看護師が細心の注意を払って取り扱う薬剤とは?
現代の医療において、薬剤はなくてはならないものです。
薬剤があるからこそ、難しい病気も治療することができるわけですし、医療従事者も薬物治療による治癒を期待しているのです。
薬剤と言ってもその種類は多種多様で、病状に応じた飲み薬や、注射薬、下剤、貼付薬などいろいろです。
看護師は、毎日のように薬剤を扱っていますが、中には扱いが難しいものもあります。今回は、普段あまり知られることのない取扱いの難しい薬剤を注意点を交えながらご紹介していきたいと思います。
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まるでサイダーのようなモダシン
注射薬に、モダシンという抗生剤があります。モダシンは、バイアルといって瓶の中に粉が入っており、それを生理食塩水で溶解して、点滴などに混ぜて使用します。しかしながら、モダシンの中に生理食塩水を入れると、炭酸のようになるわけですね。
イメージ的には、サイダーを瓶で密封した状態です。
その中から必要な分の薬液を吸い上げようとすると、薬液だけでなく、空気が勢いよく注射器を押し上げてきます。そして、バイアルの穴からも空気が漏れて不潔になりやすいのです。
モダシンは、炭酸のようなイメージですから、そのまま患者さんに投与すると血管内に刺激が伴います。そのため、看護師は少し時間をおいて投与するなどの工夫をしています。
病棟ではよく使用する薬なのですが、どのスタッフに聞いても、モダシンは扱いづらいと言っています。
案外扱いづらい座薬
座薬も案外扱いづらいものです。基本的に、座薬はおしりから1本入れますが、医師の指示によっては、2/3本などといったこともあります。
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そのような場合、ハサミなどで座薬を切るわけですが、固体の薬剤で、しかも、すべりやすいので自分の手を切りそうになることもあります。
新人看護師がミスしやすい輸血
注意が必要なのは、輸血です。よく新人でミスをするのは、輸血をぶら下げて、点滴のルートを刺すといったことです。輸血の場合、輸液のようにゴムの素材ではないので、輸血は置いて、ルートを刺さなくてはならないのです。
薬によっては強い副作用が表れることも・・・
治療によってはとても危険な薬剤もあります。化学療法と呼ばれる、抗がん剤の治療は、がんに対して抗がん剤を投与しながら、がん細胞をおさえるといったものですが、その反面、想像を絶する副作用に悩まされます。
一般的に知られる副作用には、嘔吐や脱毛がありますが、その他にも心筋障害や腎不全などの生命に関わる重大な副作用もあるのです。
副作用は、薬剤が血管に入って効果を発揮した時に出現します。ですから、看護師が一番神経を尖らせるのは、抗がん剤がきちんと血管の中に入っているかということなのです。
扱いにとても神経を使う抗がん剤
例えば、オンコビンという抗がん剤がありますが、万が一、血管内に薬剤がもれると、周囲の細胞は壊死してしまいます。他にも、カルチコールというカルシウム剤やアレビアチンという抗痙攣薬なども血管外に漏れると大変なことになってしまいます。
ほとんどの薬剤において、アナフィラキシーショックという副作用がつきまといますので、看護師は5Rといって、正しい患者名、正しい薬剤名、正しい薬剤量、正しい投与方法、正しい投与時間を守りながら、いつも薬剤を投与しています。
安全な医療を提供するための看護師の心構え
現代医療にとって薬剤は欠かせないものです。しかし、その薬剤も誤って投与されてしまうと、多大な影響を及ぼしかねないことを常に念頭に置かなければなりません。現実に看護師による薬剤の投与ミスが起こっていることは悲しいことです。
1人1人の看護師が、常に医療の安全に徹して看護を展開していきたいものです。
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