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地球の自転のせいで陸上競技のトラックは左回りに決まった?

陸上競技のトラックがどこでも左回りなのはなぜでしょう?

右回りのところがあってもおかしくなさそうですが、必ず左です。国際陸上競技連盟(IAAF)が取り決めたルールにより、そうなっています。

どうしてそう決まったのかは明確にはされていませんが、その方が記録は良くなるというのが理由とされています。

では、なぜ左回りの方が走りやすいのでしょう? これには諸説あるものの決め手となる説はありません。

右利きが多いから、人は右足の方が長いから、心臓が左にあるから、などという説もありますが、筆者は地球が自転しているからではないかと考えます。その論拠について説明しましょう。

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台風は必ず左巻きになる。だからトラックも左回り?

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台風・ハリケーンや低気圧などの渦巻きは、北半球では中心に向かって左巻き(反時計回り)に、南半球では右巻き(時計回り)になります。

これは、地球が東方向に自転をしているため「コリオリの力」が働くためです。地球上では、例えば赤道近辺と北緯45度の地点とでは東に回転するスピードは赤道の方が速くなります。

上の空気よりも下の空気の方が右(東)に向かう力が大きいため、自然と左向きの回転ができるわけです。

このように、地球を大きな回転物と見たときには、北半球では左回転の力が働いているので、陸上競技などのトラックも左回りのほうが力を発揮しやすくなるのはないでしょうか?

実際に、右回りより左回りのほうが好記録!?

トラックの回り向きは1913年に決められたものですが、それ以前は、オリンピックなどでは右回りのこともあったそうです。

1906年のアテネオリンピックで「右回り」を採用したところ、競技者から逆回りのほうが走りやすい、記録が良いとの声が寄せられたことが契機となり統一されました。

当時、400mを走り比べたところ、左回りの方が2秒ほど速かったそうです。
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左回りの方が好成績となる理由については、色んな説があります

人間は心臓が左についているので遠心力から心臓を守るためというもの。

右利きの人は右足が「蹴り足」となるため、左方向に回る方が走りやすい。

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左足よりも右足の方がわずかに長いため、左に傾く走りの方が体に合う、などなどいくつかの説があります。

どれも説得力がありますが、決定的とまではいえないようです。

それぞれが複合的にかかわっているのかも知れませんが、これに加えて、地球の自転も大きくかかわっているに違いありません。もし、自転によるコリオリ力と関係があるのであれば、北半球と南半球では記録に差が出るはずです。
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南半球では、「左回り」は不利になるはず!?

もし、「左回り」の方が速いのがコリオリ力によるものであるなら、南半球で走ると北半球に比べて遅くなるはずです。

もし、南半球のほうが遅いことが証明されれば、「自転によるもの」という新説の有力な証拠となり得るでしょう。

ただ、実際にそのような実験をするのはとても困難です。そこで、過去の陸上競技の結果から比較してみました。

2000年に南半球のシドニーで開催されたオリンピックの結果を、そのメダリストたちの他の競技会での記録と比べてみます。

シドニーオリンピックでは、あまり良い記録が出ていない!?

トラック競技の中で男子400m、1500mと5000mについて記録を比べてみます。まずシドニー五輪400m男子の金メダリストはマイケル・ジョンソン、銀はアルビン・ハリソン、銅はグレッグ・ホートンでした。

ジョンソンの記録は43秒84ですが、彼が前年の世界陸上(スペイン)で出した43秒18の世界記録には及びませんでした。また、その4年前のアトランタオリンピックのときの43秒49という彼自身の記録にも劣っています。

銀のハリソンの記録は44秒40ですが、彼のベストは前年の44秒09ですので自己記録よりも劣っています。

銅のホートンの記録は44秒70で、前年に出した44秒59にも、自己ベストの44秒56にも達することができませんでした。

皆、自分の記録を下回っています。自己ベストを出せない選手がメダリストになれたということは、他の選手たちも良い結果が出せなかったのでしょう。

1500m、5000mでも自己ベストを出せない選手が優勝

男子1500mでは、金のノア・ネゲニは同じ年に出した自己ベストより4秒遅い記録で優勝。銀のヒシャム・エルゲルも自己ベストより6秒以上遅い記録しか出せませんでした。

男子5000mでは、ミリオン・ヴォルデが13分35秒49での金メダリストになりましたが、彼は翌年カナダの世界陸上で、五輪よりも32秒以上速い記録を出しています。

銀メダルのアリ・サイディ・シェフも、同じ年のアフリカ陸上(北半球のアルジェリアで開催)では10秒近く速く走っています。
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自己ベストを出せなくてもメダルを取れる人が何人もいるのは不思議?

今回は記録の一部を比較しただけですし、必ずしも公平な比較とはいえないのかも知れません。

しかし、これほどまで多くのメダリストたちが、自己ベストを出せていないのは、ただの偶然でしょうか? 選手たちは、ピークをオリンピック合わせようと調整してきたはずです。

自分自身の記録を敗れない人がメダリストになれるというのは、それほどよくあることとも思えません。何かの力が働いていると考えられるのではないでしょうか?
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その力とは、コリオリ力に違いありません。「左回りのトラックの方が良い記録が出るのは地球の自転の影響があるから。南半球よりも北半球の方が好成績となる」 これが私の「新説」です。

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