イタリア人がこだわる結晶塩の選び方~キッチンの隠れた実力派
最近は日本のデパートでも、結晶塩を置いているところが増えたように思います。
ネットでも珍しいソルトが簡単に買えるようになりました。
高価な結晶がミルで丁寧に挽かれているのを見ていると、家の中にいつもある粉末ソルトは安物だなという思いがわいてきます。ホンモノは、結晶の形をしていて、本格的にミルで削りながら使うものなのだろうと・・・・
しかしそれは間違いです。
イタリアで暮らすうちに気づいた、塩選びのポイントと使い方をご報告します。
値段を決める一番のポイントは合成か天然かの差
スーパーの棚をゆっくり眺めてみました。
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小型スーパーのわりには、かなりの種類の塩を揃えてあります。こちらのコーナーには、12種類が並んでいました。
値段の幅はかなり大きいです。1kgで100円くらいのものから、10gで800円という高級品まであります。
日本と同じで、安いものはたいてい合成です。こちらの商品を安い順におおまかに分けると、合成、ヨウ素入り合成、海水の天然塩、天然の岩塩となります。
ただの合成とヨウ素入り合成ソルトの値段差はほとんどありません。どちらも1kgで200円以内の値段です。ヨウ素は体にいいそうですが、これが入っていなくても価格にはほとんど影響していません。
値段差が出てくるのは、合成か天然かという一点のみです。私が長い間信じ込んでいた、結晶イコール高級品という考えは間違いでした。
この写真では右側が粉末、左側が結晶ソルトです。どちらも紙箱入り1kg150円で売っています。合成モノは、結晶でもあきれるほど安いです。
この値段の結晶ソルトなら、ミルでいちいち気取って挽くのもばかばかしくなります。粉にしたければ、同じ値段で最初から粉末のものが売られているのですから、そちらを使えばいいのです。
では、イタリア人は、いったいいつこの安い結晶ソルトを使っているのでしょうか?
安い結晶塩は、パスタの茹で汁に加えてさらにおいしく
パスタを作るときには、お湯に塩を少量加えるのは広く知られています。このときに結晶ソルトを投入すると、パスタをよりおいしく仕上げることができると知っていましたか?
粉末は熱湯の中だと一瞬で溶けてしまいますが、結晶は時間をかけながら溶けるので、湯の塩分濃度をゆっくりと上げることができます。
濃い塩味の湯の中へパスタをいきなり入れても、表面にしか味をつけることができません。時間をかけてじわじわ濃度を上げていくと、芯まで風味の染みたおいしいパスタができあがります。
使うソルトの分量はこれくらいです。
熱湯にこれを加えたら、すばやくパスタを投入します。
ソルトを湯に投入するのは、パスタ投入の直前か直後です。早めに入れると溶けきってしまうので、わざわざ結晶を使う意味がなくなります。
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なにしろ1kgで100円ですから、パスタを茹でるたびに遠慮なく使っても大丈夫です。
ここで気になるのが、スーパーの棚の上の方にあった高級ソルトです。イタリア人は、この高級品をどういうときに使っているのでしょうか?
ミルで挽く高級品はテーブルを飾るアクセントとして使います。
高級イタリアン・ソルトの代表は、シチリア島で作られる天然100%の商品です。地中海の水を、天日と風車でじっくり濃縮して作られます。輸入ものでは、スペイン産の天然ソルトも有名です。
ただこういうものは、家庭に常備するには高価すぎます。一般のスーパーでは取り扱っていません。
今回訪ねたお店では、外国産のカラフルな天然ソルトのシリーズ3種を置いていました。それぞれ20g入りで500円くらいです。
安い!・・・いや、合成に比べると高いのですが、これならつい買いたくなる値段だと思います。このシリーズはすべて結晶タイプで、容器のフタ自体がミルになっています。
太古の海水が含まれたパキスタン産の「ヒマラヤの塩」、ブルターニュ産「グレーの塩」、キプロス島産の「黒い塩」が置かれていました。
これがピンク色の「ヒマラヤの塩」です。
どれもローストやサラダによく合うと聞いて、私も試してみました・・・少量でもけっこうしょっぱいです。これだと、たしかに減塩に役立つかもしれません。天然のミネラル分が豊富なので健康にもよさそうです。
こういうソルトの一番いいところは、テーブルに出すと存在感がでることだと思います。ミルがつけてあるのも、粉末とは違う高級感を出すためでしょうね。
ミルでいちいち挽かなくても、高級ソルトの風味は落ちません。
こちらは海水から作られる天然商品です。手のひらサイズでたっぷり使えて200円と、とても経済的な価格になっています。手間をかけずにすぐに使えるように、こちらはあらかじめ粉末です。
パッケージも安っぽいですし、テーブルを飾るためのものというよりは調理で使うためのものだと思います。天然モノを使って健康的な料理を作るだけなら、こういうタイプのほうが断然便利でお得です。
使う場面に応じていくつかの塩を用意しておけば、経済的でより楽しい食生活を送ることができそうです。
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