パチンコ攻略法販売に学ぶ詐欺師のワザとA社の第一期黄金期~連載3話
みごとなまでにテレビ、雑誌などの媒体を利用して「攻略法の効果」を見せつけることに成功したA社でした。
放送直後は、まるでテレビショッピングのように問い合わせ電話が鳴りやまない状態が続いたようです。
最初から「買うつもり」でやってくる相手に商品を売るのは簡単です。それでも何十万円もお金をだすわけです。
たとえ自分からアプローチしたとしても買い手にしてみれば何か自分自身を納得させる決め手が必要となってきます。
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凄腕の詐欺師であるための法則=9:1の理論
具体的な販売トークは後にしまして、まず人を騙すテクニックの基本についてご説明しましょう。この見出しのタイトル「9:1」をみても、まるで何のことだか分からないと思います。
これは特にパチンコ攻略法に限らず、全ての詐欺に通用する理論ですので、詳しく解説しましょう。
本物の詐欺師(という日本語も変かも知れませんが、あえて使わせていただきます)になればなるほど、その会話内容の「真実」部分の比率が高くなります。9:1というのは真実9割:嘘1割、というトーク全体の振分けになります。
さらに凄い詐欺師になれば99%の真実に1%だけの「ウソ」を混ぜ合わせます。要するに真実部分が多くなればなるほど「本物らしい」詐欺が行えるわけです。
99%は本当のことを話していますので、詐欺師は自分で「ウソを話している」という自覚すら消してしまいます。
真実の中に混じった「ウソ」の部分を、「本当の話」だと自分の脳に刷り込んでしまうわけです。一種の自己暗示ともいえます。
だからこそ聞き手からすれば「すべて本当のこと」に思えるのはごく自然な反応となります。天性の才能にすぐれた詐欺師のトークは、ほぼ100%の人を騙せるでしょう。
一般の人間でも最低限9割以上の真実の中に「ウソの部分」を混ぜてしまうトークを身につければ、「新たな詐欺師」の誕生となるわけです。
詐欺師の法則からA社で使われていたトークを分析してみましょう
たとえばパチンコの攻略法に関していえば、
1)過去には、いまでいう機械の「バグ」のようなものがあり、実際に攻略法は存在した
2)某情報提供集団のように実際に「攻略法」を使って荒稼ぎした集団が存在した
3)相手が機械であれば、バグのようなものは必ず存在する
この部分までは全て「真実」です。
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この中でトークの「キモ」になるのは、上記の1)です。これはどんな新人の営業でも簡単に「強気」で発言できる部分です。
「過去に実際にありました」ただそれだけを言えばいいだけです。まずはこの部分の話を広げて展開させ、具体的に過去に攻略された機種やその「裏づけの理論」を説明します。
この部分は相手に対して「攻略法はいくつも存在した」という、過去の事実の刷り込み作業です。じっくりと時間をかけて相手に理解させる必要があります。
さらに、この部分はまだ「真実」の部分ですので、営業トークをする人間がまだ新人でも十分に有効です。真実に勝るものはありませんからね。
さて、ここから話を少しずつ「10%」のウソの部分へシフトさせていくわけですが、大切なのは「自信を持って言い切る」ことです。
この例でいえば「過去にこれだけ多くの攻略法が存在した。だから今でもあります」。前半は本当で後半はウソです。
ただ、一連の流れ=まずえんえんと9割の真実部分を話されれば、残りの10%のウソの部分には気がつかないものです。
それでも疑う人のために用意されたワナ~ショールームの実態
やはり、なかには大金を払う以上、それなりに納得しなければ契約しない人も存在します。そこで利用されるのがショールームです。
そこには10台以上のいろいろな実際のパチンコ台が、まるでお店のように並べてあります。さて、ここで何を見せるのでしょうか?
もうみなさんお分かりですよね?
攻略法を使って、台が大当たりする瞬間を見せるわけです。でも攻略法はないのにどうやって見せると思いますか?
じつはパチンコのプログラム(特に当時のもの)はそれほど複雑なものではなく、俗にいう「裏基盤」は簡単にできてしまいます。
そうです。もうおわかりですよね。そこに置いてある台は、特定の動作で「大当たり」するように仕組んであるわけです。
こうやって視覚的に当たる瞬間を見せられれば、やはり信用してしまいます。
さらに「見せる」裏にはもう一つの意味があります。つまり「見たから」には買ってもらわないと困る、という無言のプレッシャーをかける効果もあるわけです。
このように、この会社は毎日のように来客が絶えることなく、まさに客が勝手にお金を落としていってくれる詐欺バンクと化していきました。
聞いてしまえば本当に単純なトリックですよね?やはり「稼ぎたい」という心理が根底にある相手に対して「稼げるもの」を売るのはじつに簡単だったということです。
By ライターX
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