たとえ出血が10リットルでも手術中なら人間は生きられる!
手術での出血は、避けがたいものです。もちろん、出血を少なく手術をすることは、その執刀医の手にかかっているといえますが、血管を切ったり、縫合したりなどすれば、出血は避けられません。
そこで、今回は私が経験した大量出血の手術の事例をご紹介します。
帰ろうとしたときの突然のコール
その日は、日中の手術がすべて終了し、これから同僚で食事に行く約束をしていました。
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しかしながら、手術室を出ようとした瞬間に手術室コールが鳴りました。帰ろうとしたときに鳴るようなコールは嫌な予感がするものですが、この日もその予感は的中しました。
救急外来より、「ラプチャーです。緊急手術をお願いします」との事でした。ラプチャーというのは、動脈の破裂を意味します。
風船に水を入れて、その風船に針を刺して破裂させるイメージですね。つまり、腹腔内で大出血したということになります。
20時間勤務でも疲労感はなし
私はその緊急手術の外回り看護師として、手術看護を展開していきました。
その日は朝の8時から働いていましたが、手術が終了したのは日をまたいだ4時です。結局、20時間勤務となりましたが、その日の疲労感はありませんでした。
それは、緊急手術の看護に対して、緊張の糸が張りすぎて疲労を通り越してしまったからです。
血液のにおいで充満した手術室
しかしながら、その手術は壮絶なものでした。とにかく出血が多く、手術の部屋も常に血液のにおいで充満していました。
結局、10リットル以上の出血を認めたわけですが、まず人間が10リットルの出血することは、ほとんどありません。人間が10リットルの出血をするためには、最低でも約150キログラム前後の体重が必要だからです。
出血した血液をまた自分の体に戻す
このような手術をするときは、出血した血液を特別な機械で処理して、その後、血管内へ投与します。つまり、出血した血液が、また自分の体に戻るというようなことをします。
私はこの手術に神経を研ぎ澄ませながら、手術看護を行っていた一方、純粋に医療ってやっぱりすごいなぁと思った瞬間でした。
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