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最初で最後のニルヴァーナ来日公演を20年の歳月を経たいま振り返る
1991年11月に日本でひっそりとリリースしたニルヴァーナのファーストアルバム「NEVERMIND」。翌年には一躍世界的スターダムにのし上がります。
カート・コバーンが亡くなる94年までにニルヴァーナは一度しか来日公演を行っていません。いまでは伝説の来日公演といわれています。その来日公演で生ニルヴァーナ、生カート・コバーンを観た僕が、20年という歳月を経て当時を振り返ってみます。
ファーストアルバムリリース当時の衝撃は忘れられない!
80’sのハードロックをリアルタイムで聴いていた僕は、ほかのジャンルを今後聴かないのではないかと思っていたほどハードロックを愛していました。
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しかしそんなハードロック野郎だった僕は91年11月にリリースされたNIRVANAのファーストアルバム「NEVERMIND」に一発で打ちのめされてしまったのです。
もしかしたら、70’s半ばにSEX PISTOLSの鮮烈デビューと同じくらいの衝撃だったのかもしれません。当時スターだったレッド・ツェッペリンがオールド・ロックといわれてしまうほどムーブメントが一気に変化してしまったわけですから。
僕の周りにいるハードロック野郎のようすもあきらかに変わりました。僕も含めたほとんどの奴らがブーツからコンバースに履き替え、ボロボロのジーパンとネルシャツを着だしたのです。
当初、オルタナティブ・ロックといわれていましたが、この汚いお決まりのファッションでいつのまにかグランジと呼ばれるようになっていきました。
音楽だけでなく、当時のファッションのムーブメントまで一気に塗り替えましたからほんとうにすごい奴らです。
1991年11月号のハードロック・ヘヴィメタル専門誌「BURRN!」にNIRVANAのレビューが載っています。NIRVANAが88点、PEARL JAMが86点でした。なかなかの高得点ですね。
この時期にPEARL JAMもファーストアルバムをリリースしてますね。91年はまさしく新時代の幕開けでした。
まさか最初で最後の来日になるとは……
バブルが弾けた日本の経済は、「失われた10年」に足を突っ込み始めたところで、混沌とした状態。それとリンクするかのように登場したNIRVANAを時代は呼んでいたのでしょう。
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衝撃的なPV「SMELLS LIKE TEEN SPIRIT」を観て一気に引き込まれてしまったところに来日のニュースが!いままでのエモーショナルなハードロックではなく、ダークでジメジメしたNIRVANAをライブで聞いてみたくて即チケットを入手しました。
メジャーデビューして約3年でカートは亡くなり、彼を取り巻くものすべてが伝説となっていきました。まさか最初で最後の来日になるとは思ってもいませんでしたが、その1992年伝説の来日4公演のうち、僕は2月19日の中野サンプラザ公演に足を運んだのです。
超シンプルなライブ、写真撮りまくっている外人に驚愕
僕にとって衝撃的な出会いだったNIRVANA。友人と会場に向かうまえからテンションは高い状態でした。会場入りしてまず驚いたのは外人比率が異常に高かったことです。
日本ではファーストアルバムのリリースがこのライブの約4ヶ月ほど前でしたからまだ認知度が低かったのでしょう。
アメリカではスーパーリコメンドとしてMTVでPVがヘビロテしていましたから、日本在住の外人にとっては願ってもないチャンスだったわけですね。
新たな刺激を与えてくれたNIRVANAのライブ。その興奮状態は尋常じゃありませんでした。
そして興奮もピークに達したとき突如会場が暗転してギターをかき鳴らす音が!待ちに待ったライブが始まりました!一曲目はインディーズアルバム「BLEECH」からの「NEGATIVE CREEP」。
出だしのギターリフはたまりません!パジャマ姿で登場したカートはハイテンションになることなく淡々と歌い、ギターかき鳴らすのみ。それでもオーディエンスは熱狂の渦に。途中で余計なトークを入れることなく淡々とライブは続いていきました。
ライブの最中、外人が堂々とバシャバシャ写真を撮っていたのには驚きました。しかも、あちらこちらでフラッシュが光ってましたから一人や二人ではありません。
いまは携帯の動画でみんな撮っていますが、20年前はまだポケベル時代ですし、会場入りのときにカバンのなか身をチェックして「写ルンです」でも持っていようものなら没収されたものです。
そんなセキュリティをくぐって堂々と撮っているではないですか。光まくっていることにカートも知らんふりで気にするようすもありませんでしたね。これがガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズだったら乱闘になるところです。
シンプルなライブの最後にはドラムキット破壊!
パジャマ姿で淡々と演奏するカート、パワフルなドラミングのデイヴ。テンション上がるとピョンピョン跳ねるクリス。
余計な演出もないまま一気にアンコールへ。ラスト3曲、静と動の「LOUNGE ACT」、アップテンポの「TERRITORIAL PISSINGS」でアドレナリン大放出、そして「SMELLS LIKE TEEN SPIRIT」で昇天。
演奏の最後にはドラムキット破壊。ギターもたしか壊したような……。もはやはっきりと覚えていないほどにノリまくりました。周りもみんなぶっとんでました。一時間足らずで終了しましたが、20代の僕の心にしっかりと刻みこまれたライブでした。
これが中野サンプラザ規模じゃなくて、小さな箱でのライブだったとしたら、もっとNIRVANAらしさを感じたのでしょうね。
もともとアンチメジャーのカートでしたから、成功することの重圧とやりたいことがやりたくないことに変わってしまった葛藤をカートはこの時点ですでに感じていたのかもしれません。
時代が欲していたがゆえにショービジネスに巻き込まれてしまったNIRVANA。
94年4月5日にカートはこの世を去りましたが、同じ空間を共有できたことは20年以上経ったいまでも忘れることはありません。
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