Alexander Lee Changが目指す独自ファッションとは?
Alexander Lee Chang(アレキサンダー・リ・チャン)ほど、多様な価値観を持っているブランドはないでしょう。
デザイナーはその生い立ちと、スケートボードというスポーツの影響により、独自のファッション観を確立しています。
ファッション業界で育ってきた人とは異なる、独自の視点により生みだされる服は、どのような点が魅力的なのでしょうか。そして、服を通じてデザイナーが目指す活動とは何かについて考えてみましょう。
中国、日本、アメリカの文化を背景に持つデザイナー
ブランド名でもある、デザイナーのAlexander Lee Changは中国人の父親と日本人の母親のあいだに生まれたハーフです。子ども時代をカリフォルニアで過ごし、長いあいだプロスケーターとしても活躍していました。
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おかげでスケートボードを通じてヒップホップなどの音楽にも親しみ、中国と日本とアメリカという三つの文化的背景を持つにいたったそうです。そして多様な価値観を知っているからこそ、枠にはまらず活動しています。
彼は、はじめ服を作ろうとはしていませんでした。ただ、ある時にスケートウェアのメーカーに細かい注文をだしたら「自分でブランドをやったらどうだ?」と言われたようで、以後ファッション業界に関わることになったそうです。
性別や着る人を選ばない、ボーダレスな魅力を持つブランド
しかし、もともと服作りについてはまったくの素人だったため、すぐに自分のブランドを立ち上げることはしませんでした。最初の7年は、前述のスケートウェアメーカーのラインの一つに、ディレクターとして関わります。
そして2003年に独立を果たし、ファッションブランドAlexander Lee Changがスタートしました。同ブランドはユニセックスの服であり、性別の枠組みを越えた自由なスタイルを楽しめる、ボーダレスなデザインが魅力です。
▲上の画像はあるシーズンに作られた服ですが、右側の服はゆったりとした作りになっており、実は女性が着ても違和感がありません。ロールアップしたパンツや赤色が映える靴は、使いようによってはガーリーなアイテムになります。
カラフルでファッショナブルな服は、もともとスポーツウェアだった?
▲こちらの画像の服は先ほどのものより、より女性的なデザインになっており、男性が着ると優しい雰囲気をかもしだすことができるでしょう。着る人の性別によって印象ががらりと違う、という点にデザイナーの強いこだわりを感じます。
また、さまざまな色を組み合わせたカラフルで非常に特徴的なデザインは、着た人に明るさをもたらすでしょう。絵画のような豊かな色彩には、デザイナーがもともと絵を描くのが好きだったことが関係しているのかもしれません。
一見して変わった形のものも多く、いかにもモードな服に感じるものも少なくありません。ですがデザイナーはまったくモードにするつもりはなく、実はブランド立ち上げ当初はスポーツウェアとして制作されていました。
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服のみでは収まらない!デザイナーの目指す創作活動の形とは?
スポーツというより、スケートをやる時に着るものという仮定で作られており、スケートをする時にトリックが映えるようなデザインになっているそうです。
一見動きにくそうに見えるかもしれませんが機能性も考慮されています。
▲またカバンや帽子なども制作しており、作るものを服に限定していません。コレクションの見せ方にもこだわりがあるらしく、スケートボードのトリックの映像のような、クールで思わず目を見張るようなものになっています。
映像の見せ方に対するこだわりには、デザイナーが単にファッションという分野にとどまる気がないことが関係しているかもしれません。彼はいろいろなクリエイターたちとコラボして服以外の創作活動もしたいと考えているそうです。
目指すは世界中で仕事をするマルチクリエイター!?
将来の目標として、世界中を飛びまわっていくつものプロジェクトを手がける人物になりたいと語っていたこともあります。きっとファッションとスケートだけでは、自身の感性を表現するのに物足りないと考えているのでしょう。
もしかするとAlexander Lee Changはこれから、ファッションブランドではなくマルチなクリエイト・プロジェクトになっていくのかもしれません。服作りのみにこだわらないのも、多様な文化的背景をもつ彼ならではです。
とあるインタビューでは、一緒に仕事をしてみたい相手としてスパイク・ジョーンズ(アメリカの映画監督・脚本家・俳優)を挙げており、可能であれば映像の分野にも進出しようと考えていることがうかがえます。
Alexander Lee Changは中国人と日本人の両親を持ち、カリフォルニアで育ったという特殊な生い立ちを持つデザイナーが作りだしたブランドです。多様な文化を知っているデザイナーは、ひとつの枠組みに捉われません。
自由な発想のもと作られた服は、カラフルで人を明るくみせ、しかも性別に関係なく着られるという魅力があります。なぜここまで自由なスタイルを作れるのかと言えば、制作者自身が自由な発想をなくさない人物だからです。
しかしデザイナーはファッションというジャンルに収まる気はなく、機会さえあれば他の分野でも活動しようと考えています。きっと彼が目指すのは、あらゆるものを使っておしゃれに見せる、総合的ファッションなのでしょう。
By 筒井
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