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風船の値段が将来1つ1万円になる!?~ヘリウムガス高騰の真相

2014.05.08

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風船や声変わりガスなど、気軽に遊ぶ道具として使われているヘリウムガスですが、将来的には高価になりそうであることはご存知ですか?

将来的には、ヘリウム風船1つあたり1万円ほどが適正価格になるとも言われています。

ありふれていたはずのヘリウムが希少になっている秘密は、その便利さともともとそんなに豊富ではなかったという事実がありました。

風船業界を直撃しているヘリウム不足

実は2012年、世界的なヘリウム不足が発生しました。

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世界に流通するヘリウムのほとんどはアメリカで算出されていましたが、そのアメリカでの設備トラブルや、中国などでの需要が増えていることが要因と考えられています。

その影響からなのか、東京ディズニーリゾートにて販売されていたヘリウム入りバルーンは、その年から販売を中止していました。

2014年の1月には販売が再開されているようですが、中止前よりも販売額が上昇しているようです。

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実は、ヘリウムガスの高騰は、いまに始まったことではなく、2002年とくらべて、2007年には価格が2倍に上昇するほどなのです。

ヘリウムガスは、いまでも世界規模で需要が増え続けています。

もちろん国内生産はなく、アメリカからの輸入に頼っていた状態であったため、日本全体でヘリウム不足が深刻となっています。

生産の方法

なぜ、ここまでヘリウムが不足しているのでしょうか? 原因はその生産方法にあります。

主にアメリカで、天然ガスを採掘した際に、副産物としてヘリウムガスが同時に採られています。

大半はメタンガスですが、その中の1パーセント程度がヘリウムガスであり、これを抽出したものが商業用のヘリウムとして流通しています。

空気中にも含まれておりますが、0.0005パーセントです。

地球規模で考えれば充分な量なのかもしれませんが、少なくともヘリウムを抽出する段階で、かなりのコストが発生するようです。

現時点
での生産方法では、ヘリウムが枯渇するまで25年程度であり、そう遠くない未来にはヘリウムがなくなってしまうと予想されております。

ノーベル物理学賞の受賞歴をもつロバート・リチャードソン氏は、ヘリウム入り風船の適正価格は1つ100ドルだと主張しています。

ヘリウムの多用途性

ヘリウムがなぜこれ程まで必要とされているのでしょうか。空気より軽い気体である、ということはどなたでもご存知でしょう。

風船や変声ガスとして、昔から親しまれてきました。

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変声ガスとして、人が吸い込んでも大丈夫なので、味はなく、臭いもなく、毒性もないことも確かなようです。(ただし風船用のヘリウムガスを吸い込むと窒息する恐れがあり、国内でも死亡例があります)

また、発火もしないので安全です。

しかし、それ以外に「全元素中でもっとも沸点・融点が共に低い」物質であるという特筆すべき点があります。

絶対零度と呼ばれる、-273℃まで冷却しても、圧力をかけなれば液体の状態を保ち続けるため、冷却材として非常に優秀なのです。

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これらの特徴が世界中で注目されており、あらゆる用途に使われているのです。

医療用の装置であるMRIは、超電導の電磁石が必要であり、この電磁石を冷やすために液体ヘリウムが使用されています。

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その他にも、現代社会には欠かせない半導体の保護膜を形成する上でヘリウムガスが使用されています。

近年では、ハードディスクの内部に、空気の代わりにヘリウムガスを充填したタイプが登場し、空気抵抗を弱めることで消費電力、記憶容量を増やすことに成功しました。

代用品がない

これほどまでに最先端技術で運用されているヘリウムですが、その代用品を探すのは困難と言えます。

極低温を実現できる物質としては、液体窒素があります。こちらは液体ヘリウムにくらべると、とても安価ですが、その温度は-150℃程度です。

液体ヘリウムと比べると、液体窒素は100℃以上温度が高いため、代用品としては役不足でしょう。

風船として、ヘリウムの代用品はあるでしょうか。実は、かつて飛行船を浮かべるために「水素」を使用していたことがありました。

水素はどこにでもある、もっとも多い気体ですが、純度が高いと激しく燃える気体であり、非常に危険です。

1937年のヒンデンブルグ号爆発事故は、あまりにも有名です。

もっとも、近年では水素ガスが爆発の原因ではなかったとされる説が有力なようですが、水素を使用した飛行船が飛ぶことは今後もないでしょう。

ヘリウムを作る方法

ヘリウムは、現在地球上に埋蔵されたもののみが頼りですが、全宇宙では水素に次いで豊富な気体なのです。

実は、太陽のような巨大な光る星、恒星の中では「核融合反応」が発生しています。

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核融合反応の中でも、水素からヘリウムを作るのが最も簡単であり、現在の太陽はこれを繰り返しています。

この時に発生するエネルギーが毎日、地球上に降り注いでいるのです。

現在の地球上では、核融合は実現していません。

しかし、昨今の代替エネルギー問題の切り札的存在として、21世紀中の実用化が期待されています。

現在、世界で運用されている原子力発電は、ウランなどの非常に重い元素を、ゆっくり「核分裂」させ、1つの重い元素から複数の軽い元素を作り出すことで、エネルギーを発生させています。

核分裂は、連鎖反応をひきおこすため、使用を誤るとたちまち暴走してしまいます。

しかし核融合の場合はその発生条件が非常に厳しく、暴走とは無縁なため、将来の新しいエネルギーとして期待されています。

核融合が実用化されれば、ヘリウムは新たに作れることになるわけなので、ヘリウム不足の解消に繋がるのかもしれません。

しかし、もっと早くにヘリウムはなくなってしまうと見込まれているようなので、ヘリウムの風船や変声ガスで遊ぶときは、「次はないかもしれない」という意気込みで挑むのがいいのかもしれません。

By ヒビタカ

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