ブラック企業の飲み会はまさにアルハラ地獄絵図!~これは拷問です!
急性アルコール中毒による事故が多発したことによって、「アルハラ」という言葉も浸透し、強制的にお酒を飲まされる…なんてことはあまりないでしょう。今日では上司が部下を飲みに誘うこと自体が難しくなったとさえ言われています。
しかし、そんな世間の風潮や常識が一切に通用しないのがブラック企業というもの。私が以前勤めていた企業はまさにそんなところでした。
飲み会に参加するくらいなら手当の出ない残業をしていたほうがマシだ!そう叫びたくなってしまうほどに私を追い詰めた超ブラック飲み会の全貌をここに明かしましょう。
開始の合図と同時にイッキ飲み!なぜかスピード勝負です
地獄の飲み会は、全員分の飲み物(もちろんアルコールオンリー…ソフトドリンクなんて許されません!)が揃い、上司の「乾杯!」の合図ではじまります。
ここまでは特に珍しいことではありません。ごく普通の飲み会で見られる光景だと思います。しかし、ここから異常な飲み会がスタートします。全員が一斉にものすごい早さでイッキ飲みをしはじめるのです。
乾杯後の最初の一杯は全員イッキ飲みが強制されていました。その上、自分の上司よりも早く飲み干さなければならない、という謎のルールが敷かれていましたので、立場が低くなればなるほどとんでもない早さで飲み干さなければなりません。
そのルールを守ることができなければ、怒号が響きわたることになります。怒鳴られるだけで済めばまだいい方で、私は一度、イッキ飲みに失敗してしまい、スーツを着たまま真冬の海に飛び込むことを命じられました。上司の命令は絶対ですのでもちろん逆らうことはできません。少し酔った勢いに任せてそのままダイブです。
私はなんとか無事でしたが、場合によっては命の危険さえも考えなければなりません。しかし、超就職氷河期に辛うじて入ることのできた会社でしたので、なんとかしがみつこうと必死でした。
上司に注がれた酒は絶対に5分以内に飲み干すこと!
地獄のイッキ飲みをなんとかクリアすることができたからといって、すぐに楽しい飲み会になるわけではありません。
次に待ち構えているのが、上司に注がれた酒は5分以内に飲み干さなければならない、というしきたりです。下っ端の社員はボトルで入れられた焼酎やウイスキーをストレートで注がれ、それを5分以内に空にしなければなりません。
もし5分を経過してしまうとイッキ飲みを強要されてしまいます。度数の高い焼酎やウイスキーをイッキ飲みさせられてしまうと、命にかかわりますので、少しづつ常に飲み続けなければなりません。
あまり早く飲みすぎると、すぐにまた注がれてしまいますので5分間をフルに使って時間を計算しながら飲むテクニックも必要です。しかし、それでも5分毎に注がれてしまうと最悪の場合、一人でウイスキーの700mlの瓶を1時間程度で飲むことになります。
私は比較的アルコールに強い体質でしたので、完全につぶれてしまうことはありませんでした。しかし、体質的に弱い同僚などは完全につぶれ、立つことさえできなくなってしまいます。
今思い返せば、これは「アルハラ」と呼べるレベルではありません。傷害事件であるといっても過言ではないでしょう。
毎週金曜日にやってくる悪魔の誘い
この超ブラックな飲み会がなんと毎週開催されます。毎週金曜日の夜はプライベートな時間ではないのです。
名目上は自由参加となっていますが、これに参加しなかったことで社内でちょっとしたイジメにあい、居場所を奪われてしまった…なんて同僚もいました。そして、最終的には難癖をつけられて辞めさせられてしまう…つまり、事実上は強制参加となっていました。
散々飲ませるだけ飲ませておいて、本人たちは適度な量で楽しんでいる上司たちは元気ですので、ボロボロの状態になった部下たちを深夜まで連れまわします。もちろん終電の時間で帰してくれたことなんて一度もありませんでした。
そして翌日は土曜日だからお休み…のわけがありません。そこは超ブラック企業です。二日酔いでふらふらの状態でサービス土日出勤をすることになります。
なので私は金曜日の夜は、家に帰ることを諦めていつも会社の床で眠っていました。ありえない量のアルコールを摂取して、堅い床で眠るわけですので、体にダメージがないわけがありません。
激しい頭痛や腹痛に襲われて、現場に出るフリをして救急病院に駆け込んだのも1度や2度ではありません。毎週金曜日にやってくる悪魔の飲み会は、心だけでなく体も間違いなく追い込んでゆきました。
最終的には精神を病んでしまい、この会社を辞めてしまいました。しかし、辞めてからも半年程度はお酒の匂いを嗅ぐだけでこの地獄のような日々がフラッシュバックしてしまい、まったく飲めなくなってしまいました。
今では心も体も回復し、再び適度な量でお酒を楽しめるようになりましたが、いまだに当時上司に連れ回された飲み屋街エリアに足を踏み入れると気分が悪くなってしまいます。
お酒は自分のペースで楽しむことができれば素晴らしいものです。「アルハラ」はそんなお酒を悪魔のような存在に変えてしまいます。
私のように超ブラック企業に入ってしまっても、決してしがみつかないようにしましょう。働く場所は一つではありません。仕事もお酒の量も、しっかりと自分の意思で選ぶようにしましょう。
Byチリペッパー眞木