ザック・ワイルドの代名詞的な奏法～ピッキングハーモニックスの研究

ザックワイルドの奏法と言ったらなにを思い浮かべるでしょうか？

ペンタトニック？チキンピッキング？ビブラート？

今回はそんなザック奏法のなかから、「ピッキングハーモニックス」の研究をしてみましょう。

ピッキングハーモニックスとは？

ザックの代名詞のひとつでもあるピッキングハーモニックス。デビューアルバムから「これでもか！」というくらいの量を聞くことができます。

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教則本に載っている弾き方は「ピックを深く持って、ピッキング直後に親指を弦に当てる」というもの。

ただし、これだけでは少し説明不足でして、実際、「上手くピッキングハーモニックスの音を出せない」という方が多いです。まずはピッキングハーモニックスの正しい弾き方を、ハーモニックスの原理から考えて見ましょう。

そもそもハーモニックスの原理は、理科の実験で習う「振動する弦に対して、弦の長さの整数分の1のポイント（＝ハーモニックスポイント）に触れると振動が整数倍される」という特性にもとづいていることはご存知でしょうか？

「ピッキングハーモニックスができない」という方の多くは、この原理を押さえ切れていない方が多いようです。

フラジオレット（ナチュラルハーモニックス）で考えるとわかりやすいでしょう。開放弦に対して、12フレット（1/2ポイント）に触れると2倍の高さの音に、7フレット（1/3ポイント）に触れると3倍の高さの音に……となっていきます。

たとえば、左手の人差し指で弦に触れてフラジオレットを出していたとき、ピッキングハーモニックスに置き換えると「左手人差し指＝右手親指」です。つまり、ピッキング直後に、親指でハーモニックスポイントに触れることでフラジオレットを起こしているのです。

文字で説明するとわかりにくいかもしれませんが、要は「ピッキングハーモニックスがきれいに出ない」というケースの8割近くは「ピッキングの位置がハーモニックスポイントに当たっていない」というものでしょう。

ポイントはギターによって（スケールによって・押さえているフレットによって）変わってくるので、自分のギターのハーモニックスポイントをしっかり知っておくことが、ピッキングハーモニックスの音をきれいに出すための第一段階です。

ライブでハーモニックスを演奏したいとき、一番怖いのは「ミスして音が出ない」ことではないでしょうか？

これにかんしては、ギターの「得意な」ハーモニックスという音が存在します。これは決して擬人化している表現ではなく、文字とおりボディに使われている木材によって「出やすい倍音」と「出にくい倍音」があることは事実なのです。

自分のギターが得意とするハーモニックスについて、日ごろからしっかりと研究しておくとよいでしょう。

ザック流ハーモニックス～きれいな音を

いよいよザック奏法の解説です！
ザックの使うピッキングハーモニックスは「歪みを強めにかけた状態で、低音弦・低フレットにピッキングハーモニックス（＋ビブラート）」という使い方が多いです。

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大きく括ってみると「ノイズとしてのハーモニックス」ともいえるでしょう。

もちろんビブラートの存在はとても大きいものですが、今回はハーモニックスに限ってみると……

ひとつのポイントは「ピッキングするときの右手人差し指」です。この部分を意識して演奏をするギタリストはなかなか少ないと思いますが、今回はちょっとここに注目。

やることは簡単です。

「ピッキングまえに右手人差し指の爪で弦を擦る」こと。

騙されたと思ってやってみてください。信じられないくらいにピッキングハーモニックスがきれいに出るはずです。順番で言うと「右手人差し指の爪」→「ピック」→「親指の腹」を超スピードで弦に当てることになりますね。

ちなみにこの効果は「弦にピックが当たるまえに一度弦の振動を確実に止めることでノイズを減らす」というものです。ピッキングハーモニックスはほかのノイズに影響されやすい音なので、この方法が有効になってくるのです。

ザック流ハーモニックス～鋭い音を

続いてのポイントは「音の鋭さ」です。このポイントについては1にも2にも「ピッキングの振りの速さ」になるでしょう。

この速さをあげることについては、いろいろな方法がありますが、ザックも行っている手っ取り早い方法として「通常より多めに振り切る」というものです。

スポーツをやっている人ならピンと来るでしょうか？たとえばテニスのスマッシュ。速度をあげるためにはラケットの軌道を（振り遅れない範囲で）できる限り長く取ったほうがよいのです。

ピッキングにも同じ事が言えます。ただし、演奏にかんしてはピッキング前の動作を大きく取ると、テンポに遅れる恐れがあるので、「それだったら弾いた後の軌道を長くしよう」ということです。

実践！！

さて。今回のことをまとめると

①ハーモニックスポイントを的確にとらえる。
②ピッキング直まえに右手人差し指の爪で弦を擦る。
③ピッキングの振り切りを意識的に伸ばす。

この3つが、ザックのようにピッキングハーモニックスをきれいに出すコツです。

もちろん、まえにも書きましたが、ザックの場合、ここに「ビブラート」という大技が乗ってくることで大きくサウンドが変わってくるわけですが…

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