ヒグマに遭遇しないための北海道民の知恵~ありえない観光客の行動
北海道で生まれ育ったわたしは、小さな頃からヒグマと遭遇しないための方法を、そばで見ていたり、親から教えられたりしていました。
それほどにヒグマは、身近な存在で、特に春や秋には、目撃情報がニュースで流れることもあります。
ヒグマに遭わないようにすることが当たり前に生きてきた私にとって、道外から知床五湖に来たと思われる観光客の行動には、かなりビックリしました。
今のところ、道内で観光客が、ヒグマの被害にあったという話は聞いたことはありませんが、熊に出遭った時の身の守り方を知らないままで、北海道の自然を楽しむのは危険です。
北海道でもっともヒグマが密集して生息する場所
知床五湖は、北海道の東、斜里町というところにあります。
スポンサーリンク
地図上の「A」のピンが刺さっている場所で、その右は世界遺産の知床半島になります。(近くにある島は北方領土)
わたしも斜里町には行ったことがありますが、地元の人間が見ても、自然の多い地域で、熊が出没するのもうなずけます。
また、知床は、道内でもヒグマがもっとも生息し、目撃される地域です。
知床五湖の遊歩道を静かに歩くのは危険なのです
わたしが訪れた頃には、現在の制度はまだありませんでした。(新制度の説明は下に記載)
知床五湖は、名前のとおり、5つの湖がある国立公園で、それぞれの湖が離れた場所にあるため、遊歩道を歩いて回ることになります。
当時、わたしが行った湖は、一湖と二湖だけです。本当なら全て見たかったのですが、ヒグマの出没情報があり、通行禁止にこそなっていませんでしたが、行く気にはなれませんでした。
しかし、道外から来たと思われる観光客の人たちは違っていました。2人、3人の少人数で、今にも熊笹の間から何か飛び出してきそうな遊歩道を、スタスタと進んでいきます。
熊よけの鈴もつけずに静かに歩いていくので、大丈夫なんだろうか?と心配になりました。
画像の腰についているのが、熊よけの鈴です。ヒグマは元々、臆病な動物なので、大きな音がしているところには、近づこうとしません。
子供の頃、熊が出没する山に、キノコや山菜を取りにいった時には、大きな声で歌ったり、車のラジオをかけっぱなしにしたりしていました。
出遭ってしまってから、大きな音や声を出すのは、ヒグマを刺激してしまう可能性があるので、絶対にやめましょう。
歩きながらの飲食はヒグマの嗅覚に気づかれます
北海道の中でも知床は涼しいほうですが、夏の観光シーズンは、天気によって、汗が出る日もあり、わたしが行った日も気温の高い日でした。
駐車場の近くには売店があって、そこには食べ物や飲み物が売っています。
ある観光客は、遊歩道を歩きながら、買ったばかりのソフトクリームや、あげ芋(ジャガイモを丸ごと揚げた食べ物)を食べていました。
ヒグマの嗅覚は鋭いので、遠くにいても、食べ物の匂いをすぐに嗅ぎわけ、寄ってくる可能性があります。
わたしは、自殺行為に近いと思いながら見ていました。また、食べ終わって出たゴミを、その場に捨てていく、マナーのない人もいるようでした。
自然破壊の面から見ても、ポイ捨てはよくありませんが、食べた後のゴミにも匂いがついているので、ヒグマを引き寄せる可能性があります。
スポンサーリンク
知床五湖が取り入れた新制度は苦渋の決断?
きまり事を作らなければいけなかった背景には、わたしがお話したようなことが、頻繁に起こっていたのではないかと思います。
また、見かけた熊に、エサをやるということも問題になっていました。
現在、取り入れられている制度で、遊歩道が自由に散策できるのは、雪が降り始める10月下旬から閉園までとなります。そのほかの時期は、届出と事前レクチャーが必須で、5月~7月までの期間は、ガイドなしでの利用はできなくなりました。
そのかわり、高架木道が無料で開放されていますが、今のところ、一湖のみしか見ることができません。
本来の自然を楽しめるのは遊歩道ですが、新制度の定めたのは、仕方のなかったことなのかもしれません。
もし、ヒグマに出遭ってしまったら?
あなたが北海道旅行で、気をつけていてもヒグマに出遭ってしまったとしたら、まずは、絶対に走らないでください。熊は追いかける習性を持っている動物なので、かなり危険です。
ほかにも、大きな声は出さないこと、背中を見せないことなどがあります。ちなみに、死んだふりは全く効果がありませんので、やらないでくださいね(笑)
知床以外でも注意して。この標識は笑いごとじゃありません
本州に住んでいた時は、全く見たことがない標識なので、北海道のみに設置されているのかもしれません。
見慣れていない人は、「おお、面白いな!」と、思うでしょうが、熊出没注意」は、この山にはヒグマが住んでいるという証です。
もし、熊に遭遇しても、車に乗っているなら、絶対に外には出ないようにしましょう。
とくに小熊を見つけた場合、愛くるしい姿から、そばで写真を撮りたくなりますが、近くの林には、親がいます。
しかも、子育て中はかなり攻撃的になっているので、絶対に近寄らないようにしてください。
人食い熊は、また人をエサにしようとする
人の食べ物の味や、人肉の味を覚えた熊は、必ず同じようなものを食べようとします。今まで、ヒグマに襲われて亡くなった事件は、人の味を覚えたことが原因です。
有名なのは、三毛別村で起こった事件です。
今でも、北海道史上最悪のヒグマ事件と言われています。
開拓時代のものなので、かなり昔になりますが、現代でも山登りにいった学生が襲われたり、山菜採りにいった年配の方が、無残な姿で発見されたりしています。
北海道に住む人間とヒグマは、切っても切り離せない関係です。住み分けができるように頑張っている方も大勢います。
ですから、自分の身を守るためにも、他の人の命を守るためにも、熊が住んでいるところに足を踏み入れる際は、十分、気をつけるようにしてください。
スポンサーリンク