『ノギャル』の農業をするギャルたちは農業をどのように変えたのか?
『農業をするギャル=ノギャル』によって、2009年に立ち上げられた『ノギャルプロジェクト』。
ギャル社長として有名な藤田志穂さんが立ち上げたプロジェクトです(今は藤田さんは社長ではないようですが)
この記事では、『ノギャル』の活動内容と、活動がもたらした効果、それに対する批判意見などを見ながら、その活動の意義を考えます。
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ノギャルの活動内容は?
公式サイトを元にまとめると、下のようになります。
■『シブヤ米』の生産、販売
ノギャルメンバーで「あきたこまち」を生産し、それをシブヤ米というブランドで販売するものです。秋田県の有限会社と共同で開発したもので、2009年にスタート。Amazonでも通販されていました。
(現在はAmazonでの取り扱いはないようです。生産は停止しているかも知れません)
■『イケてる作業着』の開発
EDWINと共同で「おしゃれな農作業着」を開発しています。2010年にオーバーオール(男女用)を2000本限定で生産し完売。
2011年はそれにくわえてオールインワン(男女用)、サロペット(女性用)、腰掛け、エプロンなどの各種グッズも発売しました。
【用語解説】
・オーバーオール
→マリオが履いているようなジーンズ。エプロンとズボンが一体になって、サスペンダーの部分までジーンズ生地でつながっているような感じ。
・オールインワン
→いわゆる「つなぎ」。
・サロペット
オーバーオールの上半身が丸く穴が開いている感じ。女性用の曲線的なデザイン。
■『ノギャルツアー』の開催
「ギャル、ギャルママ限定」という縛りで、野菜の収穫ツアーをするもの。ただ収穫をするだけではなく、地元の農家の方々と触れ合う機会も設ける。
たとえば2012年の5月には、下のようなツアーを実施しています。↓
「ノギャルプロジェクト」メンバーが
ながいも春堀りに挑戦!!
■「もったいない」プロジェクト
ノギャルを提唱した藤田志穂さんが、農業を中心に「もったいない」を考え、発信するプロジェクト。発信方法は講演会や雑誌「ソトコト」の中の記事など。
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…という内容です。農作物、ファッション、ツアー、ジャーナリズムとバランスの取れている企画と感じます。
シブヤ米など一時休止(?)しているものもあるようですが、特にツアーメンバーの方々は、訪問先の農業の協議会などとその後も一緒に活動されています。これを見ると、特にPR大使としての存在感が大きいのではないかと思います。
ノギャルに対する批判は?
ノギャルに対する批判もいくらか見受けられます。特に発起当時の批判がいくつか見られましたが、その内容はたとえば下のようなものです。
■農業弱体化の原因は、イメージの問題ではない
ノギャルのメンバーは「農業が衰退しているのは、農業に対してダサいイメージがあるから」と思っているようだが、全然違う。
1)減反政策(農産物の生産を抑えろ、という国からの指示)によって農家のモチベーションが下がったこと
2)関税率800%近い、過保護な保護主義政策のせいで、農家の競争力がさらに落ちた
3)日本は1戸当たり耕地面積がオーストラリアの1862分の1という耕地面積の狭さで、最初から農業に向いていない
というような批判です。
(他にも「秋田県を勝手に使わないでほしい」というようなものもありましたが、これはノギャルの農業に対する見解が正しいのであれば、大した問題ではないと思うので割愛させていただきます)
次は、この批判を見て自分が思ったことを書きます。
若者の農業に対するイメージは、むしろいい
つい1年前まで大学にいた自分の印象からすると、若者の農業に対するイメージは、むしろいいです。
10年前の大学生だったらわかりませんが、少なくとも今の大学生の間では、NGOとか農業というのは憧れの職業の一つです。これが純粋な憧れなのかは正直わかりません。
昔と違って、もうどの企業に就職してもお給料が増えないことがわかっているので「どうせ稼げないなら、何となく社会貢献をしている感じがする仕事」という理由で憧れている学生も一部いるようです。
農業に対するイメージが悪いとしても、それは「稼げない」というイメージで「ダサい」という印象は減っているような気がします。
なので、イメージを上げるのであれば「稼げない」の部分を解決する、というのが「現在では」最重要だと思います。「現在では」としたのは、ノギャルプロジェクトが立ち上がったのは5年前だからです。
5年前の大学生の農業に対するイメージがどうだったか自分はわからないのですが、5年前だったら確かにもっと「ダサい」イメージがあったかも知れません。
そのイメージが、ノギャルプロジェクトや農業を取り上げたテレビ番組などで変わっていったなら、確かに大成功だったのだろうと思います(実際、これらの活動によってイメージが上がったのだと思います)。
このプロジェクトに関する結論
ノギャルや農業に関して調べ尽くしたわけではもちろんありませんが、この時点で自分が感じている結論を出すなら、
・ノギャルなどの活動によって「農業はステキ」というイメージは、若者の間で強くなっている
・しかし、「稼げない」イメージはまだ強い(実際稼げない)
・なので、稼げない現状の解決が一番大事
・そのため、今後はイメージアップよりも「販路の拡大」や「いかに付加価値を高めるか」という実務的な取り組みの方が大事になる
という感じです。
何にせよ価値のある取り組みであることは間違いないので、ノギャルプロジェクトについてはまたどこかの機会でもっと調べて書かせていただきたいと思います。
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