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プロレステーマ曲に見るロックとの親和性~その非日常性に乾杯!

「ロックとプロレス」。音楽と格闘技というまったくことなる2つのジャンルでありながら、両方に愛着を持っている方は古今東西たくさんいます。ロックとプロレスの共通項、それは非日常を感じさせてくれることです。

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プロレスのテーマ曲を知ることで、ロック・ミュージシャンの名前を覚えた

プロレスラーの入場時にかかるテーマ曲。現在はオリジナル曲で入場する選手が多いですが、70年代~90年代までは既存の音楽を使うことがあたりまえでした。

子供のころプロレス中継で見た選手の入場シーンで、ロック・ミュージシャンの名前を知ることも多くありました。

強烈に悪役レスラーのイメージがついてしまった曲「吹けよ風、呼べよ嵐」

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▲ピンク・フロイドの音楽性はプロレスのいかがわしさにピッタリ!?

日本で最も有名な外国人レスラーの1人、アブドーラ・ザ・ブッチャー。彼の入場曲はピンク・フロイドの「吹けよ風、呼べよ嵐(原題 : One of These Days)」でした。

不気味なシャッフルのビートに乗ってのっそりと登場してくるブッチャーとこの曲のイメージが重なり、じつに良い味を出していたものです。

この曲はもう一方の悪役レスラーの大物、タイガー・ジェット・シンの入場の際にも使われていました。

シンの場合はサーベルを口にくわえながら登場して客席に乱入、ときにサーベルを振り回して観客を追いかけまわすなど、子供のころはほんとうに怖くてたまらないレスラーでした。

30代以降の方で「吹けよ風、呼べよ嵐」を聴くといまだにブッチャーとシンを思い出すという方は結構多いと思います。筆者ももちろんその1人です(笑)。

曲にすっかり2大悪役レスラーのイメージがついてしまったのはピンク・フロイドには迷惑な話かもしれませんね。

“キングコング”のニックネームで人気があったレスラー、ブルーザー・ブロディのテーマ曲はレッド・ツェッペリンの「移民の歌」(原題 : Immigrant Song)。

イントロとともに長髪を振り乱し、チェーンを振り回しながらブロディが登場すると会場のテンションは一気に上がりました。残念ながらブロディはこの世を去ってしまいましたが、この曲を耳にすると客席で暴れまわる姿を思い出して逃げ出したい気持ちになったりします。

ハード・コアなプロレスとHR/HMがみごとにマッチ、大ブームを巻き起こしたロード・ウォリアーズ

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▲ロード・ウォリアーズのカッコ良さはまさにロック!!

一世を風靡したタッグチーム、ロード・ウォリアーズはブラック・サバスの「アイアン・マン」を使用していました。ヘヴィなギター・リフが場内に流れ、どきどきしながら待っていると入場口から飛び出してくるウォリアーズ。

屈強な彼らのイメージにピッタリな曲です。この曲とともに彼らの試合がゴールデン・タイムのお茶の間に流れてたんですから、いま思えばビックリです。

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プロレスラーとミュージシャンの豪華競演で、ビッグマッチを盛り上げることも

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▲HHHのためにオリジナル曲を書きおろしたモーターヘッド

HM/HRはプロレスとの相性がいいようで、世界最大手のプロレス団体WWEでもよく使われています。HHH(トリプル・エイチ)のテーマ曲はモーターヘッドの「ザ・ゲーム(原題 : King of Kings~The Game)」。

HHHの為に書かれたオリジナル曲でWWEの年に一度のビッグマッチ「レッスルマニア」では入場ゲートでモーターヘッドが生演奏をして豪華な競演を見ることができました。ダイナミックでヘヴィなロックは選手を強く見せます。

日本人アーティストの曲もプロレス界では多く使われていますが、最も有名な曲はザ・ファンクス(テリー、ドリーの兄弟)のテーマ曲「スピニング・トーホールド」です。

日本のロックバンド、クリエイションがファンクスのフィニッシュ技のスピニング・トーホールドをイメージして制作したものです。これまた曲のフレーズが鳴った瞬間にドッと観客を沸かせる名曲です。

日本人のプロレスラーが使用している入場曲で有名なのが長州力の「パワー・ホール」。P-MODELの平沢進が作曲したテクノ・チューンです。

平沢はプロレスに興味がなく長州のこともまったく知らずに曲の制作を請け負ったようですが、いまでは長州の象徴的な曲になっているのですから不思議なものです。

日本でもっとも有名なプロレスラーのテーマ曲はアントニオ・猪木の「炎ファイター」でしょう。「イノキ・ボンバイエ!」という、あれです。

この曲は元々モハメド・アリのテーマ曲「アリ・ボンバイエ」として使われていたものを、猪木と戦ったアリが友情の証として送ったというエピソードがあります。これまた猪木の象徴的な曲となっていますから、音楽がいかにプロレスにとって大事なものかがよくわかります。

非日常を魅せるエンターテイメントとして、プロレスの演出にいまやロックは欠かせない

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▲1.4東京ドームに登場し超絶テクで大会を盛り上げたマーティー・フリードマン

今年1月4日、東京ドームの新日本プロレスの大会では、メインイベントに登場した棚橋弘至がギターを弾くマーティー・フリードマンと共に入場、大歓声を浴びました。

このように現在でこそエンターテイメントとして興業が成立しているプロレス界ですが、まだリング上での闘いこそがプロレスのすべてだった時代、入場テーマ曲というのは選手の個性を知る上で重要なファクターでした。

そこから自然にロックを知ることにもなり、両者がほんとうの意味でコラボレーションしていました。プロレスといういい意味での“いかがわしさ”を感じさせるジャンルを観る者に伝えるうえで、ロックとの組み合わせは一番の近道。

非日常を感じさせてくれる2つのジャンルに乾杯です。

(文・岡本貴之)

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