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稀代のスライドギター名手!デレク・トラックスの描く世界
近年、スライドギターの名手としてもっとも大きな成功をおさめたギタリストと言えば誰でしょう?
筆者は真っ先にデレク・トラックスを思い浮かべます。
オールマン・ブラザーズ・バンドの初代ドラマーであるブッチ・トラックスの甥っ子。こう言えばオールドロックファンならば誰もがピンと来るのではないでしょうか?
同バンドに在籍した伝説的スライドマスター、デュアン・オールマン直系のギタリストなのです。
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今回は稀代のスライドマスター、デレク・トラックスについてお話したいと思います。
オープンEチューニングの持つ可能性
スライドギターを語る上で絶対に外すことが出来ないのがオープンチューニングについてです。
デレク・トラックスは常にオープンEチューニングでプレイしています。
通常は楽曲のキーに合わせてチューニングを変えたり、カポタストを使用しますが、彼はどのキーあってもこのチューニングでこなしてしまいます。
一見それほど難しいことではないように思えますが、キーによってはとてもフィンガリングが難解になってしまいます。
実際に筆者もデレクのマネをしてみたことがあるのですが、シンプルなコードワークにも対応することができませんでした。
スライドに関しても、キーが変わってしまうと、オープンコードが一切使えずに、単音でスケールを追うだけになってしまいます。
チューニングが変わると、ギターはまるで別の楽器へと変貌してしまいます。つまり、デレクが弾いているのはもはや一般的な楽器ではないと言えるのかもしれません。
多くのギタリストがレギュラーチューニングで可能性を追い続けているのに対して、彼はオープンEチューニングの持つ可能性に目を向けています。
彼の独特なフレージングやコード回しは、向かっているベクトルの違いから自然に生まれたものなのかもしれません。
スライド+フィンガリング
彼のプレイの特徴の一つに、スライドにうまくフィンガリングを織り交ぜるというものがあります。
これによって、ロングソロにも適度なアクセントを加えることができますので、音階だけを追っているとスタンダードなブルース系ソロに聞こえるものであっても、意外性のあるものになるのです。
このプレイスタイルによって、一瞬でサウンドの表情を変えてしまう、魔法のようなソロを弾くことができるのです。
ワールドミュージックからの影響
彼の音楽やプレイスタイルはロックやブルースだけでなく、ワールドミュージックからも強い影響を受けています。
通常のブルースロックなどでは絶対に使用しないような特殊な音階や変拍子は、民俗音楽や民族楽器の奏法からインスパイアされたものです。
おそらく、これがなければデレク・トラックスは単なるスライドの巧みなギタリスト、そんな評価となっていたことでしょう。
もちろん、99年から参加したオールマンズバンドなどで活躍することはできたとは思いますが、ソロアーティストとしての名声を得ることはできなかったはずです。
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筆者は正直に言うと、オールマンズバンドやエリック・クラプトンバンドでの彼のプレイにはそれほど強く惹かれません。
もちろん、素晴らしいトーンを奏でているのですが、それほど強い個性を感じることはできないのです。
それに対して、ソロや自身のバンドでプレイしている時の彼はとても魅力的で、つよく惹かれてしまいます。
彼が唯一無二のギタリストであるには、その個性を存分に活かすことのできる場所が必要なのです。
オーソドックスなブルース・ロック系のプレイをしている彼しか知らないのであれば、一度彼のソロ、またはバンド名義の音源を一度聴いてみて欲しいと思います。
2002年にリリースされたデレク・トラックス・バンド名義のアルバム「ジョイフル・ノイズ」などを聴けば彼の幅広い音楽性と強烈な個性に驚かされることでしょう。
どうしてバイブローラーユニットを残したのか
デレク・トラックスのメインギターと言えばギブソンのSGです。
そのボディやジョイントの形状から、スライドを多用するギタリストにとても人気の高いギターの一つです。
まずは、彼の使用モデルのスペックをまとめてみましょう。
ベースとなっているのは2000年代製のリイシューモデルです。60年代前半のスモールピックガードとロングバイブローラーアームユニットが特徴となります。
彼はこのギターからピックアップとアームを取り外しています。
ロングバイブローラーユニットはチューニングの問題などから取り外されてしまうことも少なくありません。ただし、その場合はユニットを丸ごと取り外して、近年のSGのようにテールピースを追加してチューンOマチックにしてしまうのが一般的です。
しかし、彼はあえてアームのみを取り外し、ユニットはそのまま残しています。
こうすることによって、得られる効果といえば、サスティンを稼ぐことができるという点でしょう。
スライドギターをプレイする上でこれは大きなメリットとなります。チューニングの安定性よりもサスティンを重視する…スライドギタリストならではのこだわりです。
稀代のスライドマスターであり、幅広い音楽性を持つアーティストでもあるデレク・トラックスの魅力をおわかりいただけたでしょうか?
筆者は彼こそがこれからのギターシーンを引っ張って行く存在なのではないか、とさえ思っています。
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