サカイ引越センターの歴史から学ぶ、引越業界の歴史
サカイ引越センターは日本の引越社の代表的な会社の一つです。
ここではその歴史を見ながら、日本の引っ越し業界の歴史をたどってみます。
創業は43年前、全国区になったのは25年前
創業は1971年です。つまり、今から43年前です。
当時新卒でこの会社に入った方が、今定年として退職されるくらいの時代感覚ですね(業界自体が成立していなかったので、新卒で入るとしたらむしろ高卒や中卒の方が多かったかも知れません)。
他の主要な引越社もおおむねこの時期に設立されていて、70年代初めは、日本の引越業界の歴史の幕開けと言っていいでしょう。
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■引越社のCMが流れ始めたのは、25年前から
引越社の宣伝といえば、主にテレビCMです。
最近でこそネットの一括見積もりなどが人気になっていますが、10年ほど前までは引越社の広告手法といったらほとんどがテレビでした。
そのテレビCMが一般的になったのは25年ほど前からです。
サカイ引越センターのCMは多くの賞を受賞しているので、この業界を代表する知名度を持っていますが、その初CMが25年前(1989年)でした。
なので、引越社のCMが一般的になったのは、この頃からだと言えます。
労災を隠して行政処分を受けたことも
サカイの歴史の中でも大きな事件の一つが、2008年の行政処分です。
普通の会社の場合こういうことを書くと営業妨害のようになってしまいますが、サカイの場合はこれを題材(ネタ)にしたテレビCMも出していたので問題ないでしょう。
■行政処分をネタにしたCM
これは「いちから勉強やり直し」というフレーズのCMです。
全国的に知られていたサカイのフレーズ「勉強しまっせ、引っ越しのサカイ」をパロディにしたものですね。
行政処分をネタにするというのは一歩間違うと不謹慎とも言われかねない試みでしたが、サカイは地元が大阪(堺市)で、笑いに対して寛容であるということも味方したのでしょう。
また、行政処分に対する本来の反省もしっかりしていた、と社会的に認められていたので、このような笑いも通じたのだと言えます。
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この件からも学べますが、笑いというのは単独では成り立たないものです。
それを笑いにすることが許される空気を事前に作る必要があるのです。
日頃から不真面目な態度をとっている人が不真面目なことをいうと「ふざけるな」と言われて終わるでしょう。
しかし、真面目な人であれば「ああ、冗談で言っているんだな」と許されるので、それが笑いになるということです。
営業でも戦争でも「事前準備が9割」ということはよく言われますが、笑いでも同じなのかも知れません。
いち早く、あらゆる新技術を導入
サカイはいくつかの新技術を業界他社に先駆けて導入しています。
特に知られているのは、「ドライブレコーダー」「ネット見積もり」です。
ドライブレコーダーの導入は05年、ネット見積もりの導入は96年ですが、ここではドライブレコーダーについて書きます。
■ドライブレコーダーを導入した理由
理由は、「安全に輸送していることを証明するため」です。
ドライブレコーダーがあれば、変な運転をしていて事故が起きた場合にはサカイが責任を取らされます。
自らレコーダーをつけている以上「そんな運転はしない」ということを体でもって宣言したということになるのです。
レコーダーを導入してからサカイの荷物の破損率がどれだけ下がったかというデータはありません。
(そこまでマニアックなデータは、業界内でも限られた人しか知らない情報でしょう)
ただ、確かなことはこの頃からサカイは「まじめ路線に転じた」ということです。
それまではサカイのCMはひたすらコミカルなものでしたが、この年には「マイスタークオリティ」という、技術の確かさをアピールするCMを放送していました。
撮影の舞台も自社の研修棟で「このような建物も備えて、完全な研修をしています」ということをアピールするものでした。
業界トップレベルでも、利益率は4.14%
サカイの2010年の経常利益は約20億円です。そして売上は483億円です。
ということは利益率は「4.14%」ということになります。
これが業界他社と比較して高いか低いかはわかりません。理由は、
・引越社はデータを公開していない企業も多い(アリさんマークの引越社など)
・他業種も含めた決算をしている会社が多い(佐川、クロネコヤマト、アートなど)
ということです。アリさんマークの引越社が上場していないためデータ非公開というのは、正直かなり意外でした。
(この会社は、正式名称が「引越社」というくらい、業界でも最も早く事業を開始した会社です。それがまだ非上場というのは、意図的にそうしているのかも知れませんが、多くの人が意外に感じるでしょう)
他の会社も四季報などを見ればわかるかも知れませんが、ネット上のデータでは他の会社と決算が同じになってしまっているため、すぐにはわかりませんでした。
仮に意図的に隠している(別に変な意味ではありません)のだとしたら、サカイのデータはこれでもいい方なのかも知れません。
いずれにしても、引越業界というのはトップレベルの企業でも利益率が1%出るか出ないかというレベルということです。
かなり厳しい業界だということがわかりますね。
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コメント
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コメント (2)
利益率の計算間違ってますよ
通りすがりさんご指摘ありがとうございます。
修正させていただきました。
今後とも知る蔵をよろしくお願いいたします。