本当は超過激なラプンツェルの物語~子供には話せません!
「ラプンツェル」という髪が長く、美しい女性の物語は様々な形をして世界中に散らばっています。
2010年公開のウォルト・ディズニーの3D映画、「搭の上のラプンツェル」に登場する魔法の髪をもつ活発で明るい女性のイメージが強いかと思われます。
しかし、古くからの伝承としての中のラプンツェルはちょっと違った一面を持っています。
原作はとても残酷な描写の多いことで知られるグリム兄弟ですらソフトに改変してまうほどに過激な物語
「ラプンツェル」という物語を有名にしたのはあのグリム兄弟です。十数年前、グリム童話の残酷な一面をクローズアップした書籍がヒットした影響もあり、多少過激な点はよく知られています。
しかし、実際の伝承と比較すると、グリム童話では大幅にソフトに改変されているのです。
スポンサーリンク
グリム版のストーリーの説明はあえてここでは語る必要はないでしょう。
誰もが子供時代に読んだ、またはディズニーの映画で見たあのラプンツェルのストーリーそのままです。
美しいヒロインとヒーローが出会い、悪の魔女を倒し、幸せな生活を勝ち取る…グリム童話に限らずあらゆる子供向けの勧善懲悪モノの定番ストーリーです。
どうしてグリム兄弟は物語をソフトに改変してしまったのか?
残虐な面まで含めて、さまざまな形で伝承をありのままの形で記すことの多かったグリム兄弟がどうしてこの物語に限ってソフトに改変してしまったのでしょうか?
実はヨーロッパで古くから伝承されている「ラプンツェル」の物語には多くの性的な描写が語られています。
性行為の末の妊娠…そして堕胎ともとられる描写まで存在していました。
さすがに「童話」で露骨に性的なシーンを描くことはできません。そこで、物語の中から「ラプンツェルの妊娠」そのものをカットしてしまいました。
そうなれば、彼女の妊娠にかかわる性的なシーンや、いくつかの残虐なシーンはカットすることになります。
つまり、グリム兄弟は単に残虐すぎる物語をソフトにしようしたのではなく、単に「性」に関する点をカットしただけでした。
結果としてこれによって「ラプンツェル」はハッピーな話となり、世界中の子供たちを魅了することになりました。
性的な描写をカットすることは正しいことなのか?
子供向けの作品として、「ラプンツェル」はメジャーな存在となり、世界中に広まりました。
しかし、「性的な描写をカットする」という行為によって、ヨーロッパで古くから伝えられる伝承がまったく違ったものとなってしまいました。
スポンサーリンク
今では現地でもオリジナルの伝承が子供たちに伝えられることはほぼなくなっています。
つまり、本当の物語はグリム兄弟によってより広く伝えられることと引き換えに殺されてしまったとも言えるのではないでしょうか。
伝承として伝えられる以上は、そのストーリーにしっかりとした意味があったはずです。
それを現代に生きる私たちが勝手に壊してしまって良いのでしょうか?
もしかすると、性的な描写は安易な考えでの性行為を戒める、といった意味があったのかもしれません。
堕胎を残酷に描くことによって、生まれる前の胎児も大切な命であることを強く訴えていたのかもしれません。
そうなのであれば、この部分はカットすべきものではなかったと思いませんか?
「ラプンツェル」だけではない?改変される物語たち
実はこういった伝承の改変は「ラプンツェル」に限ったものではありません。
「子供向けの作品にするために」という理由で大切な部分をカットされてしまった物語は数多く存在しています。
また、古くからの伝承のみでなく、近代の作品などでも改変は行われています。
代表的な例を挙げれば、イギリスのミステリ作家、コナン・ドイルの代表作である「シャーロック・ホームズシリーズ」なども児童向けにアレンジされたものが多く登場しています。
残酷なシーンや難解なセリフなどをカットしてしまうことによって、確かに子供向けのライトなストーリーになっています。
しかし、これではこの作品の本当の魅力に気付くことはできないでしょう。
もしかすると、今は児童文学作品の名作とされている「ハリー・ポッターシリーズ」なども社会風刺的なものや、ブラックな描写が見られますので改変されて行くかもしれません。
物語を「文化の一つ」と捉えるのであれば、安易な改変は本来すべきではないでしょう。
時代を超えて物語が生き残るためのすべだと言われればそれまでの話かもしれません。
しかし、正しく過去の文化を未来に伝えることも必要なことだと筆者は考えています。
意外と残虐なことで知られる「グリム童話」です。
しかし、そんなグリム兄弟であってもソフトに改変せざるを得なかった物語にちょっとだけ興味が湧いたという方も多いのではないでしょうか?
古くからの伝承ですので、多くのパターンが存在しています。
ネットなどを利用すればいくつかの物語と簡単に出会うことができますので、本当の「ラプンツェル」を探してみてはいかがでしょうか?
本当の物語、本当の文化に出会いにいってみませんか?
Byチリペッパー眞木
スポンサーリンク