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アレンジのテクニックであなたのロックバンドがワンランクアップ!?

バンドで演奏している時、各パートそれぞれの演奏をアレンジや編曲と言います。つまり、オリジナル曲を自分の判断で演奏していれば、それはあなたが「アレンジしている」ということになります。

通常は作曲者の指定したコードをもとに演奏しているわけですが、各楽器の担当者はその楽器については、ほかのどのメンバーよりも詳しいわけです。ですので時には曲に対してとても良いアイディアを持っている場合もあります。

カヴァーソングを演奏する場合も、オリジナルとまったく同じ方法で演奏するだけにはとどまる必要はありません。独自のテイストを加えながらアレンジして演奏することでより幅の広い音楽性を印象づけることができます。

そこで今回は、作曲者はもちろん各パートの演奏者がもとのアレンジを変えて演奏するための「ロックのアレンジ」について解説します。

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キーを変更して印象を変える

内藤No6 02▲キーを低く変えることによって曲の表情がダーク変化する

アレンジを考えるときに、まずは演奏するキーの変更を検討してみてください。ロック・バンドで多く見られるのが、全体を半音下げて演奏する方法です。

この方法はギターの演奏が中心になるバンドなどで特に多く見られますのでご存じの方が多いかもしれませんね。

この方法で得られる効果としてギターやベースのテンションが下がることや、全体の音程が下がることによって、よりダークなイメージが強くなります。

この場合、弦楽器のテンションは弱くなりますが、心配するほど演奏に大きな影響はありません。

ただし再度オクターブチェックなどのチューニングが必要になりますので、半音下げて演奏する場合はそれ専用の楽器を用意したいものです。

余談ですが現代の研究では、バロック時代のクラシック音楽も当時は現代の440Hzよりも半音近く低かったであろうとの見方が今では主流となっています。

このことからハードロックやヘヴィメタルなどでよりバロック時代のクラシカルなアプローチが取られているのが納得できます。

一般的にはヴォーカルの音域に合わせてキーを決めることが多いでしょう。キーによってメロディを歌いにくい場合は、一部メロディを変更して対応するなど、演奏を優先する場合があっても良いのです。

毎回ヴォーカルが歌いやすいということだけでキーを決めていると、ほとんど同じキーになってしまいます。

これでは音楽的な幅が狭くなってしまいますので、バンドでよく話し合い、あらかじめ曲のイメージを全員統一して取り掛かるとよいでしょう。

ギターやベースのフレーズに合わせてキーを変える

内藤No6 03▲ブルースなどで多用するブルーノートには、キーボードにもキーによって使い易いフレーズと使いづらいフレーズがある

Aのキーで演奏しようとしているのに、直前に「ではGで」と言われてがっかりした経験はありませんか?これはギタリストやベージストにとっては笑い事ではありません。

弦楽器であるギターやベースにとって開放弦を多く使えるキー、特にE、A、Dは特別なキーです。

できることのバリエーションは無数に増えて、またいわゆる「おいしい」演奏が可能な、ギターやベースに取っては見せ所がたくさんあるキーでもあります。

ベーシストにとってのAは、他の誰にも理解できないほど重要で、それをFにでも変更されたなら、私ならその人の顔は絶対に忘れない自信があります(笑)

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そこで得意な美味しいフレーズがあるなら、はじめからそのキーに変更してしまうのも一つの方法です。

フレーズの組み立てや、使用する場所などはしっかり計算しておく必要はありますが、演奏者自身が得意とする曲目は大抵他人からの評価が高いのでおすすめの方法です。

リハーモナイズ・テクニックを使う

内藤No6 04▲上の4小節に対してリハーモナイズした例。Aはキー外のコード。

今までは主として演奏者の工夫によってアレンジを加える方法を紹介してきました。

今度はしっかり曲自体をアレンジしなおす、リハーモナイズ・テクニックを紹介します。

リハーモナイズのテクニックはさまざまですが、この方法はとてもシンプルながら曲の表情が一変するので、ロックに適したリハーモナイズです。

まず、メロディの構成音の中でも重要な音を一つ選びます。そしてその構成音を含んだコードに変更してください。

上の画像は上段の4小節に対して、下段の4小節でリハーモナイズした例です。大きな変化はAマイナーのコードがAに変わっているところでしょう。

この曲はCであり、Aはキー外のコードですが、メロディが構成音を含んでいるのでさほど違和感はありません。問題になりそうなのはコードはAの時、メロディのEがアボイドノートであることです。

この場合、Eはビートの裏なので経過音として成立しているので問題ありません。

この他にもジャスの理論に詳しい方なら、ドミナントアプローチを使って、各コードにアプローチすれば、まったく表情が変わり、さらに使えるコードも格段に増えるのでインプロビゼーションの時に使うには最適です。

リズム・パターンを変えて演奏する

内藤No6 05▲リズム・セクションを変えるだけでなくプレイスタイルを研究することで表情がより豊かに変化する

これもよく使われていて、曲の表情を変えたり印象を変えることができる。とても効果的な方法です。

代表的な例としてはマイナーのロックなら、リスムをボサノバ調に変えると、とても落ち着いた雰囲気が演出できます。

この場合ドラムとベースのリズムパターンを変えると同時に、コードは9th(ナインス)を多用することでよりボサノバの雰囲気が出ます。

できることならメロディに関しても9thを多用する歌い方ができれば万全ですが、ボーカルの場合は楽器の演奏のようには行きませんので、歌う方の力量次第になります。

いずれにしても単にリズムやメロディを変えるだけでなく、普段から本当のボサノバのフレーズなども研究しておくとより一層ラテンの曲調に近づきます。

単に「アレンジ」と言うととても難しいことのように感じられてしまいます。ですが、ロックやジャズをはじめとするポピュラーミュージック演奏している方の多くは無意識に実践していることです。

そこに少しだけ意識を向けることができれば、より良いアレンジができるようになるでしょう。

By内藤孝昌

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