外貨を持たなければリスクはない?~いえ、誰もが外貨に支配されます
「外貨を持つとか、リスクが高くて怖い」という人は多いです。
そういう人は「日本円だけ持っているのが一番安全」と思っています。
しかし、これは大いなる勘違いです。日本円だけ持って生きることも、立派にリスクがあります。
「日本円の価値が落ちるから、っていうんだろ?でも、日本の中だけで生活してれば関係ないじゃん」という反論もあるかも知れません。
確かにこれは一見、正しそうです。
しかし、たとえ日本の中にいて外貨を一切使わなくても、私たちは世界の為替相場の影響をダイレクトに受けています。
そう言える理由を説明します。
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日本人は全員、毎日「輸入」している
私たちが日本で買う物は、半分は「輸入品」です。国産品でも、鉄などの原料を輸入しているので、その大部分は「輸入品」なのです。
ということは、私たち自身は海外から何も買っていなくても、間接的に買っているのと同じなんですね。
海外から物を買うということは、日本円の価値が落ちると不利ということです。
今までだったら100円で買えたものに、200円を出さなければいけなくなるわけです。
これは遠い世界の話ではありません。実際、ここ数年アベノミクスの影響もあって急激に円安が進みました。
今までアメリカから80円で買えたものが、105円なければ買えなくなっているのです(2月16日時点で)。
これは確実に、私たちの生活に反映されています。
見えない所で発生している「損失」
「いや、そんな物価上がってないよ?」と思われるかも知れません。その通りです。上がるはずの物価が、ほとんど上がっていません。
それは「従業員の給料を下げているから」です。ここまで来ると、身に覚えのある方が多いでしょう。
給料のダウンはなくても、ボーナスが出ない、昇給がない、休日出勤が増えたなどは多くの人が心当たりがあるはずです。
「目に見える部分」で価格をいじると消費者から叩かれるので、こういう「見えない部分」でカバーしているのです。
腹が立つかも知れませんが、別に社長は悪いことをしているわけではありません。
「円安で輸入のコストが増えた」「でも、値上げしたらお客が離れる」という状態では「従業員の給料を下げる」以外の選択肢がないのです。
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【補足】
もちろん、円安のおかげで自動車などの輸出産業は逆に有利になりました。
外国人が今までより金持ちになったということなので、お客さんがお金持ちになれば、商品が売れやすいのは当然です。
なので、輸出産業の景気がよくなったという点ではプラスも大きかったのですが、輸入が多い業界は、アベノミクスで悲惨なことになっているのです。
(別にアベノミクスを否定しているわけではなく、「円安だけで景気がよくなった」というような甘い考えをしてはいけないということです)
お金を使っている限り、お金のリスクは常につきまとう
上に書いたように「日本円だけを使う生活」も、十分ハイリスクなのです。
(もちろん、また大幅な円高になってチャンスになる可能性もあります)
このように、私たちは資本主義社会に生きている時点で、否が応でも世界経済の流れに組み込まれているのです。
日本のお札しか使っていなくても、そのお札がいわばWi-Fiルーターのようになり、世界の通貨と接続され、その通貨と接続されている金や穀物の価格とも接続され…という風に「勝手に」世界経済の流れに組み込まれているのです。
だから、私たちはお金で苦労したくなかったら、本気で経済の勉強をしないといけないのです。
これだけ大きな渦に巻き込まれているのですから、とことん知識武装しなければ生き残れないのです。
僕は君たちに武器を配りたい
『僕は君たちに武器を配りたい』は日本の著名な投資家の瀧本哲史さんが、数年前に書いたベストセラーです。このタイトルの意味は、まさにこういうことです。
瀧本さんは今の高速化した経済状況を「ゲリラ戦」と呼んでいます。
そして、「そのゲリラ戦を生き抜くための武器を、日本人はまったく与えられていない」と説いています。
瀧本さんは今、京都大学で投資や起業についての講義を担当していますが、京大生ですら、お金のことを何も知らずに生きている&生きていけると思っていることに驚いたと言います。
私たち日本人はお金の話が嫌いです。それでお金持ちならいいですが、ほとんどの人は一生お金で苦労して終わります。
それでも幸せというならいいですが、実際多くの日本人は人生を楽しんでいません。
その原因は色々あるとは思いますが、「お金のための労働に自分の時間を捧げている」ということが、多分原因の大半でしょう。
だから「お金の話なんか嫌い」と言っている場合ではないのです。
瀧本氏の言うように、私たちは今「ゲリラ戦」を生きているのですから、否が応でも武器を取って戦わないといけないのです。
お金の勉強は、ある程度わかるようになるととても楽しいものです。勉強さえしっかりすれば投資や運用のリスクは減らせます。
なので、日本円以外の外貨を扱うことも、ハイリスクではなくなるのです。
「リスクがない状態」というのは、最初からどこかにあるのではありません。「自分の力で生み出す」のです。
実力があればリスクは減る。それだけが資本主義社会でのリスクに関する法則なのです。
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