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スティーヴィー・レイ・ヴォーンはなぜこのアンプを選んだのか?

今回のスティーヴィー・レイ・ヴォーン機材研究は、アンプについてです。

演奏者の技量を除くとエレキギターのサウンドの8割はアンプが決める…そう言う人もいるほどにとても重要な機材の一つです。

ここでは単に使用機材を紹介するだけではなく、どうしてレイがそれを選んだのか、という点に関しても考えてみたいと思います。

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どうして中・小型チューブアンプを選んだのか

レイが活躍した1980年代にはすでにさまざまなメーカーからギター専用アンプが登場していましたので、選択肢は非常に豊富でした。
しかし、彼はキャリアのほとんどで中・小型のチューブアンプを使用しています。

大きなステージでプレイする機会も多かったにもかかわらずどうしてかれはこのサイズのアンプを選んだのでしょう?

まず、最大の理由は彼の好んだトーンにあると推測されます。彼は常にアンプをフルアップにして演奏をしていました。
あまりにも音量が大きいことから、出入り禁止になってしまったクラブもあるほどです。

音量が大きすぎるとバンド全体のサウンドバランスをとるのがかなり難しくなってしまいます。そんなデメリットがあるにもかかわらず、彼が常にボリュームをフルテンにしていたのはやはり、音量を上げたことによって自然に得られるオーバードライブトーンを得るためだったのでしょう。

もちろん、大型アンプでもフルアップにすればナチュラルな歪みを得ることは可能です。しかし、これでは音量が大きくなりすぎてしまいますので、現実的ではなかったのでしょう。

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初期のSRVサウンドを支えたフェンダー・スーパーリバーヴ

キャリアの初期にメインで使用されていたアンプがフェンダーのスーパーリバーヴです。
当時のフェンダーのスタンダードアンプはツインリバーヴやザ・ツインでしたが、あえてそれよりも小さなサイズ、そして小出力のものを使用していました。

小型アンプであっても、フルアップにしてしまうとその音量・音圧は相当なものです。
実際に筆者もレイが使用していたものと同じ60年代のスーパーリバーヴを使用する機会があり、レイの真似をしてフルアップサウンドに挑戦してみました。
小型アンプから出ているとは思えないような爆音に、長時間のプレイは不可能だと感じられたほどでした。

しかし、サウンドそのものは一般的なフェンダーアンプのものですので、レイとしては絶対にこのアンプでなければ…というものではなかったのかもしれません。
単にフルアップサウンドを得やすいアンプだから…そんな理由で選ばれたものと推測されます。

事実、このアンプが使用されたのは、ダブルトラブルとしてのデビュー前後のみで、すぐに後述のヴァイヴロヴァーブに変えられてしまいました。

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レイのトレードマーク!フェンダー・ヴァイヴロヴァーブ

初期から中期にかけて、レイのトレードマークとなっていたアンプがフェンダーのヴァイヴロヴァーブです。
このアンプの最大の特徴は、前述のスーパーリバーヴとほぼ同じ出力でありながら、15インチスピーカーを搭載することによって、より迫力のある低音を出すことができるようになったという点です。

小型アンプの欠点はスピーカーの口径も小さくなってしまうために、低音が損なわれてしまうというところにあります。

実用的な音量で自然なオーバードライヴサウンドを出せて、なおかつ低音も十分に出すことができる…これこそが当時のレイにとって理想にかなり近いアンプだったのでしょう。

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筆者も復刻モデルではありますが、このアンプを使用したことがあります。
音を出して最初に感じたのが、アタック感の出しにくさです。低音がかなり出ることから、ややサウンドがブーミーになってしまいやすく、正直使いやすいアンプとは思えませんでした。

この機材研究の第一回でもお話した通り、ギターのピックアップにも、大きな秘密はありませんでしたので、普通のギタリストがこのアンプとストラトを組み合わせてもあのサウンドを出すことはできないでしょう。

あのアタッキーでブライトなサウンドはレイの激しいピッキングによって生み出されたもの…これが正解なのでしょう。

しかし、このアンプはその特徴から繊細なプレイには適していません。この問題を解決してくれたのが、ダンブルアンプでした。

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レイの理想を実現してくれたダンブルアンプ

ギターマニアの間で幻のアンプと呼ばれているダンブルアンプ…最終的にレイのメインアンプとなったのがまさにそれでした。

完全オーダーメイドの個人製作アンプでしたので、極めて数が少なく、そして同じものが2台と存在していません。
ですので、レイが使用していた「スティール・ストロング・シンガー」の細かいスペックなどはほとんど知られていません。

音源やライヴ映像などで確認することのできるサウンドの特徴は、中型チューブアンプならではのオーバードライブサウンド持ちながら低音が失われることもなく、さらにピッキングを弱めてもブライトさを失わない…まさにSRVサウンドそのものです。

スティーヴィー・レイ・ヴォーンファンなら一度は弾いてみたい…そう思ってしまうのではないでしょうか?

レイのサウンドをじっくりと聞いてみると、彼がどうしてこのアンプを選んだのかが見えてくるのではないでしょうか。
ギターだけでなく、時にはアンプのことも意識して彼のサウンドを聞いてみてはいかがでしょう。

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