無料のパチンコ攻略法で結果的にお金を払わせる営業トーク~連載6話
さて、無事に攻略会社に潜入を果たした私でしたが、二日目からさっそく営業の電話をかけるように言われました。
どんどん詐欺色に染まっていく自分へのジレンマを押し殺して、売り上げナンバーワンまでのぼりつめた私のトークを中心に、「具体的な」内容をお伝えしましょう。
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タダより高いものはない現実~巧妙な営業トークの実際
ほとんどの方は「攻略法ってあるのかな?どんなものだろう?」と半信半疑で問い合わせをしてきます。
もちろん心の中ではそんなに簡単に稼げるものなどないと思いつつも、パチンコ好きには「どうしても知りたいそそられるテーマ」であることにちがいありません。
ほとんどの場合、巧妙にもっともらしく作られたホームページから「無料攻略法」を申し込みすることになっています。そこで電話番号や名前などの個人情報を記入しなければならないのです。
さらに直接電話での問い合わせもありますので、一日平均200件ほどの問い合わせを10人ほどの営業でさばくわけです。
私が所属していた会社は「誘発打法」と称する「台を当たりやすい状態にする」攻略法を販売していました。これはあとで大きな意味を持ってきますので、覚えておいてください。
ほとんどの方がされる質問は同じですので、このような会話になります。
客「その無料でほんとうに当たるの?」
私「もちろん体感はしていただけますが、あくまで無料で出しているものですので、それで大きく稼げるものではありませんよ。ちゃんとしたものを買っていただかないと会社としてはやっていけませんので(笑)」
客「無料で機種は選べるの?」
私「いえあくまでサンプル的なものですので、いまですとXXXの攻略法をお送りしています」
+注+
この部分のトークの目的:
相手に会社パンフレットと無料攻略法を郵送するために「住所などの個人情報」を言わせるためのものです。
会話は続きます。
客「でもなんで無料なの?」←これが一番多い質問、逆に言うと客が疑うポイントです。
私「じつはうちのほうでも攻略法は高いお金を払って仕入れているんですよね。
それをうちの技術スタッフがホールで実践して、確実にどなたにでも使えるものだけを商品として販売しています。
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ですから、少し効果が体感しにくかったり、手順が難しかったり、あるいは設置が少なくてお金をいただくのは失礼にあたる、と弊社で判断したものを無料で提供させていただいているわけです」
だいたいこのような返事でほとんどの方は納得します。
じつは無料で攻略法を送る裏には「もう一つの狙い」=ワナが仕組まれています
パチンコというのは完全に確率にもとづいて抽選をしているゲームです。この確率理論についてはまた別の機会に説明します。
無料攻略法を受け取った客はイソイソ、ワクワクしながらホールへ向かいます。
ところがパチンコというのは、普通に打っていても当然「当たる」こともあるわけですから、偶然が重なれば客は「攻略法で当たった」と勝手に思い込んでくれるわけです。
そんな人はすぐ翌日に電話をかけてきます。パチンコを打つ人は勝ったときには必ず誰かに自慢したくなるものです。
客「イヤ~、昨日ホール行ったらさ、簡単に当たっちゃったよ」
私「ほんとうですか?よかったですね。さすが○○さんですね、飲み込みがはやいですね。ただ、(ここで釘を刺しておきます=逃げ道です)この攻略法はすでに対策しているホールも多いので、急に使えなくなるかも知れませんけど、まあ無料ですので許してくださいね!」
とでも言っておけばタダのものに文句を言う人はいません。
こんな場合はその折り返しの電話を絶対に切らせずに、たとえ3時間かかってでも一気にクロージングにもっていくのが基本です。
魔法はすぐに解けますので、そのままATMまで誘導するくらいの気持ちでなければ成約を逃してしまいます。
売れる営業と、売れない営業の差はここにあります。タイミングを察知する能力です。
釣りと同じで、糸を引いているのを感じても釣り上げるタイミングは一度しかありません。人によっては様子をみながら、二ヵ月後にクロージング(それまでは理由があってわざと泳がせておく)する場合もあります。
一番多い質問~「なぜ、あなたたちで打って稼がないのですか?」
これが、みなさんが一番「怪しい」と思う部分です。もちろんこれに対する答えも最初からちゃんと用意してあります。
世の中の詐欺商法、とくに「お金を稼げる」ものにかんしては、「そんなに稼げるなら自分でやればいいのに」と誰でも考えます。
その回答をわかりやすく箇条書きしてみましょう
・一つのネタ(攻略法)を仕入れるのには3~4千万かかります。
・それを回収するのにスタッフ10人で仮に毎日合計50万稼いでも、元を取るだけでも二ヶ月かかってしまいます。そのころには台は撤去されている可能性もあります。
・基本、営業は商品の内容(攻略手順)は知らされません。一人が知るとそれを他人に教えない保証はありませんからね。
・ですから50万円で100人の会員の方に販売したほうが、会社としても仕入れの回収も早いですし、情報リークのリスクもなくなります。
おおよそこのようなトークをすると、まずほとんどの方が納得します。
さて熱い営業トークのお話は次回も続きます。
By ライターX
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