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うつ病の患者さんの脳内ではどのようなことが起こっているのか?

2014.01.06

うつ病の患者さんの脳内ではどのようなことが起こっているのか? はコメントを受け付けていません

現在のところ、完全には解明されていませんが、うつ病の原因としては、脳の何らかの機能不全があるということがうつ病の患者さんの脳の研究により、解明されつつあります。

脳は、情報をキャッチし、「嬉しい」、「悲しい」などの感情を生成します。よって、感情を生成する大脳辺縁系や思考をつかさどる前頭葉の機能に何らかの問題が生じ、うつ病が発症すると考えられているのです。

つまり、うつ病は、心の病気であると同時に、脳の病気でもあるというわけなのです。

患者の脳内で起こっているトラブル

なぜ、脳の機能が阻害されるのかについては、いくつかの仮説があります。とりわけ、よく挙げられるのが、セロトニンなどの伝達物質の減少により、うつ病が発症するという「モノアミン仮説」です。

神経細胞同士は、シナプス間隔という隙間(連結部)によって繋がりを有しており、シナプス間隔で多様な伝達物質をやりとりしています。

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情報伝達は、シナプス前神経細胞から神経伝達物質が放出され、シナプス後神経細胞にあるレセプター(受容体)がそれを受け取ります。

役目を終えた神経伝達物質はレセプターから放出され、シナプス前神経細胞に再び受け取られ、分解されるのです。

神経伝達物質が十分に放出されないとか、レセプターが受け取らないといった場合、情報がきちんと伝わらないことになります。うつ病の人の脳内では、このようなトラブルが生じているといえるのです。

神経伝達物質との関係性

神経伝達物質のうちでも、セロトニンやノルアドレナリンといった非常に重要な働きをする化学物質は、「モノアミン」と呼ばれ、うつ病のとの関連性が指摘されています。

セロトニンの約90%は、腸の粘膜に存在していますが、その他にも、血小板に約8%、脳内に約2%存在しています。セロトニンは、脳内において、体温調節、睡眠、摂食抑制、吐き気、攻撃的行動、幻覚などに関連した情報伝達を司っています。

ノルアドレナリンは、副腎皮質から分泌される交感神経系の伝達物質として知られますが、同時に、脳内にも分布しており、意欲や活動性などの調整の働きをしています。

うつ病患者の脳内では、セロトニンやアドレナリンの分泌が十分でなかったり、機能が不十分であることなどが知られています。

うつ病の治療薬は、セロトニンやノルアドレナリンが再び受け取られることを阻害し、シナプス間隔での、これら神経伝達物質の濃度を高めるといった働きがあります。

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家族内での発症率は通常の1.5~3倍

うつ病の発症には、親から受け継いだ、生来の体質も影響しています。

血縁関係にある親族内にうつ病と、生来の体質に関する研究、家族内の人間がうつ病を発症しやすいことは周知であり、親子・兄弟にうつ病の人がいのる場合、家族内で発症する確率は、そうでない場合に比べて1.5~3倍高くなるといわれています。

ただし、家族内での発症は、生来の体質だけではなく、生活環境が同じということもあるため、考え方や行動が類似しているということが背景にあるという説もあります。

だからといって、「親や兄弟がうつ病になったから、自分もなるのでは」などと心配し過ぎる必要はないといえます。可能性が全くないとはいえませんが、皆がそうなるとは限りません。

ただ、ストレスの多い生活をしている場合、生活自体を見直してみるなど、日頃からの注意は必要であるといえます。

生まれつきの体質によっても発症する?

うつ病と、生来の体質に関する研究は、数多くあります。

幼少期に養子に出された人に関する研究がありますが、育ての親がうつ病になった場合に、養子がうつ病になる確率よりも、生みの親がうつ病になった場合に、養子がうつ病になる確率の方が高いという研究報告があります。

他方、双子に関する研究にも興味深いものがあります。一人がうつ病になった場合、もう一人がうつ病になる確率は、二卵性双生児の場合よりも、一卵性双生児の場合の方が高いといわれています。これは、一卵性双生児は、同じ遺伝子を有しているためです。

ただ、遺伝子のみが原因であるとすれば、一卵性双生児のうち、二人ともうつ病になる確率は100%ともいえそうですが、実際には、一致率は約40%に過すぎません。

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