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「ファーブル昆虫記」著者のひ孫は芸術家!巨匠ヤン・ファーブルとは?

2014.01.22

「ファーブル昆虫記」著者のひ孫は芸術家!巨匠ヤン・ファーブルとは? はコメントを受け付けていません

ジャン・アンリ・ファーブルという名前をご存知でしょうか。

有名な『ファーブル昆虫記』の著者である昔の生物学者ですが、実は彼のひ孫ヤン・ファーブルは現代を代表するアート界の巨匠です。美術、演劇、ダンスの振り付け、詩作などあらゆる芸術に精通しており、奇才と呼ばれています。

100人に1人と言ってもいいほどの才能を持つファーブルの子孫は、いったいどのような作品を生み出しているのか、また作品の持つ素晴らしさが何かを紹介しましょう。

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動物への思いは血筋??グロテスクでショッキングな作品群

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ヤン・ファーブルはベルギーのアントワープ出身のアーティストで、既に30年近く色々な芸術ジャンルを横断しながら活躍しています。

2008年にルーヴル美術館で個展を行ったことも記憶に新しく、日本の展示会でも何度か出展されました。金沢21世紀美術館は作品をいくつか所蔵しており、鑑賞することも可能です。

彼の作品には曽祖父と同じく昆虫を題材としたものが何点かあります。『昇りゆく天使たちの壁』と題された作品は、本物の玉虫を使ったドレスで、かなりグロテスクかつインパクトが強いです。

他に羽根でフクロウの頭部を再現した作品や、ルーヴルにあるルーベンスの絵画がぎっしり並んでいる部屋で、人の顔をもつ巨大なミミズが横たわっている『世界一大きいミミズの自画像』などがあります。

生き物を使って込められる難解なメッセージ

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ヤン・ファーブルの美術作品やパフォーマンスには、彼の生と死に対する考え方や哲学、動物の知恵や力を手に入れることへの憧れが込められているそうです。

創作物は、実際の昆虫や自身の身体の一部、骨と言った素材を使うことで、より生々しく、時に性や倫理のタブーを侵してメッセージを伝えます。さらには宗教観や神話などの知識が必要なものもあり、作品を理解するのはとても難しいでしょう。

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テーマの一つは変身!?人を変える痛みの美しさ

しかし、アート自体が分からなくても、考えに触れることは出来ます。ヤンのテーマのひとつにはメタモルフォーゼ(変態、変身の意)というものがあるそうです。

彼の作品は様々な形で、人と動物の境界を曖昧にする、あるいは動物の一部を使って人を変身させて思いもしない意味を与える、または自然の持つ美を意識させるなどの力を持ちます。

以前、インタビューでヤン・ファーブルは「真の美は私を痛めつけ、傷跡を残します。その傷が私を変容させるのです」と語っていました。

つまり、彼にとっての美しさとは自分の考えを揺るがすもの、今までの価値観を変えてくれるものと考えられます。さらに「動物は最高の医者であり哲学者である」という発言があることからも、虫をはじめ動物に強い尊敬の思いがあることが分かるでしょう。

ジャンルが変わっても考えはぶれない!貫き続ける作品テーマ

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性や死、孤独など人間にとって変わらずあり続ける問題をテーマに置くという姿勢は、演劇やダンス作品でも変わりません。

『ビリー・ジョーの歌』、アンディ・ウォーホル(有名な現代芸術家)の一生など、様々なところから得たインスピレーションをもとに、作品に自身のメッセージを落とし込みます。

ただ、基本的に自分で踊ったり演じたりはせず、出演者はプロのダンサーや有名な振付家を起用しているようです。あらゆる芸術に精通したことを生かした舞台は、誰もが驚くようなものになっています。

斬新な表現の裏にあるものって?自然のなかにある本来の美術的センス

しかし、ただ奇抜でインパクトがあるだけの作品ではありません。見る人を楽しませ、人の身体の美しさを思い出させ、そして人生について人々に考えさせる力を持っています。

彼のダンス作品や演劇を見れば、美しさとは芸術だけでなく人の野性的な部分や剥き出しの本能、心にもあるものであり、それは醜くさも含めた素晴らしさがあるということに気づけるはずです。

根っこにあるのは生命への尊敬!一見では分からない美しさ

以上のように、独創的なヤン・ファーブルのアートが難解であるにも関わらず人の心を捉え続けるのは、彼の根底にあるものが、命の美しさを誉めたたえるという考えに他ならないからでしょう。

美術作品は時にグロテスクで、人に寄っては気持ち悪く感じてしまい、受け付けないこともあるかもしれません。

ですが見た目の恐ろしさや気味悪さだけで「駄目だ」と切り捨ててしまうのはもったいないことです。

作品を見つめ、色々な疑問を持ち、芸術が持つ美の力を信じているヤン・ファーブルの思いを感じるよう努めてみましょう。きっと、なぜ彼が芸術家として評価されているかが分かるでしょう。

ジャン・アンリ・ファーブルを曽祖父に持つヤン・ファーブルは一つのジャンルに捉われずに、自身の発したいメッセージに応じて様々な作品形態をとることができるアーティストです。彼の作品は時に難しく、理解しづらいものかもしれません。

しかし根本にあるものは、いつも芸術の持つ美の力への信頼であり、命が持つ色々な側面の表現だと言えます。ですので、ヤン・ファーブルの作品を見る時は、そのことを踏まえて、自分なりに作品のことを考えてみましょう。

分からないなりに読み解こうと頑張った先に、きっと見る人それぞれの感動が得られるはずです。そして、あなたなりの解釈ができれば、現代美術もまた新しい見方が可能になるかもしれません。

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