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名門ギブソンの現行モデルを語る~廉価モデルから復刻モデルまで
今までさまざまなヴィンテージ・ギターに関して紹介してきました。確かにヴィンテージはとても多くの魅力を持っています。
しかし、数に限りのあるものですので、とても高価であり、入手も簡単ではありません。また、古いものであるだけに、トラブルも多く、管理にもとても気をつかわなければなりません。
だったら、現行を使用すればいいじゃないか…というわけで、今回は現在販売されている近年のギターについてお話してみたいと思います。
とはいっても、全メーカーの現行モデルを一括りにして語ることはできませんので、まずは名門・ギブソンから語って行きたいと思います。
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現行廉価モデルに潜む罠
ギブソンは高いから手が届かない…。筆者も学生時代は、とても手が届かないものとして、ショーケースの中のギターを見つめていました。
しかし近年、ギブソンはリーズナブルな廉価モデルにも力を入れています。その代表となるのがスタジオシリーズです。
レスポールなどの代表モデルから、バインディングなどの装飾を取り払い、低価格でギブソンサウンドを…というのが売りでした。
初めてのギブソンで受けた衝撃
筆者も90年代にレスポールのスタジオモデルを購入したことがあります。憧れのギブソンをついに手に入れたんだ!と興奮しながら音を鳴らしました。しかし、想像していたのとはまるで違う、軽い音にがっかりしてしまったのを覚えています。
それ以前に使用していたグレコのコピーモデルの方がずっとへヴィなレスポールサウンドを出していました。
メーカーの謳い文句は装飾を取り払っただけ!というものでしたが、実際に友人の所有していたスタンダードモデルと比較してみるといくつもの違いがあることに気付きました。
まず、ボディの厚さが明らかに薄くなっていました。これでは出てくる音が違うのは当たり前です。そして、スイッチやポッドもまったく違うものが取り付けられており、同じ工場で作られたとは思えないほどに内部の誘電塗料の塗り方なども雑なものでした。
ギブソンには当たり外れがあるとよく言われますが、この違いはその域を大きく超えており、明らかに別の楽器として作られていたのです。
実売価格で当時、スタンダードは30万円前後、スタジオは10万円前後でしたので、大きな期待を持つこと自体が間違いだったのかもしれませんが、一時期ギブソンという会社に不信感を抱いてしまったほどにショッキングな事実でした。
別の楽器だと思って楽しむこと
イメージしていたレスポールサウンドは出ませんでしたが、別の楽器だと思って楽しめば、決して悪いギターではありません。
カスタムとスタンダードのサウンドがまったく違うのと同じように、スタジオも別のモデルとして考えてみれば良いのです。
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ここ数年で、スタジオモデルも方向転換をし、トップのメイプルを省略したオールマホガニーモデルや、自動チューニングシステムを搭載したモデル、アクティブピックアップを搭載したモデルなど、新しい方向性を打ち出すようになりました。
こうなれば、ますます、ギブソンの新しいラインナップとして楽しむことができることでしょう。
ヴィンテージ・リイシューモデルの実力
ギブソンは1980年代から50年代のヴィンテージのリイシュー(復刻)モデルに力を入れるようになりました。近年ではカスタムショップという別ラインで、よりハイクオリティなモデルを生産しています。
もちろん、これらのギターはとても精度が高く、一見すると本物のヴィンテージと見分けることが難しいほどです。
サウンドに関しては、ヴィンテージ、復刻共に個体差がとても激しいことから一概に語ることはできません。しかし、世界中のヴィンテージマニアも認めざるを得ないほどの完成度を誇っているのは事実です。
そんなハイレベルなモデルですので、価格もかなり高額になってしまいます。高いものになれば100万円を超えるものまで登場しています。復刻モデルにそれほどまでの価値を見出すことができるのか…そう考えると少し微妙な気持ちになってしまいます。
もちろん、価値観は人によって異なります。しかし、本物のヴィンテージのコンバージョンモデルなどであれば、十分に視野に入れることのできる金額なのです。
近年、ヴィンテージ市場の値上がりと共に、同じクオリティーのまま値上げを繰り返しているギブソンのリイシューシリーズには、正直筆者はあまり手を出したいとは思えないのです。
今回は少し辛口なコラムになってしまいました。しかし、筆者は決してギブソンが嫌いなわけではありません。
実際、これまでに何本ものギブソン・ギターを所有してきました。そして、メインギターとして何度もステージでもプレイしてきましたのでその素晴らしさも十分に知っています。
だからこそ、不満に思うこと、疑問に思ってしまうこともあるのです。長い歴史、伝統を持つギブソンだからこそ、王者としてのプライドを取り戻し、50年後にはオリジナルバーストと同じようにヴィンテージとして多くの人に高く評価されるギターを作って欲しいと願っています。
byチリペッパー眞木
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