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スティーヴィー・レイ・ヴォーンが80年代にブレイクした理由と背景

スティーヴィー・レイ・ヴォーンの機材研究も第三回目になりました。これまで、主に彼の使用してきたギターについて考えてきました。
次はアンプでしょうか?それともエフェクターでしょうか?

その前に、一度彼のキャリアや、インタビューなどで残した言葉からその音楽やサウンドについて考えてみましょう。

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レイが活躍した時代の音楽シーン

ブルースロックというレイの愛した音楽が、時代遅れなものとなりかけていた1980年代。この時代が彼のキャリアの全盛期となりました。

テクノやダンスミュージックなどが流行した時代であり、ロックシーンではハードロックや、へヴィメタルが隆盛を誇っていました。

この時代にブレイクしたギタリストといえば、ランディ・ローズ、イングヴェイ・マルムスティーン、エドワード・ヴァン・ヘイレン、リッチー・サンボラなどが挙げられます。

彼らがブルースフィールを持っていなかったとは言いませんが、決してそれを全面に押し出すことはありませんでした。

むしろ、ブルースという「古い」ジャンルを否定するかのような新しいアプローチによるギタープレイで人気を博していたのです。

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80年代のギターやアンプを振り返る

機材の面でもこの時代を振り返ってみましょう。
ギターはジャクソンやクレイマーなどのハイゲインピックアップとフロイドローズアームユニットを搭載したものが主流となっていました。

アンプの世界ではマスターボリュームの追加されたハイゲインなマーシャル、そして、メサブギーなどが人気を集め、よりギターの歪みは過激なものへと変わって行きます。

エフェクターペダルも普及し、BOSSのディストーションやプロコのRATなど、より深い歪みを簡単に得ることができるようになっています。

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時代遅れなギタリストが起こしたハリケーン

この時代背景を考えると、レイは完全に時代遅れな存在でした。ボロボロのストラトキャスターを手にして、ブルースロックを奏でる…そう言葉で表現してしまうと、とてもスターになれる要素は感じられません。

しかし、彼はギタリストとして大きな成功を収めました。そのきっかけとなったのが、デビッド・ボウイとの出会いでした。偶然レイの演奏を耳にした彼はなんと、アルバム「レッツ・ダンス」にギタリストとして迎え入れたのです。

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当時の流行の最先端であったボウイの作品の中でも、レイは自分のスタイルを貫いたギターソロを披露しました。ミスマッチとも思えるこの組み合わせが化学反応を起こし、このアルバムは大ヒットします。

こうしてスティーヴィー・レイ・ヴォーンの名は全米に知れわたったのです。

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さまざまなアーティストとの共演

80年代に活躍していたアーティストの多くは60年代から70年代の生まれでしたので、幼少時代や青春時代にブルースロックに触れていました。

ですので、やっている音楽はまったく別のものであっても、その音楽のルーツとしてレイのプレイしていたブルースロックが奥底に眠っていたのです。

だからこそ、「本物」であるレイの才能を見抜くことができたのでしょう。ボウイとの共演で成功した後にも彼はダブルトラブルの活動と並行して、さまざまなアーティストと一緒にプレイしています。

レイの強烈なギターは共演アーティストのファンを巻き込んでしまうには十分でした。こうして、テキサスハリケーンは勢力を拡大して行きました。

多くの影響を与えた兄・ジミーの存在

レイにもっとも多くの影響を与えたギタリストは誰でしょうか?ジミ・ヘンドリックス、ロニー・マック、アルバート・キング…さまざまな名ギタリストの名前が挙げられるかと思います。

しかし、彼はインタビューなどで影響を受けたギタリストを問われた際には真っ先に実兄であるジミー・ヴォーンの名を挙げています。

レイに多くのブルースを聞かせ、ギターを手にするきっかけを与えたのがジミーでした。歳の離れた兄弟であったため、レイが物心ついた頃、兄はすでにダラスでも名の知れたギタリストとして活躍していました。

「俺だって兄さんのようになりたい。」

レイはそんな言葉で当時を振り返っています。最初のギターヒーローは実の兄だったのです。

現在もジミーはギタリストとして活躍しており、日本でも彼のレコードの多くを入手することが可能です。また、ヴォーンブラザーズ名義で発表されたレイの遺作「ファミリー・スタイル」では兄弟の共演も聞くことができます。

すべてのギターを愛したレイ

「どのギターも個性があって、使用感もまるで違うんだ。」

これはインタビューでどのギターがもっとも気に入っているのか?という質問を受けた際の彼の答えです。彼はギターを単なる道具と考えるのではなく、まるでパートナーのように愛していました。

スタジオセットが倒壊する事故によって、メインギターのナンバーワンが壊れてしまった時、彼は割れたボディを抱きしめて涙を流したと言われています。

激しいピッキングやアクションによって、傷ついてしまうことはありましたが、どのギターもしっかりとメンテナンスされ、大切に使われてきました。

ギターを愛していたからこそ、あれほどまで、楽器に「歌わせる」ことができたのではないでしょうか。

活躍した時代背景や、兄との関係、ギターへの愛…これらが絡み合ってレイの音楽やサウンドは生まれてきたのです。

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