若年性健忘症の人が激増している理由~パソコンの普及で脳が退化!?
まだ若いのに、最近もの忘れが激しい…そんな人は「若年性健忘症」にかかっているかもしれません。
特に近年では、携帯電話やパソコンの普及にともなって患者数が急増しているといわれています。あなたは大丈夫ですか?
会話の中に「あれ」が増えた人は要注意!
「聞いたことが覚えられない」「相手が何を話しているのか、要点がつかめない」…こんな症状を抱える20~30代の若者が増えています。深刻なケースでは、会社を辞めざるを得ない人もいるようです。
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健忘症は、「物忘れ」ともいわれます。アルツハイマー病と違って脳に変異が見られないため、CTやMRI検査をしても特に異常は認められません。
誰しも加齢とともに多かれ少なかれ記憶力は低下していきますので、病的でないという意味で「健忘症」と呼ばれるのです。
しかし20~30代で発症してしまうと、仕事や日常生活に大きな支障が出てしまいます。「知っているはずの言葉が出てこない」「人との会話に詰まってしまう」「勘違いが多くなった」などの症状がある人は、要注意です。
機械に頼りすぎると、脳が退化してしまう!
「若いうちは、何もしなくても脳は元気」…そんなイメージを持つ人も多いと思いますが、実は脳は「使わなければ退化するもの」です。ですから年齢に関わらず、脳に刺激が少なければ機能が低下していき、健忘症になってしまう可能性があります。
特に近年では携帯電話やパソコンの普及にともなって、若い人が頭を使わなくなっていることが問題視されています。たとえばひと昔前なら、家族や友人の電話番号は誰もが暗記していたものでしたが、今ではボタン1つで呼び出せるため、わざわざ記憶することは少なくなりました。
また漢字も自動変換できることから、「読めるけれど書けない」人が急増しています。
「でも仕事では頭を使っている」と言う人もいると思いますが、毎日特定の作業しかしていない人は、脳も一部分しか使っていない可能性があります。特にマニュアル化された仕事をしている人は、「自分で考える」機会が少ないため、健忘症にかかりやすいといわれているのです。
さらに仕事に追われるなどして、単調な日々を過ごしている人も健忘症のリスクが高いとされています。毎日の中に変化がない分、脳への刺激も少ないと考えられるためです。
若年性健忘症を予防する3つのポイント
以上のことを踏まえて、若年性健忘症を予防するためには以下のようなことに気をつけてみましょう。
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1.頭を使う習慣をつける
何でもかんでも携帯やパソコンに覚えてもらうのではなく、できるだけ頭で記憶するか、自分の手を使ってメモをするようにしましょう。また簡単な計算なら、電卓ではなく自分で暗算することも脳への刺激になります。
普段なかなか難しい人は、「脳トレ」の類を試してみるのもいいでしょう。
2.しぶとく「思い出す」習慣をつける
健忘症は、記憶そのものが抜けているわけではないため「何かヒントを与えられれば思い出せる」ことがほとんどです。しかし、すぐにパソコンやスマホで検索したり人に聞いたりして安易に答えにたどり着いてしまうと、脳神経が刺激されず、悪循環になってしまいます。
ですから何かを「ど忘れ」してしまった時は、少なくとも1分間は自分で思い出す努力をしてみましょう。これだけでも脳神経が活発化し、健忘症に歯止めをかけることができます。
3.毎日の中に変化をつける
いつも同じような仕事をし、家でも同じように過ごす…そんな日々を送っている人は、意識して変化をつけるようにしてみてください。週に1度でも、何か習い事やサークル活動などができればいいですね。
また普段パソコンに触れる時間が多い人は、画面から離れて戸外に出てみる、逆に外での仕事が多い人は家で読書をしてみるなど、普段の自分の行動パターンとは違うことをしてみるようにしましょう。
それが脳のさまざまな部位を活発化させることにつながるのです。
健忘症と、若年性アルツハイマー病の違いとは?
若くして物忘れがひどい場合、健忘症ではなく「若年性アルツハイマー病」を疑う人もいると思います。アルツハイマー病と健忘症は、似て非なる病気です。
まず「若年性」といっても、アルツハイマー病の場合は若くて40歳ごろからの発症が大部分を占めます。通常のアルツハイマー病は65歳以上に多いため、それ以下で発症するものを若年性と呼ぶのです。
また健忘症では、本人が「忘れっぽくなった」ことを自覚していますが、アルツハイマー病では自覚症状がほとんどないことも特徴です。ですから周りに指摘されると健忘症の人は「そうだった!」と気づく一方、アルツハイマーの人はまったく身に覚えがなかったりします。
他にも、その人らしい個性が失われたり、異様に細かい部分にこだわったりするようになった場合はアルツハイマー病の可能性があります。いずれにしても脳の検査を受けることではっきりしますので、診断のためには脳神経外科や「物忘れ外来」のある病院にかかりましょう。
ただし健忘症でも、まれに重症化する人がいることも事実です。記憶する習慣がなくなることで、アルツハイマー病と同じく「海馬」が萎縮してしまうことがあり、その場合は回復が難しくなることが分かっています。
そうならないためにも、「最近忘れっぽくなった」と感じた時点で対策を練るようにしたいものです。
By 叶恵美
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