『投資が怖いから貯金』は大間違い – 現金は『日銀の株券』である
「私は株とか怖いから、現金で貯金していきます」という人は多いです。気持ちはわかりますが、実はこの考えは「大間違い」です。
「現金」だって立派な「株券」なのです。ここではそう言える理由を解説します。
インフレになると、現金の価値は一気に落ちる
インフレというのは「物価が上がる」ということです。物価が上がるということは、「現金の価値」は落ちているということです。
たとえば月給30万円などの金額は変わっていなかったとしても、物価が2倍になったとしたら、「今までより2倍不自由な生活になる」ということなのです。
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極端な話、食べられるご飯の量も半分になるということです。(超単純計算をした場合、ですが)
これだけでも「現金=株券」ということがわかるでしょう。現金というのは「日銀=日本政府」に対する信用で成り立っている株券なのです。
「株式会社・日本」の株券なのです。現金を信用して、それを使い、それを貯金しているということは、すでにこの「株式会社日本」に対する投資に参加しているということなのです。
世界での日本円の価値も日々変動している
上に書いたのは国内だけでの変化ですが、これに加えて「世界での日本円の価値」も日々変動しています。
たとえば「円ドル相場」でいけば、1971年までは「1ドル360円」でした。(これは「円安」です)
それが2011年には「1ドル75円」になっていました(これは史上最高の「円高」です)。
仮にこれから40年で、この歴史を「逆再生」するとしたらどうなるか、シミュレーションしてみましょう。
・2011年、Aさんが「7500円」を持っていた。
↓
・Aさんはそれを「100ドル」に変えた。
↓
・40年後、2051年になった。
↓
・「1ドル360円」になったので、Aさんの100ドルは「36000円」になった。
というわけです。Aさんの資産は40年間で約5倍になったわけです。
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Aさんは「円をドルに変えた」から得をしたわけですが、これが逆に「ずっと円のまま」だったら、Aさんの資産の価値は「5分の1」になってしまったということです。
「別に海外旅行とか行かなければ、世界的な価値が下がってもいいんじゃない?」と思われるかも知れません。
確かに、発展途上国の人々で、おそらく一生海外旅行など行かないだろう低所得の方々も、現地に行くと楽しそうに暮らしています。
なので、日本円の価値が下がったとしても、それで不幸になる、ということはないでしょう。
しかし、海外旅行には行けません。今の日本人がしているように、海外の商品を安く仕入れて楽しむ、ということもできません。経済的な選択肢が、明らかに狭まります。
日本円をずっと「貯金」していて、その間に世界的な価値が下がってしまった場合には、本人がまったく気づかないうちに、こんな事態に巻き込まれている、ということになるのです。
マネーの世界では、勉強をしない人間はどんどん取り残される
上で書いたようなことは、マネーの知識の「初歩中の初歩中の…(中略)…初歩」に過ぎません。
マネーの世界は税金でも投資の仕組みでも、すべてがとにかく複雑になっており「勉強していない人間は入り込めない」ように作られています。
(もっときついことを言うと「勉強していない人間から巻き上げる」システムになっています)
これは私個人の見解ではなく、ある程度世の中について勉強している人であれば、必ず言うこと(あるいは、言わなくても実感していること)です。
たとえば福沢諭吉の『学問のすすめ』は「天は人の上に人を作らず…」というフレーズで有名ですが、これには続きがあり、その内容は以下のようなものになっています。
「しかし、現実には貧富の差があり、貴賎の差がある。この差はどこでついたのか?学問である。世の中に取り残されたくなければ学問をしろ」
という内容です。これは個人に向けて言っている部分もありますし、学問の遅れによって西洋に差をつけられた日本に対して言っている部分もあります。
ただ、「勉強しないと取り残される」というのは、どちら向けでも共通しているメッセージです。だから、あの著作のタイトルは『学問のすすめ』なのです。
犬の世界で嗅覚と牙と脚力が、生きるために一番必要な武器であるのと同じように、人間の世界(資本主義社会)で生き残るために一番必要なものは「頭脳」と「人格」なのです。
(人格というのは、ただの「いい人」ではなく、たくましく社会や人と戦いながらも、人を好きになったり好かれたりすることができる、バランスのとれた精神、という意味です)
冒頭に書いたような「私は株は怖いので貯金を…」というような人は、悪い方ではないのでしょうが、少々甘すぎます。
ここに書いたような基本中の基本である「現金=日本政府の株券である」という最低限の意識くらいは持っておくようにしましょう。
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