毎日あたり前に届く朝刊。新聞配達の仕事をどれだけ知ってますか?
新聞販売店員のおもな仕事が、それぞれのご家庭にできたての新聞を配達することであることは誰もが知っていることですね。朝早い時間に毎日起きて働く大変な仕事ですが、それ以外だと月末から始まる集金くらいしか知らない人も多いでしょう。
他の時間帯は結構のんびりしていそうな新聞店員ですが、実際は何かと忙しく動いていることも多いのです。また、配達だけをとっても店を出てあなたのお家に投函するだけではありません。外からは見えない裏側を大公開します。
新聞販売店の朝は早いというけれど
離島などの一部地域を除いて、日本の新聞は毎日一般のサラリーマンが出勤する時間よりも前に各家庭に配達されています。朝食をとりながら紙面をチェックする光景もおなじみでしょう。
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新聞店の朝が早いということは間違いないのですが、どの程度の早さかは地域によっても大きく異なります。午前2時には稼働を始めるところもあれば、4時前にならないと人もまばらというところもあります。
業務開始時間に差があるのは、新聞社から朝刊が配送されてくる時間が異なるためです。ざっくりいえば、本社から離れた地域の紙面は記事の締切りが早く印刷も店着も早めです。逆に都心部だとギリギリまで紙面の版をかえるのでスタートが遅くなるわけです。
どちらも睡眠時間を確保しづらい早朝勤務であり、楽でないのは間違いありません。しかし、この差が仕事の厳しさを左右することもあります。
配達準備は自分の区域分だけではない
朝になればトラックから降ろされる梱包をといて、バイクや自転車に積みこむ準備をします。配達を担当するスタッフの職責は店によって異なり、全員が専業社員と呼ばれる正社員の事業所があれば、パート・アルバイトで揃えている所もあります。多くは専業とバイト系の混成部隊でしょう。
一般に新聞販売店員と呼ばれる専業は、パートさんたちの配達準備まで受け持つことが多いです。配達準備とは、前日に組んである折り込み広告を差し込んで、一般紙やスポーツ紙などを区域毎に必要部数仕分ける作業のことです。
自分の区域の分ならミスしても自分が困るだけですが、他の区域でミスをすると迷惑をかけるので地味に責任重大な職務です。
毎日異なる区域を回る代配は神経を使う
区域持ちと呼ばれる固定したエリアを担当する人の他に、代配要因と呼ばれる店員がいます。彼らの任務は区域担当者の公休日や突発的な事態に代わりに配ることです。専門にやっている人もいますが、通常は他の業務では区域持ちと変わらない普通の店員です。
休刊日が年間10日程度しかなく、休みも少ないと思われがちな業界。事実、完全週休二日制とは縁遠いですが、少なくとも週休制でちゃんと休みはあります。ですので、代配は必要不可欠な存在です。
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毎日同じ区域を往復するわけではありませんので、ベテランでも家を間違える危険があります。そこで代配は順路帳と呼ばれる顧客の道順を記した帳簿のようなものを片手に行動します。必ずしも順路帳を見ているわけではありませんが、迷った時には確認します。
順路帳は新聞販売店員の命綱
順路帳は関係者が見ればわかる簡易な記号を用いて記載されており、忙しい時間の中で瞬時に判断できる貴重なデータベースです。順路帳の作成と更新も店員の重要な任務です。部数が少なければなくても困りませんが、通常は重要書類と呼べるものです。
新規入店や配置転換などで新しい区域を担当する場合は、前任者または区域担当者が作成した順路帳を頼りに時間のあいた昼間に配達経路を確認することも行われます。
雨や雪の日は大幅に遅延することも
雨の日は紙面が濡れてしまわないように袋に入れる作業が発生します。客先のポストが濡れない条件ならあまり必要はないのですが、そうでない家が多いと対応部数も増えますので準備に時間がかかります。
雨の日以上に困るのが雪の日です。例年あまり降雪のない地域の場合はちょっと積もっただけでも極端に動きが鈍くなることがあります。タイヤがスリップして転倒することも珍しくありません。最後の家に投函し終えたときには、普段の何倍もの疲労感が襲うところです。
到着が遅れても、ほとんどのお客さんは天候がこれでは仕方ないねと理解を示すようです。それでも遅れることは避けたいものです。
時間厳守の別働隊を編成することもある
通常の区域担当者とは別に特定の顧客だけに届ける別働隊を編成するケースがあります。購読契約の時点で何時までに配達するという条件を付けている顧客などが対象です。
一般的には区域担当者が順路の途中で優先して回れば済む話ですが、台風や大雪その他の事情で必要と判断された場合に手の空いている人間が担当するわけです。
届け忘れの対応も大事な仕事
一日のメインイベントともいえる朝刊を配り終えたからといって安心はできません。「朝刊がきていない」というお客さんからの電話が入ることがそれなりにあるからです。夕刊でも同様の問題は起こります。
お客さんが電話をかけてくる時間はまちまちで、朝一番から夜になることもあります。いつ電話が鳴るか分からないので、暇な時間帯は当番制で対応にあたったりします。
単純に忘れてしまった場合はお詫びして届ける以外にありませんが、誰かに抜き取られているケースや、顧客側家族が黙って持って行ってしまっているケースもあります。一度なら単純忘れと同じ対応でよいのですが、同一顧客で二度三度となると、お互いのために対応を考えないといけません。頭の回転が良くないと難しい場面でもあります。
このように、配達だけでも結構いろいろあるということがわかっていただけたのではないでしょうか。単純に見えて奥が深く、誰にでも出来る仕事ではないと言えるでしょう。
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