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ギターは弾きこむことで本当にサウンドが良くなるのか?
ギターは弾きこめばその分だけ音が良くなる…そう言われ続けてきました。果たしてそれは本当なのでしょうか?
筆者は数多くのヴィンテージギターを弾いてきました。そのほとんどが間違いなく現行の新しいものとはまったく違ったサウンドを持っていました。この違いは長年にわたって弾きこまれてきたことによるもの…そう考えることもできるかもしれません。
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しかし、その具体的なメカニズムがはっきりとしない以上は他の要因も疑わなければなりません。
そこで、今回は弾きこむことによってサウンドは変化するのか…これについて考えてみたいと思います。
弾きこむことによって振動が大きくなる?
一般的に言われているのが、長年にわたって弾きこまれたギターはボディの振動が大きくなり、豊かな倍音を得ることができるというものです。
実際に筆者がこれまでに弾いてきたヴィンテージギターの多くは新しいものと比較してボディの振動が大きいものがほとんどでした。
しかし、作られた年代が違えば当然使用されている材も違います。特にフェンダーなどの場合、材の選別の方法が大きく変わっていますので、同じアルダー、アッシュであってもまったく品質が異なる可能性だってあります。
当然、この点もボディの振動に大きく影響してくるでしょう。なので、古いギターほど振動が大きくなるというのは、一概に弾きこまれたことが原因であるとは言えないでしょう。
枯れたトーンの正体とは?
また、振動の面の他に、弾き続けて行くと枯れたトーンになると言われることがあります。
そもそも、その定義が曖昧ですが、多くの人はエリック・クラプトンがブラッキーを使用していた時期…アルバムで言えば「スローハンド」などの時期のようなサウンドをイメージするのではないでしょうか?
レンジが広いのに、丸くてバンドに馴染む…決してサスティンは長くありませんが、逆にそれによって与えられる油断すると途切れてしまいそうなスリリングさ…とても魅力的なものです。
これは決して近年のギターでは再現することができないものです。
このサウンドを生み出している要因を考えてみましょう。
まず、最初に考えられるのが、前述のボディの振動の大きさです。さまざまな倍音が大きくなることによって、レンジは広がって行き、その代わりに音の角を削ります。そして、ボディの振動が弦の振動を阻害することによって、サスティンも短くなるでしょう。
また、ピックアップのマグネットの劣化も一つの要因になります。当時のピックアップに使用されていたマグネットは経年によって磁力が落ちてしまいます。これによって自然に出力が落ちてしまうのです。
また、コイルに使用されている銅が劣化してしまうと、当然音の拾い方は変化してきます。
この自然な経年変化も一つの要因であると考えられます。
やはり振動の変化について考える必要がある
上記の通り、ボディの振動の変化と、ピックアップの劣化によるものによって、ヴィンテージギターのサウンドは決定付けられているようです。しかし、これらは弾き込んだ結果によるものであるとは断定することができません。
ピックアップの劣化に関しては経年変化によるものであることは明らかです。ですので、振動の面に絞って考えてみることにしましょう。
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オーディオの世界にあるシーズニング
オーディオの世界では、新品のスピーカーやキャビネット、ヘッドホンなどを慣らすためにシーズニングという作業を行うことが一般的です。
方法はそれほど難しいことではなく、単に適度な音量で音を鳴らし続けるというものです。シーズニング専用のCDも販売されているほどに一般的な手法となっています。
音を鳴らすことによって、スピーカーのコーンや、キャビネットの材などが自然な形で振動するようになり、結果として音質が向上するのです。
これはギターに関しても同じことが言えるのかもしれません。音を鳴らすたびにギターのボディが振動することになります。これを繰り返すことによって、ボディやネックに変化が起こるのではないでしょうか。
もちろん、前述の通り根本的な材質の違いが大きな部分を占めている可能性も否定できません。
レスポールなどの場合、ボディやネック材に使用されていたホンジュラスマホガニーや、指板材に使用されていたハカランダなどは、現在では材そのものが減少しているため、使用できなくなりました。
かなり近い材を研究し、代用していますがヴィンテージと現行ではまるで違ったものなのです。
ヴィンテージギターのサウンドを作り上げる要素
材質、経年変化、弾きこみ…これらの要素がミックスされてヴィンテージギターのサウンドは作られています。ですので、同じ年代の同じモデルのギターであってもそれぞれが違ったサウンドを持っています。
最終的な答えとしては、弾きこみによってサウンドが変化する可能性は十分にあります。しかし、現行のギターが50年後、現在のヴィンテージと同じサウンドになるとは言えないでしょう。
今回は主にエレキギターに関して触れてみました。次回はアコースティックギターに関しても触れてみたいと思います。
Byチリペッパー眞木
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