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テキサスの狂獣ダイムバック・ダレルが多くのファンに愛された理由
テキサス・ハリケーンといえば、スティーヴィー・レイ・ヴォーンですが、テキサスの狂獣といえば誰でしょう。
2004年、ステージ上で凶弾に倒れたギタリスト、ダイムバック・ダレルがその名にもっともふさわしいのではないでしょうか?
1990年代、へヴィメタルはさらに重さを増し、へヴィロックと呼ばれるようになりました。そのシーンの中心にあったのがダレル率いるパンテラでした。
筆者は青春時代にへヴィロックと出会い、夢中になりました。そして、彼のギタープレイに熱狂したファンの一人でした。
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世界中を駆け巡った悲しいニュース
2004年12月のある日の朝、当時大学生だった筆者は何気なくつけたテレビで彼の訃報に触れました。
「人気バンドのギタリストがステージ上で殺害される」
そんなテロップが流れた時点では、衝撃よりも、誰が殺されたんだろう?という興味の方が勝っていました。しかし、直後に映し出されたダイムバック・ダレルの姿に、頭が真っ白になったのを覚えています。
パンテラでの活動を終了させ、新バンドであるダメージプランをスタートさせた直後に起こってしまった悪夢。
「お前がパンテラを解散させたんだ!」
犯人はこう叫んで引き金を引いたと言います。狂信的なパンテラファンだったのでしょう。
筆者にとっても大好きなパンテラの解散はショックでした。ですが、彼が見せてくれるであろう新しいアプローチに、大きな期待を寄せていました。
どうして、犯人はダレルが見せてくれたはずの未来に希望を抱くことができなかったのでしょう。そう考えると、悔しくてたまりませんでした。
ダレルが多くのファンに愛された理由
へヴィロックの世界でも、ダレルが特に多くのファンに支持された最大の理由は、その幅広い音楽性になるのではないでしょうか。彼はへヴィロックという近代的なジャンルの中にいながらも、古くからのブルースロック的なアプローチを取り入れていました。
これが、若い世代にとっては新鮮であり、古くからのロックファンにとっては懐かしいものとして受け入れられたのだと考えられます。
このジャンルだからこんなプレイをしなければならない!そう頑なになってしまうのではなく、実に柔軟性に溢れたミュージシャンであったのでしょう。
その強面のルックスからは想像することもできない柔軟性もダイムバック・ダレルの魅力の一つでした。
過激シェイプギターのインパクト
ダレルが生涯にわたって愛用したのはMLと呼ばれる独特なシェイプのギターでした。
初期はディーン製、中期はワッシュバーン製、そして晩年には再びディーン製と、メーカーは変わりましたがそのデザインやスペックはほとんど変化していません。
「このシェイプが過激でへヴィなサウンドを生み出してくれるんだ。」
ダレルはギター雑誌のインタビューでこう話していました。奇抜なシェイプのボディに大きなヘッド、確かにこのシェイプがサウンドに与えた影響は少なくないでしょう。
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しかし、へヴィなサウンドの最大の要因となったのは彼のほとんどのギターに搭載されていたハイゲインピックアップでしょう。
キャリアの初期にはビルローレンスのL500、そして後期にはセイモアダンカンのオリジナルピックアップ・ダイムバッカーが使用されていました。
「このピックアップはどんなアンプも歪ませてしまうんだ。」
彼のこの言葉の通り、通常のハムバッカーでは考えられないほどにエッジの効いたハイゲインサウンドの出力が可能なピックアップでした。
独特のシェイプと、強烈な個性を持ったピックアップ…これがダレルのプレイを支え続けていたのです。
トランジスタアンプを愛した狂獣
パンテラ後期からダメージプラン時代には一時、チューブアンプを使用していた時期もありましたが、ダレルは基本的なランドールのトランジスタアンプを愛用していました。
どのジャンルにおいても、ギターアンプの主流が真空管タイプであったにもかかわらず、どうして彼はあえてソリッドステートを選んだのでしょう。
その最大の理由は彼の求めたサウンドの過激さにあるようです。初期から中期までのパンテラのギターサウンドは徹底的なドンシャリです。ここまで極端な音になると、チューブアンプでは対応することができないのです。
極端で過激なサウンドを作り上げるには、基本的にフラットな特性を持つトランジスタアンプの方が適していたのでしょう。
ギターアンプはチューブが一番だ…そんな固定観念も彼には一切通用しませんでした。自分が求めるサウンドを信じ、それを再現することのできる機材が彼にとってベストだったのでしょう。
だからこそ、ダレルは決して主流とは呼べないトランジスタアンプを愛したのです。
ダイムバック・ダレルの訃報は筆者にとって、初めてリアルタイムで遭遇したヒーローの死でした。もう、彼がこの世を去ってから10年が経ちます。しかし、彼が生み出した音楽は決して色あせることはありません。
それこそ、ダイムバック・ダレルが本物のギタリストであった証なのではないでしょうか。
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