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’70~ストラトキャスターのラージヘッドモデルについて考えてみる
一口にフェンダー・ストラトキャスターと言っても、時代によって大きく変化してきています。
そして、さまざまなモデルが誕生しては消え、こまかなスペック違いまで含めるとその種類は百種類を超えていると言われています。
そんなストラトの中でも特に高い人気を集めているのが、50年代の後半から60年代までの前半に製造されたヴィンテージモデルたちです。
現在も常に復刻モデルが製造され続けているほどに、高い支持を集めています。
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それに対して、少し人気が劣るのが60年代後半から70年代にかけて製造されたモデルたちです。
どうしてこれらのギターは前述のヴィンテージモデルに比べて評価が低いのでしょう?
今回はその点について考えてみたいと思います。
70sストラトの特徴をまとめよう
この年代のストラトキャスターは通称「ラージヘッド」と呼ばれています。この呼び名は、それ以前に採用されていたヘッドにくらべ、大きくなったことに由来しています。
ルックスの点ではこれが最大の特徴であると言えるでしょう。
このラージヘッドが採用されると同時に大幅なスペック変更がされたとよく誤解されています。しかし、実は70年代の前半まではスペックに大きな違いはないのです。
例えば、ジミ・ヘンドリックスが使用していた69年製のストラトキャスターのスペックを例に挙げてみましょう。
ボディはアルダー、ネックはメイプル、これらをつなぐジョイントはボルトオンの4点止めになっています。
このスペックは60年代前半のものとほとんど同じものです。
大きなスペック変更があったのは70年代中盤のことです。
ボディにアッシュが採用されるようになり、ジョイントはボルトオンの3点止めに変更されました。
こうなると、サウンドに違いが出てくるのは明らかです。
また、70年代の後半になるとブリッジの駒も変更されました。鉄板をプレスし、曲げて成形していたものが、ダイキャスト成形のものへとなっています。
これもやはりサウンドに大きく影響してしまう変更でした。
70sの仕様材変更は改悪だったのか?
前述のスペックの変更はどのような意味を持つものだったのでしょう?
まず、アッシュを使用するようになった点に関しては、バリエーションを増やすという目的があったようです。
アッシュ材のモデルばかりになってしまったように思われがちですが、実は並行してアルダーボディのモデルも生産・販売され続けていました。
つまり、この点に関しては材が変更されたというよりも、アッシュも同時に使われるようになった、という方が正しいでしょう。
また、アッシュがストラトキャスターに採用されたのはこれが初めてではありません。1955年前後のモデルにも、アッシュ材が使用されており、決してこれはおかしなチョイスであったわけではありません。
そもそも、60年代は材にあまりこだわらずにギターは生産されており、人気の高い60年代前半のストラトの中にもパインやバスウッドなどが使われたものが存在しています。
ですので、アルダー以外の材が使われるようになったという点は決して改悪とは言えないでしょう。
3点ジョイントの持つ意味とは?
ネックとボディを接合するジョイントのボルトを一本減らすということは、それだけ強度が落ちてしまうことを意味します。
結果として、このスペックを採用しているギターの中にはセンターずれなどの問題を起こしているものも少なくありません。
これを嫌ったイングヴェイ・マルムスティーンなどはジョイントをわざわざ4点止めへと改造してしまったほどです。
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この点だけを挙げると完全な改悪であったように思えますが、メリットがなかったわけではありません。
ジョイントの変更の際に、ネック角度の微調整が可能な機構が取り付けられました。これによって、誰でも簡単に角度の調整をすることができるようになったのです。
しかし、それでも3点止めジョイントは広く受け入れられることはありませんでした。なぜなら、しっかりとした精度でネックポケットが加工されていれば後から角度を調整する必要はほとんどありません。
結局はコストダウンによって加工精度が甘くなってしまったジョイントを修正するための機構に過ぎなかったのです。
メーカーにとっては都合の良いことだったのかもしれませんが、プレイヤーの視点から見てみると、メリットはほとんどありません。
こう考えると、やはりこのジョイントは失敗、つまり改悪であったと言えるのではないでしょうか。
ダイキャストブリッジの持つメリット
ブリッジの駒の変更に関しては、大きなメリットがあります。単純にブリッジの質量が増えたことによって、これまでにはなかったロングサスティンを得ることに成功しました。
弦と接する面積も大きくなったことから、チューニングをより安定させるという点でも大きなメリットとなっています。
これは改良であったと言えるでしょう。従来のストラトの欠点であったサスティンの問題を小さなパーツ変更によって打ち消してしまったのです。
このブリッジに関しては現在でもさらに改良されて、スタンダードストラトキャスターに採用され続けています。
こうして考えてみると、ジョイント部分以外のスペックチェンジにはそれほど大きなデメリットがあるわけではありません。
むしろ、サスティンなどの面に関しては70sモデルの方が優れています。
一度悪いイメージを捨てて70年代のモデルにも目を向けてみると、このギターの魅力に気付くことができるかもしれません。
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