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80年代LAメタル・ブームの頂点を極めたラットの魅力とは?

若い音楽ファンには「LAメタル・ブーム」と言っても良くわからないでしょうか?1980年代、アメリカ西海岸、ロサンゼルスを中心に巻き起こったヘヴィメタルブームのことです。

今に至るHR/HMのルーツともいえるこのムーブメントの頂点に立っていたのが5人組バンド、ラット。彼らの代表曲『ラウンド・アンド・ラウンド』PVはLAメタルの最高傑作です。

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スティーヴン・パーシー、ウォーレン・デ・マルティーニを始めみんなルックスの良さも売り

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▲こうしてみると全員ルックスは良いですよね。化粧のノリも良さそう。

ラットは1976年にボーカルのスティーヴン・パーシーが中心となり、カリフォルニア州サンディエゴで結成されました。初期のメンバーには後のオジー・オズボーン・バンドで活躍するジェイク・E・リーが在籍していました。

その後バンドは解体され、再び集まったメンバーはギタリストのロビン・クロスビー、ドラマーのボビー・ブロッツァー、ベーシストのフォアン・クルーシェ、そしてもう一人のギタリストとして若干18歳のギタリスト、ウォーレン・デ・マルティーニが加入。

鉄壁の布陣となりました。

1983年に自主制作盤のミニ・アルバム『ラット』をリリース。「ユー・シンク・ユアー・タフ」、「バック・フォー・モア」といったライブでの定番曲も収録した同作品がきっかけとなり早速メジャーから声がかかり、ブレイクの兆しが見えてきます。

『情欲の炎』って今思うとなんかすごいタイトルですよね

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▲屋根裏部屋で演奏するネズミたち。それにしても終始右端に見切れているチャリはなんなんでしょうか?邪魔!

良く84年についにアルバム『情欲の炎』でメジャー・デビュー、いきなり全米第7位にチャートインして世界にその名を知らしめます。これは音楽性を考えると凄いことですよね。

当時は日本でもハードロック・ブームが巻き起こっていました。ちょっと前まで松田聖子や中森明菜を聴いていた筆者の姉がいきなりアースシェイカーを聴きだしたくらいですから、いかにその流行り具合が凄かったかわかります。

その頃中学生だった筆者もいつの間にかそのブームに乗っかって「ヤングギター」などを買うようになり、ギターも手に入れました。そこで出会ったラットの衝撃といったら!

最初に彼らを観たのは恐らく深夜に放送していた音楽番組でした。夜中の時間帯とはいえ、なんと30分のラット特集番組が組まれたのです。いかに日本でも人気があったのかわかりますよね。これは恐らくソニーミュージックTVという番組だと思います。

MTV全盛の時代ですからPVが中心の番組でしたが、初めて観る彼らに釘付けになってしまいました。

いくつか流されたPVの中で一番目を引いたのが『ラウンド・アンド・ラウンド』。そう、大ヒット曲であり代表曲です。

このPVではセレブ家庭の屋敷の天井に“ネズミ”よろしく忍び込んだバンドが演奏している姿と下で食事をする、すました人間たちとの対比が面白い作品になっています。

登場人物の執事が冒頭、屋敷の外を通りぬけるメンバーたちのシルエットを見て「ヨシヨシ」と頷いているのですが、どうやらバンドの内通者らしく、給仕する中で右手に付けられた鋲付きリストバンドが見えてしまいひっこめるシーンは笑えます。

「なんだか天井がうるさいわねえ…」といぶかしがる婦人。徐々にほこりが食卓に落ちるようになり、2番のサビが終わったあたりでとうとうグラスの中にゴミが落下します。そして執事が運んできた皿の上にはなんと数匹のネズミが!「えぇ~!?」っと驚く家族(笑)。

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ここからがカッコ良いんですが、間奏のギターソロに差し掛かる場面で、飛びあがったウォーレンは天井床を突き破り下に飛び降り、テーブルの上に着地!同時にギターソロを弾き出します。

この時ソロを弾き出す瞬間のウォーレンを観て下さい。ギターヘッドでさりげなく食卓にある食器を払いのけて後ろに飛ばします。この自然なアクションがカッコイイ!

食卓の上で片膝をついて速弾きソロを弾くウォーレン。着ている赤と黒のベスト、意外に細マッチョな二の腕、ドクロのイラストが入ったギター、全てが最高にイカしてます。

良い曲・良いメロディのギターソロがラットの魅力です

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▲相方のロビンに合図を送るウォーレンの図。右手が「OK」マークみたいになる独特なピッキングフォームを真似したものです。

そして8小節後に上を指さすと天井にいる相棒のロビン・クロスビーが呼応して、ツインギターのユニゾンでソロが展開されます。

ここでのメロディは実にキャッチー。ドラムがブレイクしての一息で弾く部分は本当に痺れます。さらにアーミングで音をダウンさせる箇所では、つい一緒に体を折り曲げてアーミングダウンしてしまいます。

ソロイストでもまったくメロディが良くない早く弾けるだけのギタリストもいた中で、この2人の旋律は実に美しく耳に残りました。

間奏明け、屋根裏部屋に登ってきたお嬢様のドレスはボロボロになりネズミのように(笑)。演奏するバンドの元に近づき踊り出します(いつのまにかウォーレンも戻ってきています)。

そして食卓では“RATT”と背中に入ったジャンパーを着た執事が拳を振り上げている…というエンディング。最後はなんだかよくわからないですが(笑)。実にスッキリとするPVです。

“ラットン・ロール”という造語が流行るくらいの大ヒット!バンドは現在もメンバーを変えながらも活動中です

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▲ギターのロビン・クロスビーは亡くなってしまいましたが、バンドはいまだ現役です。

このPV、これぞ“ラットン・ロール”という曲ですので、ぜひあなたも観て下さい。ギターを弾ける人ならなおさら聴いてコピーしてもらいたいと思います。但し、ネズミが嫌いな人は止めた方が良いかもしれませんけど。

文・岡本貴之

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