病院へ行きたがらない統合失調症患者をどうやって説得するか
統合失調症の患者さんの特徴、それは自分では異常があることに気づいていないことが多いということです。
ただでさえ偏見が強い精神科という病院、無理矢理連れて行こうとすると強硬に拒んでくるようなケースもあります。
それに対して、どなりつけるような方法でアプローチしてしまいますと、かえって閉じこもってしまうようなケースも考えられます。
ではどのように対処そして説得していけばいいのでしょうか?
アプローチは負担をかけない形で
基本は、本人の不安をくみ取るということ、そして心配しているんだということを伝えるということです。
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どのような言われ方をすれば素直に病院に行くように感じるでしょうか。負担が少ないような形がベターでしょう。
「おまえは病気だ」と断言するような良い方よりも、「様子がおかしい」「心配している」という家族側の心情をベースに訴えていった方が訴求力が高いと言えるでしょう。
自分の言葉で相手に響くような声かけを
これまでの家族生活を通して、心が通じ合った瞬間はあるでしょうか。一切ないということは少ないはず。
そのような瞬間のことを思い出して、どのような言い方をすれば一番心を動かしやすいのか考えていくようにしましょう。
一般向けのテンプレ会話は、必ずしも良策とは言えません。
これまでに培った信頼関係に基づいて、自分の言葉で相手に響くような説得をしていくことが大切です。
さて、本人を重視するということをこれまで説明してきましたが、「病院に行きたくない」という訴えは絶対に聞き入れないようにしましょう。
治療が遅れれば遅れるほど、回復は困難になっていきます。
何が何でも病院に連れていく、この強い思いをやわらかい形で伝えていくことが大切なのです。
受診は必ず家族が同行すること
説得の結果、「病院に行くよ」という言質を取れたとしましょう。
このような場合、安心しきって本人に任せてしまうようなケースも少なくはありません。
しかし、いっこうに行く気配がない、行ったと言っていたのにウソだった、一度行ったきり通院しなくなった、というような場合も決して珍しくはありません。
基本的には、本人と一緒に病院まで行って確実に診察を受けさせるようにしましょう。
症状・状態などを正確に伝えるためにも、家族が同行するのは非常に大切なことです。
一緒に説明を受けるだけではなく、家族のみで説明を聞くということも可能です。
場合によっては、事前に病院側にお願いをして、家族のみが病院で相談をするということも不可能ではありません。
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あらかじめきちんとした状態を説明しておくは、治療計画を立てていくためにも非常に重要となるからです。
突然通院を拒んでも辛抱強く接することが必要
一度は通院することを了承してくれたのに、当日の朝になると様々な方法で拒もうとする患者さんも珍しくはありません。
そのような場合、たたいたり怒鳴ったりしてはいけません。
しかし、それでは通院はやめにしようかということも好ましくはありません。
辛抱強くなだめながら説得をして、どうにか連れていくようにしましょう。
最悪の場合には強制的に病院に連れていくという方法も存在しています。
ですが、基本的には本人の同意がある状態で連れていくようにしたいものです。
10~20%程度の機関が実施している往診
どのようにしても病院に行こうとしてくれない場合、医師の側から自宅に来てもらえれば手っ取り早いですよね。
そのようなニーズにこたえるための「往診」という制度が存在しています。
各地には様々な精神科がありますが、そのうち10~20%程度の機関が実施しています。
たとえば、自室に引きこもって出てこないような場合であっても、医師が扉の前で語りかけて診断などをしてくれることがあります。
薬の処方などを受けることも可能となるでしょう。
向精神薬を処方されると病状も落ち着いてきますので、病院に行くように説得するのも比較的簡単となります。
ファーストステップとして、往診という選択肢は非常に有効なのです。
次第に医師とのコミュニケーション・ラポール(信頼関係)が築かれていって、素直に病院に行くようになったと言うようなケースも珍しくはありません。
ちなみに往診を依頼することができるのは、保護者・配偶者のいずれかとなります。
往診機関を探す方法と注意点
現状としては、まだまだ実施している病院が少ないのが現状。まずは電話帳などを用いて探してみるといいかもしれません。
市役所などに問い合わせをするという方法も有効でしょう。
医師の診察を受けずに薬を処方してもらうのは違法行為です。
やむをえないという主張もあるかもしれませんが、やはりこのような方法は勧めることができません。
医師に直接出向いてもらって、診察をしてもらう。その上で薬をもらうという手順をしっかりと踏むようにしたいものです。
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