Global Information site~siruzou

イタリアでよく見かける古代ローマの建築資材テラコッタって?

2014.02.04

イタリアでよく見かける古代ローマの建築資材テラコッタって? はコメントを受け付けていません

はじめてローマへ旅行で行ったのは、大学生の夏休みでした。

真っ黒な石畳の上に強烈な太陽の光が照り付けて、頭がクラクラするほど暑苦しい風景だったのを覚えています。

黒々とした道のいたるところに置かれていた、赤レンガ製の大きな植木鉢も印象的でした。あとで知ったのですが、この赤茶色の素焼きレンガのことをイタリアでは「テラコッタ」というのだそうです。

この素材は、古代ローマの遺跡からもいくらでも出てきます。ローマの人にとっては、大昔から現在までずっと使い続けている、ご先祖様のレンガなのですね。

スポンサーリンク

数年前にフィレンツェへやって来ましたが、なんとこの町もテラコッタだらけ。むしろローマよりもよく見かけます。

建築資材、園芸用品、小物まであって、あたり前すぎてむしろ空気みたいな存在とでもいうのでしょうか。普段は意識しないほどに、テラコッタはこの町になじんでいます。

真夏はともかく・・・熱にも湿気にも強い建築資材です

フィレンツェではテラコッタは、建物の屋根に瓦として使われていることが多いです。そのせいで高台から眺めると、町全体が赤茶けて見えます。

私の住んでいるアパートにもありました。ベランダの床材や、手すりの上の部分の補強材として使われています。

No0234 02

No0234 03

こういう部分に使うのですから、きっとおそろしく頑丈なのだと思います。

以前、ワイナリーを訪問したときにも、ワイン蔵の床にはテラコッタを必ず使うと説明されました。外の空気の熱をさえぎり、湿度も適度に吸収してくれる素材だからだそうです。

ワイン熟成に必要な気温と湿度を一定に保つには、これは欠かせないのだと、係りの人が熱弁をふるってくれました。

湿度を吸うかどうかは、試したことがないので、正直よくわかりません。でも私の体験から言わせてもらえれば、イタリアの夏の太陽にはいくらテラコッタでも敵いません!

いくらこの伝統レンガで屋根と壁を覆っても、8月の熱気はレンガを通り越して室内へ入ってきます。これを使っていないと、たぶん、もっとひどいことになってしまうのでしょうが・・・それでも部屋の中は十分暑くなります。夏は家の中にいても、のぼせてしまいますから。

ワイナリーは、実は蔵の中でエアコンをこっそり使っているんじゃないでしょうか?

この素材の植木鉢は驚くほど頑丈、そして運べないほど重いです

建築物に使われるくらいですから、この赤レンガはとにかく頑丈です。少々の衝撃では割れたりしないと聞いたことがあります。

重い土や植物を支える植木鉢には、たしかに最適な材料です。色合いも素朴で地味な赤茶なので、植物の色をよく引き立てます。

町角やホテルの前などの公共の場所には、テラコッタの大鉢がよく置かれています。存在感があって、見栄えがするでしょう?

No0234 04

No0234 05

なんという名前なのか知りませんが、フルーツをリボンでつないだような模様のレリーフが、表面によくついています。昔の彫刻にもついているので、伝統柄のようです。

スポンサーリンク

No0234 06

私の家にも、幅30cmくらいの小型のテラコッタ植木鉢ならあります。

No0234 07

丈夫なのはいいですが、この鉢はかなり重いです。見た目は日本の素焼きレンガとほとんど同じですが、こちらのほうがはるかにごついと思います。こんなに小さな植木鉢でも10kgはありますから、毎日まめに場所を変えるなんてとてもできません。

薄く焼くと割れてしまう素材なので、テラコッタは分厚く作るしかないのだそうです。それで重くなってしまうのですね。

移動には不向きです。普段から鉢を動かさなければいけないお店などでは、鉢の下にキャスターをつけています。

最近では、小物や彫刻の分野で活躍しています

このレンガは丈夫なので、何度でも再利用できます。中古を使いまわせば、新しい瓦や植木鉢を買わなくても済むわけです。

建築資材を作るだけでは新しい注文がこないと、テラコッタ工房も考えたのではないでしょうか。最近は小物や彫刻を作ることに力をいれています。

私の家にも、小物がいくつかありました。

フクロウの親子をレリーフにした壁掛けです。

No0234 08

テラコッタでできたユニークなクリスマスツリーです。上の葉の部分を外して、中の蝋燭に火をつける仕組みです。手作りなので、微妙なゆがみがかえっておもしろいです。

No0234 09

No0234 10

テーブルに置けるサイズの聖家族セットです。陶器の人形のように、中が空洞ではありません。そのせいで、小さくでもかなり重量感があります。

No0234 11

これは私の家の中ではなく、大聖堂の前に置かれていた聖母の彫刻です。等身大なので、かなり迫力がありました。毎年クリスマスシーズンになると、市がどこからともなく持ち出してきてこの場所に置きます。レンガとはいえ、マリア様の表情はなかなかよくできていると思いませんか?

No0234 12

小物はひっくり返してみると、「インプルネータ」と刻印してあることがよくあります。フィレンツェの近くにある小さな町の名前です。ここでは良質の赤土が採れるので、レンガ産業で昔から有名なところでした。

インプルネータが近くになければ、フィレンツェの町の中にテラコッタがこんなに溢れることもなかったかもしれません。

テラコッタだらけのイタリア。もし訪れた際は、その数の多さにぜひ驚いてみてください!

スポンサーリンク

Pocket
LINEで送る

関連記事

コメントは利用できません。

知る蔵のTwitter~フォーローをお願います

知る蔵グループ関連専門サイト