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新進気鋭の作家ニコラ・ビュフに見る日仏の共通点とは?

2014.06.20

新進気鋭の作家ニコラ・ビュフに見る日仏の共通点とは? はコメントを受け付けていません

ニコラ・ビュフは今話題になっている、フランス出身の新進気鋭の作家です。

フランス人らしい、ポップな作風のなかに普遍的なテーマを込めた作品群は、母国フランスだけでなく、日本でも高い評価を受けています。

彼は自分の創作のルーツとして日本の漫画やアニメといったサブカルチャーを挙げているので、日本人にとって作品が魅力的に映るのも当然でしょう。彼の創作物を見ていけば、日本とフランスに共通したなにかが見つかるかもしれません。

人気急増中!?今話題の作家

フランス人作家ニコラ・ビュフは、2012年にパリのシャトレ座で上演されたオペラ「オルランド・パラディーノ」のアートディレクションを担当したことで、高い評価を得ることとなり、新進気鋭の作家として注目を集めました。

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彼は小さいころから日本やアメリカのアニメや漫画に親しんでいたと同時に、ヨーロッパに古くからある伝統的な芸術文化にも触れてきたそうです。結果、彼の作るものは西洋と東洋の文化が入り混じったものになっています。

注目すべきは、日本の伝統文化ではなくアニメなど現代文化の影響を強く受けているという点です。おかげで浮世絵などの影響を受けた海外の画家たちと違い、彼の作品にある日本的なものは、日本人が描く「西洋」のにおいがします。

日本人が思い描く「ヨーロッパ」が取り入れられた作品

ロボットのような形のメカピノキオ▲たとえば上の画像は、彼の作品のひとつである「メカピノキオ」です。ひと目見ただけで、多くの方が有名な童話のピノキオではなく、アメリカのアニメとしてのピノキオの特徴が色濃くでていることが、わかるでしょう。

さらに、胴体の部分は海外の映画にでてくるようなサイボーグの身体ではなく、日本の特撮ものやアニメでよく見かけるロボットの形が反映されていることが見て取れるはずです。どちらも現代日本人にとってはなじみ深いものでしょう。

西洋の方が日本的なものを取り入れると、どうしてもヨーロッパ的なデザインになってしまいがちですが、ニコラ・ビュフは違います。彼の作品からは日本人の創作物特有の「ヨーロッパ的なもの」の特徴が失われていません。

日本でさまざまなことを学んだからこその作風?

理由としては、ニコラ・ビュフが2007年から実際に東京で暮らしていることや、東京芸術大学で我が国の美術について学んでいることが挙げられます。しかし、単に日本にいるから理解している、と考えるのは浅はかでしょう。

新進気鋭のフランス作家が日本の文化を正確に吸収した背景には、フランス人であるということが関係しているのではないかと考えられます。なぜなら、日本と彼の国は意外にもさまざまな共通点をもっているからです。

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たとえば食に関して言うと、おいしさを求めて熱心に料理を研究する姿勢や、味だけでなく見た目にも気を配る点などが挙げられます。他にも両国とも「県」の制度だということや、首都を中心とした中央集権国家という点でも同じです。

日本とフランスは似ている?伝統と現代文化が混じり合う国

さらには言語がよその国のひとには難解なものであったり、自国独特の文化をもっていたりすることでも共通しています。映画などで多くを語らず、見る側の考えに委ねる結末が少なくないのも、日本やフランスならではでしょう。

つまり、ニコラ・ビュフという作家が日本のサブカルチャーを、「日本的」に吸収することができたのは、育った環境や学んだ場所だけでなく、フランス人の感性に日本人と似ている部分があるからと言えるでしょう。

伝統建築の雰囲気を持ちながらユニークでポップな作品▲画像もニコラ・ビュフの作品のひとつですが、ヨーロッパの伝統的な建築の雰囲気をただよわせるとともにユニークでポップに仕上げているさまは、日本人が茶などの伝統文化を現代文化に融合させたことを連想させます。

絶妙なバランスでミックスされる今と昔のカルチャー

クラシックなデザインに現代的ユーモアを取り入れたもの▲上の作品からは日本のファッションブランドのような、クラシックなデザインに現代的ユーモアを取り入れるという発想が感じとれるはずです。そして上記のことは、両国に共通する、あるひとつの考えを示しています。

それはどちらとも、長い歴史のなかで育んできた伝統を重要視して失わないようにしつつ、現代文化として昇華させるということです。「既存の文化の魅力を残したまま引き出す姿勢」と言い換えることもできるでしょう。

つまり伝統のよさを残しつつも、新しいものをくわえることができる感性こそが共通点です。だからこそ、ニコラ・ビュフという人物は西洋と東洋の文化をすばらしいバランスでミックスした作品を生みだせるのではないでしょうか。

西洋的なものと東洋的なものを融合させた作品

今をときめくフランス人作家ニコラ・ビュフは、小さいころから日本のアニメや漫画といった文化に親しんできました。彼の作品はヨーロッパ的なものとアジア的なものを絶妙なバランスで融合させた、とても魅力的なものです。

彼の作品の数々は、伝統的なよさと現代のポップさの両方を壊すことなくミックスさせています。なぜかと言えば、ニコラ・ビュフは我が国と似た文化的背景をもつフランスで生まれた人であり、ある意味で「日本人らしい」からです。

ただ、いくら国に共通点が数多く存在していたとしても、必ずしも上手に他の文化を吸収できるわけではありません。創作物がすばらしい魅力をもっているのは、やはり作家自身がすばらしい才能と感性をもっているからでしょう。

By筒井

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