EDの検査ってどんなことをされるの?~ビビらなくても大丈夫です
今や日本男性の4人に1人が悩んでいるといわれるED、しかし受診するのをためらう男性が多い理由の1つに「何かおかしな検査をされるんじゃないか……」という心配があると思われます。
しかし実際は、初診時から下着を脱いで調べられるようなことはまずありません。
EDの検査は問診から~服用中の薬は正確に伝えよう
「ベッドに寝かされて男性機能を調べられるのでは」と不安がっている男性は、どうぞ安心してください。
どこの病院やクリニックでも、いきなりそのような検査を受ける可能性はゼロに近いでしょう。
EDの診察では、まず医師による問診からスタートします。
いつごろから症状があるのか、どんな具合なのかを質問されますので、なるべく正確に回答しましょう。
またED診断の目安として「国際勃起機能スコア(IIEF5)」が使われることもあります。
5つの設問に1~5までの選択肢があり、合計した点数が21未満の場合にEDが疑われるというものです。
この表はネット上にも多数アップロードされていますので、事前にプリントアウトして回答したものを持参すると、より診察がスムーズに運びます。
その他、問診で重要になるのが「持病や服用している薬」についてです。
というのも現在のED治療は薬の処方が中心のため、薬を使えるかどうかの確認がもっとも大切になるからです。
たとえば重い肝機能障害をわずらっている人や、半年以内に脳梗塞や心筋梗塞を起こした人などは、ED治療薬を使えないと判断される場合があります。
なかでも禁忌とされているのが「硝酸薬を使用している人」です。
狭心症の治療におけるニトログリセリンが代表的ですが、内服薬であれ湿布薬であれ、この薬を使っている人はED治療薬を服用できませんので、かならず医師に申告するようにしましょう。
血圧測定やテストステロン値の検査がおこなわれることも
問診のほか、血圧を測定する病院も多く見られます。血管を拡張させることで勃起をうながすED治療薬には、血圧を下げる作用もあります。
ですからもともと血圧が低すぎる人には処方を見送ったり、少ない用量から処方したりする可能性があるのです。
さらに、男性ホルモン値の測定をすすめられることもあります。
とくに40代以降の男性の場合、EDの原因が男性ホルモンの分泌低下による場合も考えられるからです。
血液検査によって簡単に調べることができますが、午前中でないと正確な測定ができないため、その場ですぐに受けられるとは限りません。
これらの検査のほかにも、人によっては心電図や、肝臓や腎臓の機能を調べるための検査がおこなわれることもあります。
まずは薬でようすを見る「バイアグラテスト」が主流
現在のED治療では、最初から原因がどこにあるかを究明することはほとんどありません。
代わりにまずは薬を処方してみて、その結果を見ることが一般的です。これを俗に「バイアグラテスト」といいます。
それで十分に効果があれば、血管や神経に大きな問題が生じていないと見なすのです。
日本で認可されているED治療薬には、バイアグラのほかにもレビトラとシアリスがあります。
人によって薬との相性もありますので、1つだけで効果を判断せず、順番に試してようすを見ます。
いずれの薬でも十分な効果が得られなかった場合に、はじめて血管や神経の異常が疑われます。
しかしあるデータによれば、ED治療薬を処方された男性のうち、他の治療に進む人は1~2割とのことです。
つまりED治療薬は、多くの患者さんに対してかなり効果が高いことがわかります。
EDの精密検査~夜間勃起テストとは
ED治療薬を使っても効果が十分でなかった場合は、原因を探るためにより専門的な検査がおこなわれることもあります。
その1つが「夜間勃起テスト」です。これは就寝中に勃起が起こるかどうかを確認するための検査で、病院に泊まって機械をつけて測定します。
健康な男性では、夢を見やすい「レム睡眠」のあいだに反射的な勃起が起こります。
これは日中と異なり、心理的な影響を受けない生理現象ですので、純粋な勃起機能を確認するのに役立つのです。
もしも夜間勃起が見られれば身体的な機能に問題はなく、精神的な原因が疑われることになります。(心因性ED)
ただしその日の体調や睡眠の質によっても左右されるため、できれば3晩連続でおこなったほうが確実だとされています。
もっとも、強制的に検査を受けさせられるようなことはまずありません。
この検査は、おもに事故などで脊髄を損傷した男性が、後遺症を調べるためにおこなわれることが多いといわれています。
EDの精密検査~ICIテストとは
心因性のEDではない場合、疑われるのは血管か神経に障害が生じている可能性ですが、この診断をつけるために広く実施されているのが「ICIテスト」です。
ICI(陰茎海綿体注射療法)とは、勃起をうながす薬剤を直接、男性器に注射する方法になります。
通常の勃起は、性的刺激が脳から神経を伝わって陰茎に届き、それが合図となって血管が拡張することで起こりますが、ICIでは神経の伝達とは関係なく勃起を起こすことができます。
つまりICIで勃起が見られれば血管に異常はないと判断されますので、神経系のトラブルが疑われるのです。
EDに気づいたら、みずから健康診断を受けよう!
おもに上記のような検査が病院でおこなわれていますが、ED症状に気づいた男性には、ぜひ自分でも健康診断を受けることをおすすめします。
とくに高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は動脈硬化を促進させるため、EDを引き起こす可能性が高いからです。
実際、EDは動脈硬化の数少ない初期症状の1つに数えられています。
EDを機に血管の状態を調べることで、将来的な心筋梗塞などのリスクを減らせる可能性もあるのです。
ですからいずれにしてもEDは放置せず、全身の健康を見直すチャンスにしてほしいと思います。
By 叶 恵美