ドラえもんの「バイバイン」で栗まんじゅうは一日で宇宙を埋め尽くす?
ドラえもんのひみつ道具「バイバイン」をご存知でしょうか。
その薬液を一滴かけると、5分に一度、2倍に増えるというひみつ道具です。
ドラえもんのお話の中では、栗まんじゅうにかけられましたが、この栗まんじゅうの行く末に対し、インターネット上ではさまざまな議論がなされているのです。
今回は、筆者なりにその危険性を再確認し、ドラえもんが誕生することになっている、22世紀を迎える準備を行いたいと思います。
結果からいうと、現在解明されている宇宙の広さであれば、一日と持たずに栗まんじゅうが埋め尽くしてしまいます。
宇宙の容量はどれくらい?
ドラえもんの話中では、数が増えすぎて消化しきれなくなった栗まんじゅうを、宇宙の彼方に投棄して一件落着としています。
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しかし、この解決方法は正しいのでしょうか? 増え続ける栗まんじゅうを抱え込むだけの広さを、宇宙は備えているのでしょうか?
その宇宙の大きさは、はじまりに発生したとされる「ビッグバン」以降、ずっと膨張していると言われています。
しかしまだまだ謎は多く、無限に大きいのか有限なのかすらも解明されていません。
仮に宇宙全体の面積を正確に割り出すことができたとしても、一方の栗まんじゅうが、サイズをそのまま保った状態で増えてくれるかといえば、そうではありません。
たとえば「中性子星」と呼ばれる天体があります。
太陽などの恒星が最後に辿り着く姿であり、重さは太陽ほどもあるのに、その半径が10キロメートルほどしかありません。
この天体は非常に密度が高く、たったスプーン一杯の量で、重さはなんと10億トンにもなるのです。
栗まんじゅうが多く集まると、自らの重力により、いくらか圧縮されることになります。このことを考えると、体積を基準とした考え方はやや現実的ではないと考えました。
実は、宇宙の容量を考える上で、もっと便利な数値があるのです。
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宇宙全体の素粒子の数?
素粒子とは、すべての物質を分解していくと、最後に現れる「粒」のようなものです。光子や電子、ニュートリノも素粒子のひとつであり、近年話題となった「ヒッグス粒子」もそのひとつです。
宇宙全体にある素粒子の数は、10の80乗個と試算されています。一見、少なそうに見える数字ですが、これは「10×10×10×…」と、10を80回かけた数字、つまり80ケタの数字なので、非常に大きいものです。
宇宙のそこら中に素粒子が敷き詰められています。仮に、栗まんじゅうが10の80乗個に増えたら、宇宙全体を埋め尽くした、と言っても良いのではないでしょうか。以上を基本的なルールとして扱うことにします。
栗まんじゅうが増える速度
栗まんじゅうは、5分に一度、2倍の数へと増えていきます。
延々と増え続けるため、宇宙の素粒子の数、という膨大な数字であっても、いずれは追い抜くでしょう。問題は、それまでの時間です。
5分後には2個となる栗まんじゅうは、一時間後には4096個となります。
これは電卓などでも計算可能であり、5分毎に2倍にしていけば、その時の数を算出できます。
一時間後で4096個という数字は、大規模な栗まんじゅうの生産工場の方がずっと生産量が大きいでしょう。
しかし、この調子で増え続けると、二時間後には1677万7216個となります。たった二時間で、もはや国家レベルで持て余してしまう数となります。
三時間後には、687億1947万6736個となります。2012年時点での地球人口は70億人であり、一人10個食べれば消化可能な数字です。
5分後にはまた2倍に増えてしまいますが、急げばまだ何とかなるかもしれません。
五時間後には、115京2921兆5046億0684万6976個となります。いよいよ理解が難しい数字になってきました。
八時間後には、1予9342垓8131京13834兆0667億9529万8816個となります。
地球の重さがおよそ6予キログラム(予は兆の1兆倍)となります。
栗まんじゅうひとつを50グラムとした場合、それに比べるとまだまだ小さいですが、数十分後にはあっさりと地球の重さを追い抜きます。
太陽の重さは、地球の30万倍ほどです。
9時間後には3溝2451穰8553予6584垓2672京6783兆1560億2057万6256個になり、50グラムの栗まんじゅうがこれだけ集まると、太陽の重さをも上回ってしまいます。
11時間後には、太陽の重さの6000億倍である、天の川銀河の重さと肩を並べ始め、数十分もすれば追い抜いてしまいます。
その後も増え続け、増殖開始から22時間と10分後には、栗まんじゅうの数が10の80乗個を上回ります。
宇宙に存在するすべての素粒子と同じ数の栗まんじゅうが揃うまで、一日も経過していないのです。
完全にビッシリと敷き詰めたら、栗まんじゅうのサイズはかなり小さくなるかもしれません。
仮に、10の80乗個の栗まんじゅうが、上で挙げた中性子星の例のように凝縮され、握りこぶしほどの大きさに収まったとしたらどうでしょうか?
しかし、それでも結果はそう変わりません。さらに22時間と10分後には、超高密度の栗まんじゅうで宇宙が埋め尽くされてしまうのです。
ドラえもんが誕生するのは22世紀です。
ドラえもんが現れ、現実のバイバインが手に入った場合は、その危険性は核爆弾よりも恐ろしいものであることを覚えておいた方がいいかもしれません。
byヒビタカ
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