虫歯を放置すると死亡することがあります!~早めの治療がオススメ
誰でも、できれば行かずに済ませたいのが歯医者。しかし虫歯を放置していると、最悪の場合は死亡する可能性もあることをご存知ですか?
痛みを鎮痛剤でごまかし続けても、虫歯が自然治癒することはありません。虫歯の細菌が全身に広がってしまう前に、早めの治療を受けましょう。
虫歯を放置すると、敗血症で死亡してしまう可能性も!
虫歯が原因で死亡した例は、世界中で報告されています。たとえば2013年には、シチリア島に住む18歳の女性が虫歯を放置した結果、敗血症にかかって死亡しました。
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また国民皆保険制度のないアメリカでは、歯科治療にかかる費用を支払えないという理由で、複数の人が虫歯によって命を落としています。たとえば2011年には、24歳の男性が親知らずの虫歯を放置したところ、菌が脳にまで達して死亡しました。
男性は無保険だったため、高額な治療費を支払えなかったようです。
幸い、日本では高品質な歯科治療を保険適用で受けることができます。もっとも理想的なのは半年に1度くらいの頻度で歯科にかかり、虫歯のチェックを受けることです。
それができない場合、少なくとも痛みを感じた時点で受診するようにしましょう。
虫歯菌が全身に広がるまでのプロセスとは?
たかが虫歯が、なぜ死亡にまでつながるのか…その流れをご紹介します。
1.虫歯によって歯が溶かされる
「ミュータンス菌」をはじめとする虫歯の原因菌は、糖分を栄養にして歯を侵食していきます。厳密には、歯に穴があく前であれば「再石灰化」によって自然治癒するケースもないとはいえないのですが、条件が整わなければどんどん穴が深くなっていきます。
2.菌が神経にまで達する
菌が深く入り込んで神経を侵すと、「歯髄炎」という状態になります。この頃には何もしなくても歯が痛むようになりますので、多くの人が受診します。
3.一時的に痛みが消え、病巣が根に広がる
それでも放置すると神経が腐って死んでしまい、痛みが消えます。しかし虫歯が治ったわけではなく、むしろ根の周りに広がっていく段階なのです。この状態を「根尖性歯周炎」といい、やがてあごの骨にまで達して、頬の痛みや発熱などが見られるようになります。
4.あごの骨から、菌が血液へと入る
あごの骨に菌が広がると、やがて骨が腐ってしまう「骨髄炎」になります。また骨髄は血液が豊富なため、菌が血液に入って全身に運ばれていく「菌血症」へと移行します。
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5.全身に菌が広がり、最終的には「敗血症」へ
私たちの体には白血球などの免疫機能があるため、菌が入っても通常は大事に至りません。しかし免疫力が落ちている場合、菌の侵入を防ぐことができず、やがて心臓や肺、脳などに運ばれてしまいます。特に首から下にまで菌が進んだ場合、死亡率は20パーセントといわれるほどです。
また健康な人であっても、元の病巣を治療しない限り常に血流を通して菌が全身をめぐってしまいますので、やがて菌によって血液が腐ってしまう「敗血症」になるリスクがあります。
その結果、発熱や全身倦怠感が現れ、最終的には多臓器不全などによって死亡します。
どんな虫歯なら自然治癒できるのか?
虫歯を放置することがいかに恐いかを、お分かりいただけたのではないでしょうか?「でも、虫歯が自然に治ったという人もいるけれど…」と思う方もいるかもしれませんが、それは前述した通り、痛みの出ていない初期の虫歯に限ります。
歯科検診で、医師が「A」とか「C1」「C2」などと言っているのを聞いたことがあると思いますが、これは歯の状態を分類したものです。ごく初期の虫歯は「C1」といって、歯のエナメル質のみが溶かされた状態を指します。つまりまだ穴が開いていない段階です。
この段階で条件を整えれば、「再石灰化」という現象によって虫歯の進行を抑えることができます。もともと私たちの口内では、常に虫歯菌による「脱灰(歯の浸食)」と、唾液などによる「再石灰化(修復)」がおこなわれています。再石灰化が追いつかず、脱灰が進んでしまうと虫歯の進行につながります。
再石灰化が効率的におこなわれるためには、何はなくとも適切な歯磨きで口内を清掃すること、その上で唾液の分泌をうながすことが大切になります。キシリトール入りのガムを噛んだり、水分をとったりして口内が乾燥しないように気をつけてください。
また再石灰化を妨害しないよう、「ダラダラ食べ・ダラダラ飲み」をしないことも重要です。口に糖分が入ると、それをエサにしてただちに歯の脱灰が始まります。再石灰化はその後にやや時間をかけておこなわれますので、またすぐに糖分を入れてしまうと再石灰化するヒマがなくなってしまうのです。
根の治療を途中でやめるのは危険!
こうしたことに気をつければ、初期の虫歯であれば自然治癒できる可能性はあります。しかし歯に穴が開いたり、痛みが出てきたりする段階になると放置して良くなることはまずありませんので、治療を受けることが大切です。
特に虫歯が神経にまで達する「歯髄炎」を起こしている場合は、早急に受診しましょう。「C3」以上進行していると、時間のかかる根の治療をおこなう必要が出てきます。
ちなみに根の治療を途中で中断してしまうと、より虫歯菌が根のほうに広がりやすくなってしまうため非常に危険です。何度も通院しなければいけないため面倒ではありますが、かならず最後まで受けるようにしてください。
By 叶恵美
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