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エレキの常識を徹底検証!~なぜストラトのボディはアルダーなのか?
エレキギターでは常識となっているさまざまなパーツの構成、材質などには明確な理由が存在しているのでしょうか?多くのギタリストが当たり前に使用しているため、最初からまったく疑いを持ったことがないという方も多いかと思います。
ですので、その常識について少し考えてみましょう。
どうしてストラトはボルトオンなの?
フェンダー・ストラトキャスターのネックとボディはボルトオンという構造によってジョイントされています。
その名前の通り、単にボルトによって固定されているだけです。これはエレキギター界では定番の構造となっており、現在ではフェンダー以外でも多くのメーカーで採用されています。
しかし、少し考えてみてください。エレキギター以外の弦楽器で、ネックとボディをボルトによって固定しているものを思い浮かべることができますか?おそらくできないでしょう。なぜなら、ほぼ存在していないからです。
エレキの世界では半ば常識となっているこのシステムは、楽器の世界全体で考えると異端であり、非常識なものだったのです。
この構造を生み出したのはフェンダー社の創業者であるレオ・フェンダーです。実は彼、ギターはおろか、まったく楽器の演奏した経験がないままエレキギターを作ってしまいました。当然、一般的な楽器の構造など、ほとんど知りません。
だからこそ、他の楽器では採用されたことのないボルトオンジョイントを生み出すことができたのです。
この構造は生産効率の向上を上げ、エレキギターという楽器の量産や低価格化に大きく貢献しました。サウンドに与える影響ももちろん少なくありません。
しかし、この構造から生まれる音が一つのスタンダードになったことから楽器のジョイントとして認められるようになったのです。
楽器にアルダーやアッシュを使うなんて…
ヴァイオリンやアコースティックギターなど、古くからある弦楽器に使用されている材といえば、メイプルやマホガニー、ローズウッドやエボニーが一般的です。
しかし、フェンダー社の楽器の多くにはアルダーやアッシュが多く使用されています。これまでほとんど楽器の材として使用された実績のないこれらの材がどうして選ばれたのでしょう?
レオ・フェンダーは最初から量産することを視野にいれていましたので、できる限り大量の仕入れが可能で、加工しやすい材を探しました。そこにぴったりだったのがアルダーやアッシュだったのです。
前述の通り、彼は楽器に関する知識がほとんどありませんでしたので、材によるサウンドの違いまで考えてはいませんでした。
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つまり、アルダー、アッシュが選ばれた理由はサウンドではなく、大量生産をする上で都合が良かったからなのです。
エレキギターのサウンドを決める上でとても重要となる木材ですが、意外な理由で決定されていました。
アルダーボディのサウンドが素晴らしい…現代のギタリストたちがそう語っているのを聞いて、天国のレオは首をかしげているかもしれません。
チューブアンプの歪みを利用
オーディオの世界では、音が歪んでしまうようなアンプはとても嫌われます。本来の音を出力することができないアンプは不良品でしかないのです。
なので、音量をあげると歪みやすいチューブアンプよりも、ヘッドルームが大きく、歪みの少ないトランジスタアンプがスタンダードとなっています。
しかし、エレキギターの場合、歪んでしまうチューブアンプの方が一般的で、スタンダードなものとなっています。
この理由は真空管アンプによって歪んだサウンドがスタンダードになってしまったためであると考えられます。エレキギターの存在が一般的なものとなった1960年代にはまだトランジスタアンプは一般的なものではありませんでした。
そこで、仕方なくチューブアンプを使用し、歪んだサウンドで演奏されていたのです。そして、その音がエレキの標準的な音であり、「良い音」とされたことによって、トランジスタアンプが登場した現代においても真空管アンプが使用されているのです。
もし、当時から歪みの少ないトランジスタアンプが一般的なものであったとしたら、ロックの象徴とも言えるディストーションサウンドは存在していなかったかもしれません。
メーカーにも想定されていなかった常識
ヴィンテージタイプのフェンダーギターを購入すると、現在でもブリッジにとりつけるカバーが付属していることがあります。
実はレオ・フェンダーはこのブリッジカバーを装着することを前提としてストラトキャスターをデザインしていました。
しかし、これを取り付けてしまうとブリッジミュートをすることができなくなってしまいます。つまり、このギターが開発された当時、今では多くのギタリストの常識となっているブリッジミュートという奏法は一切想定されていなかったことを意味します。
エレキギターの多くは、その意図を大きく外れた形で演奏され、スタンダードな楽器の仲間入りを果たしたのです。
byチリペッパー眞木
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