金に価値がある本当の理由とは?~ただ美しいだけではありません
金は大変に貴重なものであり、その価値は大きく揺らぐことはありません。
そのため、経済的に不安な時代には、通貨をより信頼できる「金」に替える動きがあらわれるほどです。
金は、世界中の多くの人がその価値を認めています。かつては金そのものが通貨として利用されていたこともありますが、通貨にて取引されている現代においても、国は金をせっせと備蓄しつづけています。
なぜ、金はこれほどまでに、多くの人に価値が認められているのでしょう?実はただ「美しい」だけではない理由があるのです。
金の価値が下がらない理由
金は、その総量がすでに決まっています。見た目の美しさ以上にその価値を絶対的なものとし、通貨や株券のような信用リスクとは無縁の存在となっていますが、それはなぜでしょうか?
スポンサーリンク
現在までに発掘された金の量は、全世界の金をあつめても、せいぜい15万トン程度です。この量は、オリンピックの公式プール三杯分程度となります。
さすがに、これら総量を目の前にすると壮観ではあるかもしれませんが、それは全世界の金を集めた結果です。
フィクションの世界では「金でできた家」などあるかもしれませんが、現実的にそれを建設すると、地球上でほんの数件しか建てられないことになります。
では、これからより多くの金が発掘された場合はどうでしょうか?
実は、地球上に埋蔵された、今後発掘可能な金の総量は予想されており、その量は7万トン程度といわれています。
つまり、すでに地球上の金の半分以上は、人類が管理してしまっているのです。
さらにいえば、金の採掘はビジネスとして利益を産まなければなりません。
しかし、利益が産まれるほどに、金が固まって採掘できる金鉱山はかなりまれであり、そのほとんどは、他の金属と同時に採掘し、利益を補いあうことになります。
実は、海水中にも微量ながら金が含まれていますが、利益が産まれるほど効率的に抽出する技術は、いまのところありません。
人工的に作れてしまう宝石
金と同様に希少であり、宝飾品に利用されるものは、ダイヤモンドやエメラルドなどが存在します。
スポンサーリンク
ダイヤモンドは、ご存知の通り「炭素」の固まりであり、その元をたどると炭とおなじものになります。技術的に人工ダイヤを作れてしまうのです。
幸いにして、人工ダイヤは現代においてはその生産コストが非常に高額となるため、工業用にわずかに作られる程度です。ダイヤモンドそのものの価値を脅かすにはいたっていません。
しかし人工的に作られた「キュービックジルコニア」は、その価値は千分の一以下にも関わらず、見た目はダイヤモンドとほとんどおなじであり、判別はむずかしいとされています。
これらの希少な宝石は、人類が積みかさねてきた技術により、その価値が危ぶまれています。一方で、金はどうなのでしょうか?
人工的に作れないのか?金を作る方法
金が我々の住む地球に存在している以上は、何かしらによってつくられた経緯があるのです。つまり、金をつくることは、理論上は不可能ではありません。
ただ、そのためには非常におおきなエネルギーが必要となります。どの程度のエネルギーかといえば、毎日燃焼をつづける太陽ですら、金をつくるにはまだ足りません。
太陽が燃え続けているのは、核融合反応が常に発生しているからです。
原子の中でもっとも軽い「水素」二つが融合し「ヘリウム」が作られており、この時に発生した膨大なエネルギーが、地球に降り注いでいます。
この「水素を燃焼している状態」は、今後数十億年続くと考えられていますが、この水素を燃やしきってしまった場合はどうなるでしょうか。
次に手をつけるのはヘリウムです。これまでの水素とおなじように、ヘリウムが燃焼され、それ以上に重い原子である「炭素」や「酸素」が生成されます。
ヘリウムを燃焼しきった後は、星が充分な重さを持っているならば、炭素原子をもとに、ネオンやマグネシウムなどのさらに重い原子を生成することが可能です。
しかし、太陽の重さでは、炭素の核融合が行えるほどのエネルギーをたもつことができません。
これ以上の重い原子を作り出すには、太陽10個分程度の、巨大な星が必要です。
この巨大な星が、その最後の姿である「超新星爆発」を迎えて、初めて鉄などの、あらゆる重い原子をつくることができるのです。
金もそのひとつであり、地球上にこれらが存在するということは、この場所で「太陽より10倍ほど巨大な星が、一度は爆発していた」過去があったということです。
はるか昔の爆発で生み出された金が、長い宇宙の旅の末、人の手元にとどいたのですから、それはかなりの奇跡であるといえます。貴重なのも当然です。
現時点では金どころか、核融合の中でもっとも簡単な、水素からヘリウムを生み出すことすら技術的には困難であり、金を作り出すにはまだまだ技術が足りません。
やはり、金の価値はそう簡単に揺るがないようです。
金は、人類が初めて手にした金属であり、太古から魅了しつづけてきました。それは現在でも変わらないどころか、その特性が注目され、工業製品や電子製品にまで使われはじめています。
商品的価値がありながらも、それ自体が通貨と同様に取引可能な価値をもった、不思議なものなのです。みんなが欲しがるのも納得といえます。
byヒビタカ
スポンサーリンク