです。
しかし日本では性格診断が根づいているためか、子どもの血液型も積極的に調べる傾向が見られます。
Rh-以外にも、特殊な血液型がある!
珍しい血液型として有名なのが、「Rh-」でしょう。これは赤血球膜の「D抗原」の有無による分類で、日本人の9割以上は「Rh+」です。特にAB型でRh-の人は2,000人に1人ともいわれます。
以前までは各地域に「Rhマイナス友の会」というグループがあり、該当する人はそこに登録して献血などをしていましたが、現在では献血体制が整ったため解散しているようです。
他に珍しい血液型としては、たとえば同じA型でもA抗原が弱いタイプなどがあります。普通のA型は厳密には「A1」と呼ばれますが、A抗原が通常より少ない「A2」「A3」などの型も存在するのです。確率的にはRh-よりも珍しいタイプになります。
このような「亜型」は他の血液型にも存在し、「稀血(まれけつ)」と呼ばれます。特に100万人に1人くらいのレベルで珍しい型の場合、赤十字社に情報が登録され、献血によって相互扶助ができるようなシステムになっています。緊急時には献血の協力の要請が来ることもあるほどです。
スポンサーリンク
日本は単一民族だったから血液型占いが浸透した!?
ちなみに日本人の血液型は、「A:O:B:AB=4:3:2:1」となっています。分布は地域によって異なりますが、一般的にヨーロッパの白色人種にはA型が多く、インドをはじめとするアジアではB型が多い傾向が見られます。
そのためか、ABO式血液型が発見された20世紀初頭には「A型=白人=優秀」「B型=黄色人種=劣っている」という偏見が生まれたそうです。
しかし性格とは何の因果関係もつかめなかった上、人種差別が問題視されたことから、現在の欧米では血液型による性格診断は完全に否定されています。今でもABO式で性格を分類する習慣があるのは、日本と韓国だけだといわれています。
逆に考えれば、日本や韓国は基本的に単一民族のため、血液型占いが人種差別とは関係のないところで広まったといえるのかもしれません。さらに言うなら、髪の色も肌の色も目の色も基本的にみんな同じ国だからこそ、「カテゴリ分け」するために血液型が一役買ったとも考えられます。
ただし今や子どもたちの間のみならず、会社においても「あの人は○型だから…」というような決めつけがまかり通っているため、一部では「ブラッドタイプ・ハラスメント」として問題も生じています。あくまで遊び程度にとどめたいものです。
なぜABO式血液型で性格を診断するようになったのか?
ちなみに人類最古の血液型といわれるのはO型です。実際、世界各国の血液型分布を見ても、O型はどの地域にも比較的、均等に散らばっていることが分かります。
一方、A型は農耕や牧畜が始まってから生まれた血液型といわれています。そしてB型は遊牧民の間から生まれた血液型、AB型はそれら2つの混血から発生した血液型です。
このような歴史から、もしかしたらABO式血液型による性格診断が出来上がったのかもしれません。つまりどんな地域にも適応できる大らかなO型と、しっかりと農耕に従事して食べ物を得る真面目なA型、そして一か所にとどまらず遊牧しながら暮らすマイペースなB型に、両方の資質をかねそろえた変わり者のAB型といった具合です。
とはいえ血液型による性格診断に、科学的根拠がないことは世界の常識となっています。「そうは言っても、当たっている気がする」という人は多いと思いますが、多くは「自己暗示」や「思い込み」から来るものだと考えられています。
誰にでも程度の差こそあれ、几帳面な部分といい加減な部分はあるものです。ですから「A型だからまじめだね」と言われれば「なるほど」と感じてしまいますし、「B型だからマイペースだね」と言われればそんな気もしてくるのではないでしょうか?
特に血液型による決めつけがこれだけ根づいた環境で育てば、「長男」や「次男」と同じように、生まれながらにして一定の役割を与えられてしまってもおかしくはありません。
実際は、血液中に存在する抗原は数百種類以上あり、A・B抗原はほんの一部に過ぎません。すべての条件を合わせて考えるなら、自分とまったく同じ型の血液型を持つ人は、一卵性双生児でない限りほとんどいないといわれています。
まさに十人十色。人の数だけ血液型も性格もあるということなのです。
By 叶恵美
スポンサーリンク