精神分裂病とよばれた過去と社会的サポートの必要性
2002年、日本の精神神経学会はかつて「精神分裂病」と称された病気を「統合失調症」と言い改めることを決定しました。
この時期はさまざな呼び換えが進んだ時期でもあります。痴呆が認知症と呼ばれるようになったのも同時期です。
病名を変更した理由とは
呼び方を変える理由はさまざまあります。統合失調症の場合には、誤解を避けて正しい理解を誘導するという目的で変更されたようです。
「精神分裂」というとあなたはどのようなイメージを持つでしょうか?
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多重人格のようなイメージを持ってしまうかもしれませんし、精神が壊れてしまう人格崩壊のようなシーンを想像してしまうかもしれません。
しかし、このような理解は正しくはありません。
100年前につけられた病名
統合失調症が一種の病気であるということが認識され始めたのは、200年以上も前のことだと言われています。
100年ほど前にはスイス人の医師が「スキゾフレニア」と病名をつけました。これをそのまま訳したのが精神分裂病だったわけです。
どういう意味でこのようにつけたのかというと、心が割けてしまって考えや感情をまとめることができなくなってしまっているからだ、と言われています。
当時は正確な病気についての理解がありませんでしたので、誤解はさらなる誤解を招いていったわけです。
病名変更にはもう一つの意味があった
精神分裂病と呼ばれた時代には、決して治ることがない病気だというイメージがもたれていたようです。
しかし現在では有効な薬なども開発されていて、すでに時代遅れな考え方となっています。
参考記事:統合失調症の治療で処方される抗精神病薬と新薬の正しい知識
このような病名にまとわりつく偏見を払しょくする目的もあって、病名変更が行われたというわけです。
社会復帰のために
統合失調症が治ったと表現される場合には、「寛解」「回復」「リカバリー」など様々な状態があります。
寛解に至るとまずは一安定していますが、それで社会的に復帰できるとは限りません。
医療的には回復という状態を目指していくことが望ましいのですが、完全に自立して生きていけるような状態になる方はわずか4人に1人だと言われています。
残りの75%の方に対しては、周囲や社会のサポート体制が不可欠となります。
では、実際どうすればいいのか
具体的にどのような支援が必要となるのでしょうか。
・家族の理解
患者さんにとって一番身近な存在となるのはやはり家族です。若い方が罹患することが多いこの病気。
大変かもしれませんが、父母が協力をして支援をしていってあげることが大切となります。
もちろん家族だけでは限界がありますので、医療スタッフなどと連携をして力を借りながらサポートしていくこととなります。
・友人の理解
自分は孤独だと思ってしまうことが多いため、家族以外の知人友人などの理解も不可欠となります。
・社会の理解
社会復帰するためには何より社会的なシステムが必要だと言われています。
統合失調症の患者さんを対象とした復帰プログラムなどの充実が不可欠となります。
この他、患者さんを支えていく家族をバックアップするような社会的仕組みも整備されなければなりません。
十分でない現状では、父母会などの自助組織が重要な働きを果たしています。
現時点では支援体制が不十分ですが、一昔前と比べると確実に進歩してきていると言われます。
ますます発展させていく必要があります。
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