「食べ物を残したら鶏が死ぬ」というインドネシアの言い伝え
「食べ物を残したら目が潰れる」この迷信は誰でも一度は耳にしたことがあるでしょう。
科学的に考えれば食べ物を残して目が潰れることはありません。
今まで誰一人として食べ物を残して目が潰れたという事例は発表されていませんので、食べ物を粗末にすると罰が当たるという戒めを込めた迷信であることが分かります。
お米は江戸時代には税としてお金の代わりに使われていました。そこで、ご飯を食べなくなることで米の価値がさがらないように各地にそういった迷信が広がっていたものと考えられています。
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もちろんこのような話は日本に限らず世界中にありますが、私がインドネシアで耳にしたのはなんと「食べ物を残したら鶏が死ぬ」という耳を疑うような言葉だったのです。
大好きな鶏のためにがんばる子供たち
インドネシアは宗教色が強い国であり、敬虔なイスラム教徒は豚を食べませんし、敬虔なヒンドゥー教徒は牛を食べません。
そのため宗教のしがらみを受けない鶏肉は国内全土で人気であり、お肉といえばまずアヤム(鶏肉)というほど愛され、多くの家庭の裏庭で飼育されています。
この鶏と密着した生活から生まれた言葉が「食べ物を残したら鶏が死ぬ」という言葉であり、インドネシア人はみんな子供の頃からこの言葉を言わ続けて育ってきています。
米粒を残せばすぐさま母親をはじめ、たくさんの人から「ほら!ここで食べ物を残したら鶏が死ぬよ?いいの!?」と責められます。
いつも餌をあげている大好きな鶏、大好きなおいしい鶏肉、それが私がごはんを残すことで死んじゃうの…?子供達はそう考えるとポロポロと涙をこぼし、お皿に残った米粒を一つ一つ丁寧にかき集めて口に運ぶのです。
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そして綺麗に食べ終わったら「ママ、食べたよ!これで鶏さん死なないよ!」と空のお皿を掲げて自慢し、親親戚はそんな子供を褒め称えます。
脈々と語り継がれる文化
これを一度子供に覚えさせれば後は簡単、ごはんを残したら「鶏が死ぬよ!」と連発すれば慌ててみんな食べ出すようになるのです。
もちろん大人になって信じている人はいませんが、友達が大勢で集まって食事をし、誰かがごはんを残したとき「鶏が死ぬよ!」と突っ込めば、みんな子供の頃を思い出して大爆笑します。
インドネシアは島々によって文化が異なりますが、この「食べ物を残したら鶏が死ぬ」という伝承は国全土で共通するものです。
大人になれば「食べ物を残して鶏が死ぬわけないじゃん!」なんて笑いながら、やっぱり自分の子供には同じように言い聞かせてるんですけどね。
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