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「夜のヒットスタジオ」80年代にお茶の間に流れた洋楽ロックの衝撃
ここ数年、音楽業界の不況が叫ばれています。CDが売れない、単独ライブに集客できない…。特に洋楽を聴かない若者が増えているとか。
しかし最近では朝の情報番組にレディ・ガガやミューズなどの大物アーティストが生出演するなど、洋楽を盛り上げようという動きもあります。そういえば昔は「夜のヒットスタジオ」などの音楽番組に洋楽アーティストが良く出ていたものです。
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「夜ヒット」で観た本物のロックの数々が人格形成に間違いなく作用しているはず!
現在では音楽番組が少ない日本のテレビ界ですが、かつてはザ・ベストテン、ザ・トップテンをはじめとして、一週間のうち必ず観る音楽番組が存在していました。中でも洋楽アーティストに触れる一番のきっかけになっていたのが、「夜のヒットスタジオ」です。
「夜のヒットスタジオ」は、週に1回の放送(その後は生番組の放送はありましたが)の中で、来日したミュージシャンや海外からの中継でさまざまな洋楽に触れることができました。今はゴールデン・タイムでそんな経験なかなかできないですよね。
個人的に一番インパクトがあり、影響されたのが当時大流行していたLAメタルの人気バンド、ラットです。全世界で3000万枚以上のアルバムのセールスを記録したという売れっ子でした。いかにも実に華やかなビジュアルで、曲もキャッチーな彼らは日本でも大人気。そんな中での来日時のテレビ出演です。
ラット最高!ウォーレン最高!テレビの前にかぶりつき、録画して何度も観ちゃいました。
▲ウォーレンの相方、ロビン・クロスビーさんはエイズで亡くなってしまいました…
1986年にリリースした『ダンシング・アンダーカヴァー』からのシングル「ダンス」を披露していましたが、当時初めてのエレキ・ギターを手にした筆者はテレビの前にかじりついて観ていました。
特にリードギターのウォーレン・デ・マルティーニのカッコよさといったら!今でも憧れのギタリストです。ラットについてはまた改めて書こうと思います。
ボン・ジョヴィはアルバム『ニュージャージー』発売時に出演したのを観ました。曲は「ボーン・トゥ・ビー・マイ・ベイビー」この時にジョンが緑色のアコギを弾きながら歌っていたんです。それをめちゃくちゃカッコよく感じた僕は、お小遣いを貯めて楽器屋にアコギを買いに行きました。
「ジョン・ボン・ジョヴィが弾いてたアコギ下さい!」と店員のお姉さんに言った所、「はあ?」というリアクションでしたが(笑)。ちょうど緑色のエレアコが売っていたのでそれを購入しました。後にそれはプリンセス・プリンセスの奥居香モデルだったことに気付くんですが(笑)。
日本で売れているバンドはカセットテープのCMに出るという法則がありました!
▲今思えば変わった3人組でしたよ、この人達。
3人組デジタルポップグループ、トンプソン・ツインズも「夜のヒットスタジオ」で初めて観ました。いわゆるポストパンク・ニューウェイブの流れから出てきた彼らですが、マクセルのカセットテープのCMに起用される等、日本で大ブレイクしていました。
何回か番組には出演していたと思いますが、CMでも使われていた「キング・フォー・ア・デイ」を披露した際に目撃しました。その後レコード屋さんで12インチシングルかアルバムを手に入れたのを覚えています。レコードを買うのにテレビの影響力は多大だったんですよね。
シンディ・ローパーが日本通になった理由が明らかになったのもこの番組に出演した時のこと。売れない時代、ニューヨークの『ミホ』という日本料理を出すレストランでウェイトレスとして働いていたことがあり、その際に日本語を覚えたのだそうです。
その後シンディは紅白歌合戦にも出演していますね。プライベートでも日本を訪れているそうなので、どこかで遭遇しても驚かないようにしましょう(笑)。
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社会問題をテーマに歌う人がいることを洋楽から学びました。邦楽は恋愛ばかり歌い過ぎ!
▲そうそう、「トムズ・ダイナー」も大ヒットしました。
もう一人女性歌手で記憶に残ったのがニューヨークのシンガーソングライター、スザンヌ・ヴェガ。彼女の最大のヒット曲「ルカ」は幼児虐待について歌った名曲です。
番組ではギターを弾いて歌う彼女を中継すると共に「僕の名前はルカ 2階に住んでいるんだ」という訳詩がテロップで放送されました。曲の内容を伝えようとする制作側の意思が伝わってきて感動しました。
こうして「夜のヒットスタジオ」は売れている外国人アーティストを紹介してくれたのですが、ひとつ問題がありました。それは「口パク」だったこと!たぶんほぼすべてがそうだったんじゃないでしょうか?
バンドの演奏をしているのに、何故かギターのジャックにシールドが入っていない…なんていうこともありました。一番驚いたのがスティング登場回。
「ウィー・ウィル・トゥギャザー」とか言っといてそりゃないぜスティング兄貴
▲ネットで彼の画像を検索すると大量にペイントしたプロレスラーが出て来るのでご注意ください。
大ヒット曲「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」を中継で歌ったんですが、それがどこかのコロシアム。コートのポケットに手をつっこみ場内をあるきながら歌う姿を観て、どう考えても生で歌ってないじゃん!と子供ながらに憤慨しました(笑)。まあテレビではよくあることですけど。
最近の番組では意外と生演奏、生歌の場合もあるようですね。情報化社会とはいえ、海外の音楽に触れる機会は沢山あった方が良いですよね。今年は大物アーティストが多数来日しますから、テレビ局の方々には頑張って是非彼らを地上波に登場させてほしいものです。
文・岡本貴之
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