いまだ存在する統合失調症に対する社会的な偏見と家族の孤立
今では統合失調症への理解も進んできたと言われることがあります。
確かに、精神分裂症と言われていた時代と比べると、病気についての認知度も上がり社会全体で支えるための土壌が形成されてきつつあります。
しかし、まだまだ社会の偏見が残っているのは事実です。これを恐れて、家族や本人は外部に頼ることができなくなり、孤立を深めていってしまっていると言われています。
近隣関係の悪化で10家族に1つ程度が転居を考える
偏見というのとは少し違う話となりますが、本人の奇特な症状を原因として近隣との関係が悪化してしまうこともあります。
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たとえば統合失調症によく見られる幻声という症状。これは、壁の向こうから隣の家のおばさんの罵る声が聞こえてくるというような形で現れることがあります。
もちろん、本人にとってはそれがリアルなわけですから、何の敵意もない隣のおばさんと臨戦態勢になってしまうこともあるのです。
また、暴れる音がする、夜中にわめきだすなどの症状も考えられます。
このようなことが原因で、他の地域に転居しなければならなかったような家族も存在しています。だいたい10家族に1つ程度がそのような状態となっているようです。
単に肩身が狭い思いをしたというケースでしたら、実に半数以上の家庭が経験があると回答しています。
統合失調症だと伝えている範囲
統合失調症にかかってしまった、このことを看病しているご家族はどのラインまで伝えるようにしているのでしょうか?
基本的には、家族の内部、特に親しい知人、友人などごく一部に限定しているようです。
親戚であっても、同居していないような場合には、伝えずにおくことが多いようです。
家族内にはすべて伝えているけど、知人・友人には「心の病」としか伝えていないというようなケースもあります。
伝えるか伝えないかだけではなく、伝える程度にも限定をつけていることが多いのです。
なぜ伝える範囲を限定しているのか
これは改めて説明するまでもないかもしれませんが、精神疾患に対する世の中の目は依然として厳しいものがあります。
たとえば、お隣に統合失調症の患者がいるというだけで強い拒絶反応を示してしまうこともあるでしょう。
家族に統合失調症がいるのであれば、結婚できない。このように無慈悲な考えをする方も少なくはありません。
まだまだ統合失調症に対する世の中の目は厳しいのです。実はそうでもない場合にも、患者さん・ご家族自身が「偏見が強い」と思い込んでしまうこともあります。
差別されることを恐れて、必要以上にブレーキを踏み込んでしまうのです。悪循環ですね。誹謗・中傷が事実存在する以上、ある程度伝える範囲を限定するのはやむをえないことです。
しかし、それがあまりに過度になってしまうと闘病生活の中で孤立してしまいかねません。やがて家族も心の病に倒れる・・・このようなパターンは少なくはないのです。
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