森林浴は本当に体にいいのか?~イエスと言える5つの科学的な根拠
しかし、その科学的な理由までは知らない方がほとんどです。
この記事では、その科学的な理由を説明します。
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樹木が発する「フィトンチッド」という物質
フィトンチッドは、樹木が常に発している化学物質です。
(人間でいうなら汗などの分泌物のようなものです。*少し違いますが、わかりやすく言うなら)
フィトンチッドが発見されたのは、1930年前後のロシア。
ボリス・トーキンという学者が、植物に傷をつけた時に発見しました。
というのは、その時植物の周囲の細菌などが死ぬことに気づいたのです。
これを見てトーキンは「植物が何かの物質を発生させているのでは?」と考えました。
そして「植物=フィト(Phyto)」「殺す=チッド(Cide)」ということで、「フィトンチッド」と命名したのです。
このフィトンチッドは一部の細菌にとっては害となるものですが、多くの動物や人間にとってはプラスとなる物質です。
人間にとって有害な細菌も、この働きによって消滅している可能性が高いと見られています。
自然音が持つ「1/fゆらぎ」の効果
ここ10年ほど「環境音楽」という言葉が流行しました。
これは自然音が持つリラックス効果を音楽の世界にも導入するというものです。
自然音を聞いた時人がリラックスするのは、自然音は「1/fゆらぎ」という独特の波長の音を持っているからです。
この波長の音を聞いた時、人間の脳はアルファ波を出し、リラックスするようにできているのです。
森林は、皮膚から働きかけるフィトンチッドも持っていますが、音によって聴覚から人をリラックスさせることもできるということです。
2泊3日の森林浴で、NK細胞が56%増加
NK細胞というのは「ナチュラルキラー細胞」の略称で、ガンなどの病気に抵抗する重要な細胞です。
日頃都会に勤務するサラリーマンを被験者として実験した結果、2泊3日の森林浴で体内のNK細胞の約56%が活性化しました。
(これは06年の実験で05年にも同様の実験を行い、52.6%のNK細胞の活性化が確認されています)
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するどい方は「森林ではなく旅行の効果ではないか?」と思うかも知れませんが、この時同時に「都市部への旅行」をするグループもありました。
両方のグループを、その他の条件は同じにしてNK細胞を調べた結果、森林浴をしたグループだけ、NK細胞が活性化したということです。
この結果から、森林浴にはNK細胞を活性化させる力があると言えます。
ドイツで発展した「クナイプ療法」
森林浴というとあまり医学的な感じはしないかも知れませんが、ドイツではこれは「クナイプ療法」として知られており、日本の森林浴や森林セラピーは、このクナイプ療法をモデルとして研究されています。
(クナイプ療法はドイツのバイエルンで生まれたものとされています)
「転地効果」による心身のリフレッシュ
人間は日常から離れた場所に来ると、心身をリフレッシュさせることができます。
これは「転地効果」と呼ばれるものですが、森林浴にはそうした効果もあると言えます。
もちろん、転地効果は別に森林でなくても得られるものです。
しかし、いつもと違う場所に行くとテンションが上がるということは、誰もが日常で体験していることで、森林浴でもそれが得られると言っていいでしょう。
(ここまで挙げてきた「フィトンチッド」「1/fゆらぎ」などに加えて、転地効果もあるということです)
■転地効果を科学的に説明する
私は住む場所や仕事をする場所がコロコロ変わる人間なので、転地効果については日常から意識しています。
そして、科学的な説明もできます。
場所が変われば、いつもと違う「視覚情報」「嗅覚情報」などが入ってきます。
いつもと違う情報を処理するわけですから、脳の視覚野、嗅覚野、聴覚野などの各部位が「いつもと違う動き」をします。
一か所だけなら大した違いではありませんが、「複数ヶ所が同時に変わる」ということで、脳のその他の部位もつられて変わるのです。
そうした脳の変化によって、普段感じないような刺激を感じ、ワクワクするというわけです。
(度が超えると、その変化について行けなくなって、逆に不安を感じるわけです)
「何となく場所を変える」のではなく、このような科学的な理由も意識した上で場所を変えると、より大きな転地効果が得られるでしょう。
■まとめ
以上、森林浴の効果を科学的に紹介しました。
場所は行きたい森林であればどこでもいいので、ぜひ試してみてください。
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